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反逆
割れたものは戻らない
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サンクレア残留派は、脱出派を詰った。
「お前らまさかこの神都を見捨てて逃げるというのか!この恥知らずめが!」
「お前達は神の加護を失うことになるぞ!」
「矜持を捨ててまで生き長らえようとは思わん。まさしく人類の恥ではないか」
「必ず我々は勝利する。我々は神に守られているからだ。何故それがわからない」
神都内では、神都を脱する者と残る者による分裂が起きていた。
ユーライ国側からの通達を、騎士団は神都全域に公開した瞬間に、神都民の反応は真っ二つに分かれる。
騎士団は神都を脱するという者は引き留めることはせず、神都外壁の北の門を解放し、随時そこから希望者を退避させることになった。
「随分と多いな」
結果として人口の三分の一にあたる住民が神都から脱することを決める。
あまりの大人数に副騎士団長は愕然としたが、驚くのはこれからであった。
「騎士の中でもユーライ国に投降したいと願う者が続出しております」
その報を聞き、副騎士団長は膝から力が抜けそうになった。
この戦いは今を耐えさえすれば勝てる。周辺各国にいるサンクレア駐在軍が合流すれば、今神都周辺に展開しているユーライ国軍など簡単に殲滅することができる。
そうでなくても兵が一度落ち着いて冷静になり、きちんと体制を立て直せば援軍が来なくとも今サンクレアにいる兵だけで十分に対処が可能なはずである。
聖女マーサの死と、聖騎士ハルト、そしてアドル騎士団長の戦線離脱が混乱を招いたが、本来は彼らがいなくとも負けるはずのない戦いなのだ。
だが、一旦体制を整えるためと、無用な犠牲を自軍に出させないためにと神都に全軍を籠城させたことが、今のサンクレア騎士団に『負けムード』を漂わせてしまっていた。
元聖騎士にして反逆者であるカイが相手側にいる可能性が高いというのも影響が大きい。
結果、冷静に考えれば投降する必要にない場面で、騎士達はユーライ国への投降を考えるようになってしまった。
このまま期日が来てしまえば、攻めてきたユーライ国軍によって自分達は殺されてしまうーーそんな考えが伝染しようとしていた。
それだけサンクレア騎士団の優位性を訴えようとも、一度疑心暗鬼に凝り固まってしまった考えは治らない。
この状況でもサンクレアにある神の加護を信じ、ユーライ国軍を恐れぬ者など敬虔な教徒くらいなものである。
「何が神の加護だ!本当にそんなものがあるなら、今の状況は何だって言うんだよ!?」
「命のが大事に決まってる!お前らは聖書を大事大事に抱えながら死んでいけ!」
「こんなところより他の国に移ったほうがマシだ!やはりカイ様が言っていたことは本当だったんだ!!」
まるでラビス教という夢から覚めたかのように、脱出派は残留派を詰り返して振り返ることなく神都から出て行った。
後に残ったのは敬虔なラビス教都と、神都で富と力を持つ貴族、そしてまだ希望を捨てていない騎士達であった。
「お前らまさかこの神都を見捨てて逃げるというのか!この恥知らずめが!」
「お前達は神の加護を失うことになるぞ!」
「矜持を捨ててまで生き長らえようとは思わん。まさしく人類の恥ではないか」
「必ず我々は勝利する。我々は神に守られているからだ。何故それがわからない」
神都内では、神都を脱する者と残る者による分裂が起きていた。
ユーライ国側からの通達を、騎士団は神都全域に公開した瞬間に、神都民の反応は真っ二つに分かれる。
騎士団は神都を脱するという者は引き留めることはせず、神都外壁の北の門を解放し、随時そこから希望者を退避させることになった。
「随分と多いな」
結果として人口の三分の一にあたる住民が神都から脱することを決める。
あまりの大人数に副騎士団長は愕然としたが、驚くのはこれからであった。
「騎士の中でもユーライ国に投降したいと願う者が続出しております」
その報を聞き、副騎士団長は膝から力が抜けそうになった。
この戦いは今を耐えさえすれば勝てる。周辺各国にいるサンクレア駐在軍が合流すれば、今神都周辺に展開しているユーライ国軍など簡単に殲滅することができる。
そうでなくても兵が一度落ち着いて冷静になり、きちんと体制を立て直せば援軍が来なくとも今サンクレアにいる兵だけで十分に対処が可能なはずである。
聖女マーサの死と、聖騎士ハルト、そしてアドル騎士団長の戦線離脱が混乱を招いたが、本来は彼らがいなくとも負けるはずのない戦いなのだ。
だが、一旦体制を整えるためと、無用な犠牲を自軍に出させないためにと神都に全軍を籠城させたことが、今のサンクレア騎士団に『負けムード』を漂わせてしまっていた。
元聖騎士にして反逆者であるカイが相手側にいる可能性が高いというのも影響が大きい。
結果、冷静に考えれば投降する必要にない場面で、騎士達はユーライ国への投降を考えるようになってしまった。
このまま期日が来てしまえば、攻めてきたユーライ国軍によって自分達は殺されてしまうーーそんな考えが伝染しようとしていた。
それだけサンクレア騎士団の優位性を訴えようとも、一度疑心暗鬼に凝り固まってしまった考えは治らない。
この状況でもサンクレアにある神の加護を信じ、ユーライ国軍を恐れぬ者など敬虔な教徒くらいなものである。
「何が神の加護だ!本当にそんなものがあるなら、今の状況は何だって言うんだよ!?」
「命のが大事に決まってる!お前らは聖書を大事大事に抱えながら死んでいけ!」
「こんなところより他の国に移ったほうがマシだ!やはりカイ様が言っていたことは本当だったんだ!!」
まるでラビス教という夢から覚めたかのように、脱出派は残留派を詰り返して振り返ることなく神都から出て行った。
後に残ったのは敬虔なラビス教都と、神都で富と力を持つ貴族、そしてまだ希望を捨てていない騎士達であった。
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