聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

神殿騎士不信

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「これは・・・」


アドルは法王からの手紙に目を通し、驚きに声を洩らした。


「・・・」


一体何が?と聞きたいが、あくまで内容はアドルしか読んではならぬ旨が伝えられているので、ハルトは聞くに聞けずに黙って様子を見ているしかなかった。


「ハルト、法王様からの指令だ」


だが、驚くことにアドルは手紙の内容を口にした。


「案ずるな。お前にも関係のあることだ」


驚愕する表情をしていたハルトに対し、アドルは安心させるように言った。
しかしハルトはますます混乱する。ハルトはサンクレアでは重要な立ち位置である聖騎士であるが、法王自ら指令を下されるということはまずなかったからだ。
大体は大司教クラスの高位者を通し、そこからアドルを通して命令が伝達されるようになっている。


「混乱するだろうが、まぁ、この内容であれば納得と言えば納得だ」


混乱するハルトの心中を察してアドルは言った。
一体どのような内容なのだろう・・・ハルトはアドルの言葉を待った。


「既にお前には私の独断でサンクレアの心臓のことは伝えてあるが・・・法王様は改めてお前にサンクレアの心臓のことについて教え、その上で今後は二人で交代でサンクレアの心臓を警備しろと書かれている。神殿騎士は足手まといになるようなら、現場から遠ざけても良いらしい。現場にいる神殿騎士にこの手紙を見せろとのことだ」


アドルの言葉を聞いて、ハルトは困惑する。
サンクレアの心臓は既に神殿騎士達が最重要警戒箇所として警備しているが、そこをわざわざ神殿騎士ではない自分達が警備しろと言ってくるとはどういうことなのだろうと思った。


「はっきりしたことはわからないが、もしかしたら・・・法王様は神殿騎士にあまり期待をしていないのかもしれん」


アドルが少しばかり声を潜めてそう言った。
アドルに手紙を手渡した神殿騎士は既にいないが、話している内容が内容だけにあまり聞かれたくないからであった。


「法王様は、昔は騎士団に属していたらしいからな。現場のたたき上げで出世をしてきた人らしい。だから、神殿騎士の実力というものをわかっているからこそ、この今の局面に置いて最重要箇所を彼らに任せたくないのかもしれん」


アドルとハルトは最もらしい理由を何となく想像し、法王の手紙の通りに交代でサンクレアの心臓の警備を行うことにした。
言うに及ばず、その手紙はカイの意向によって法王が書かされたものである。
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