聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

神都避難民の絶望

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副騎士団長の独断によりユーライ国軍の迎撃をやめた騎士団は、全軍が神都の外壁内に退避したのを確認した後、門を閉めて籠城の姿勢を見せた。


「全軍の避難完了しました」


「よろしい」


一先ず全軍の退避が完了したという報を受け、副騎士団長は胸を撫でおろす。
既に軍が混乱状態にあったこと、ユーライ国軍に勢いがあったこと、そして何より法王城が絶対魔法障壁を張り、勝手に外界と隔絶したことが決め手となったのか、特に副騎士団長の決定への反論が起こることはなかった。


「一部とはいえ、いくらかユーライ兵も神都内に入っただろう?その辺はどうなっている?」


「はっ。郊外エリアに侵入したユーライ兵もおりましたが、我々が退避を開始したときから、入れ替わるように外壁の外へ移動したようです。今現在、神都内にユーライ兵がいるという報告は上がっておりません」


「我々が籠城に入るのを察したか?まぁ・・・何にせよ一先ずは退避が完了して良かった。問題はこれからだが」


今日のところはこれ以上ユーライ国軍と剣をぶつけ合うことはなさそうだが、長期的に見ると問題はまだ解決していない。
籠城すると決めたが、とりあえず住民の混乱の沈静化をしつつ、食料管理をしていかなければならない。神都中を漁れば食料はたくさん出てくるだろうが、うまくやらねば民の反感を招く。そうでなくても神都は人口が多いので、そもそもどれだけの期間籠城が可能なのかも不透明だ。


「おのれ・・・本当に余計なことを・・・」


副騎士団長は障壁に囲まれた法王城を恨めしそうに睨みつけながらぼやいた。
法王城には神都中の人間全員を一か月は食わせることが出来るだけの食料が貯蔵されている。
だが絶対魔法障壁に囲まれている今、法王城には誰も踏み込めないので、食料を分けてもらうことができない。障壁に外にいるの自分達だけでなんとかやりくりしなければならないのである。

副騎士団長は既に騎士達に命令して神都にある食料の把握を急がせているが、当然食料を普段から貯蔵している飲食業者、商会、貴族、富豪からは食料の分配に対して反発があるだろう。
それでも最悪は武力に物を言わせて彼らから食料を接収するしかないのだが、このような非情な決断をせねばならない状態にした上層部を副騎士団長は恨まずにはいられなかった。

先のことを考えると副騎士団長の頭は痛くなるが、しかし、翌日に流れが一変することになった。

ユーライ国軍から外壁を越えて書簡が投げ込まれたのである。
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