聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

探していない場所

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「警戒レベルを引き下げるですって?本当ですか!?」


カイの捜索を行い、アドルとミカエルのやり取りの場にいなかったハルトが、アドルから事の次第を聞いて憤慨した。


「何かあってからでは遅いのに!」


ハルトの脳裏にはこれまでにカイが行ってきた行動の数々が浮かんでいた。
その中には聖女暗殺というあるまじきことすらあるというのに、法王城は安全であると盲目的に信じている神殿騎士達にハルトは憤慨した。
散々脅威を目の当たりにしてきたというのに、絶対魔法障壁の展開により安全圏にいると簡単に思い込んでしまうその能天気さはハルトにしてみれば到底理解の外であった。

カイは敵の意表を突く。
こうだと思い込めばそこを虚として突いてくる。味方にいれば頼もしいが、敵に回すとこれほど恐ろしい相手はいない。
かつては死線をくぐる仲間として行動を共にしていたからこそ、カイの脅威がハルトには良くわかる。
だが、それを安全な場所で訓練のときにしか剣を握らないような平和ボケした神殿騎士に理解しろというのは確かに無理があった。


「神殿騎士が警戒を緩めれば、おのずとカイは動き出すようになるだろう。そこを我々だけで押さえるしかない」


「結局は待つしかない・・・ということですか」


ハルトは小さく溜め息をつく。
神殿騎士団が実質捜索を打ち切るに等しい決断をしたことに憤慨したハルトだが、しかしハルト達とてカイがどこに潜んでいるのか見当もついていない。あくまで「カイはここにいるはずだ」という勘なのだ。


「一体カイはどこに潜んでいるのでしょうか」


ぼそりと、ハルトが虚空を見上げて呟いた。愚問だ。答えられる者がこの場にいるのなら、自分達はこうして呆気に取られていない。気疲れからつい出てしまった言葉だった。

だが、そんなハルトの愚問に対し、アドルは言いにくそうにしながらも口を開く。


「後は我々が探していないとすれば・・・あそこくらいだが」


明確にどこ、とは指していないが、ハルトはアドルの言わんとしていることがわかった。
しかし、それを口に出すことは憚られた。

アドルとハルトの思う、まだ探されていない場所・・・それは確かに存在するのだが、それを探すことなど彼らには不可能であった。
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