聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

厳しい判断

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「都内の爆発により、負傷者多数!回復が追い付きません!」


「爆発は断続的に続いており、今なお止む気配はなし!」



アドルが指揮から外れ、サンクレア王城の方へ走って行ったと聞かされたハルトの耳に、続々と悲惨な状況を伝える報告が上がってくる。


(アドル騎士団長はきっとサンクレアの心臓に行ったんだ。何より優先しなければと言っていたから・・・!しかし、この状況は・・・)


サンクレアの心臓も大事かもしれないが、それ以前に騎士団も総崩れになろうとしている。
今の状況でユーライ国軍が突入してきたら、うまく迎撃も出来ずに多大な被害が出るだろう。


「回復術師部隊も爆発に巻き込まれた模様!回復が追い付きません!」


「回復が間に合わず死者多数!動揺が広がっております!」


後援部隊が血祭になったことで、全軍に動揺が広がっていた。
回復術師が不足するとなると、前線で戦う自分達が敵との戦いで傷を負ったとき治す者がいなくなる。戦死する可能性が飛躍的に向上したことに気付いた騎士達が、平常心でいられなくなるのは当然といえば当然であった。


「ハルト、私が後援部隊の人達だけでも治療すれば、まずはこの空気も何とか落ち着くんじゃない?」


呆然と立ち尽くすハルトに、マーサが声をかけた。


「マーサが・・・?」


ハルトは考える。
聖女であるマーサの回復術は普通の回復術師の数倍の力を持ち、一度に複数人の怪我を治すことが可能だ。だが彼女が治療の現場に行くとなると、護衛であるハルトもそれについていかねばならなくなる。
ユーライ軍が迫る前線にも、アドルが優先しているサンクレアの心臓のどちらにも駆け付けることができなくなるのだ。


「非常事態よ。ハルト、今だけは私達は行動を別にしましょう!」


決断を渋るハルトにマーサがそう言った。
ハルトもマーサも適材適所があるこの状況で、どちらかが遊んでいる余裕など無かった。
本来こうような分断状態を強いられる状況になることを防ぐために、聖騎士聖女は4セット用意されているのだが、1セットしか残っていないこの状況ではこうなることも必然であった。


「マーサ、だが僕達は・・・!」


「今はそんなことを言っている場合じゃないでしょう!?」


ハルトはマーサの剣幕に怯む。
聖女と聖騎士はセットが大原則。まして戦場では決して離れ離れになることなど許されないのだが、今その決断を迫られていることにハルトは狼狽した。
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