聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

文字の大きさ
86 / 203
反逆

カイによる翻弄

しおりを挟む
「サンクレアの心臓の、13ある結界が全て破壊されました!」


カイの元から即座に逃げ出した騎士は、結局カイの追撃を受けるわけこともなく、すぐさま上層部に見たままを報告した。


「なんだと!?一体お前達は何をしていたんだ!何のために守りにつかせたと思っている!?」


守りにつかせた3人の騎士が実は無能だったなどと知るはずもない高官は激昂した。
しかし怒れど叫べど起きたことは無かったことにはならない。すぐにサンクレアの心臓へ兵を送り込むことと、騎士団長のアドルに応援を頼むことになった。


「大変です!神都のいたるところで爆発が起きています!騎士団の後援部隊がいくつか巻き込まれ、死傷者多数とのことです!!」


そこへ立て続けに最悪の知らせが届く。
中でも外でも最悪の事態が起きている現状に、既に高官達はパニックになっていた。


「アドル騎士団長に知らせ、直ちに対策を考えろ!我々はこれより会議を行い、今後の方針を決めることにする!」


配下にそう叫び、高官達は上層階へと走りだす。
上層階はサンクレアの心臓ほどではないが、それなりにセキュリティーの強化されているエリアであった。そこに引き籠り、時間が経過するのを待つことにより身の安全を確保しようとしているのがミエミエであった。




ーーーーー



「やりおるわ。本当にまさかここまでやるとはな」


報告を受けたアドルは現場の指揮を副騎士団長に任せると、すぐさまサンクレアの心臓のところへと走っていた。

予感がした。しかし、考えすぎだと思ってそれを無視した。
サンクレアの心臓の存在はカイは知らないはずだった。そう思っていたところに油断があった。


「カイ!」


アドルはサンクレアの心臓部の前まで来て、カイの名を叫んだ。
しかし、カイの姿はそこには無かった。気配すらない。


「・・・サンクレアの心臓は・・・」


アドルは肝心のサンクレアの心臓がどうなっているかが気になった。
確かに13あった結界が全て破壊されているが、それでも最後の最後に立ちはだかっている、法王のみが鍵を持つという扉が開いた形跡はなかった。こじ開けようとした形跡もない。
このサンクレアの心臓の最後に守るこの特殊な扉は、サンクレアそのものが消滅するほどの爆発が起きても耐えると言われているほど強度のある扉であった。


「ここじゃない・・・?なら、カイは一体どこへ・・・」


アドルはカイの行動が読めず当惑した。
その頃カイは、誰もが気付かぬところへと既に移動を開始していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...