聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

聖剣を持たぬ聖騎士に意味はあるのでしょうか

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「・・・なんだと?」


サンクレアの心臓の手前にある隠し通路を警備していた神殿騎士達は、ハルトに警備を代われと言われて驚きの声を上げた。
サンクレアの心臓を警備は名誉職である。それをいきなり横取りしようとしているのか?と、神殿騎士らは腹を立てて抗議をする。
しかし、法王自らが書いた手紙を見せることで、彼らは渋々ながらもその場を離れる意志を見せた。いかに神殿騎士といえど法王の意向には逆らえない。

ハルトはこの場の警備をする際、万が一カイとの戦闘になったら足手まといになるだけだと判断したので、彼らをサンクレアの心臓から遠ざけることに決めた。
法王の意向でもあるとはいえ、これには神殿騎士らもプライドを刺激されて憤った。


「それにしても、今となっては名ばかりの聖騎士サマで本当に大丈夫なんですかねぇ・・・」


現場を離れる際、一人の神殿騎士が負け惜しみを言い出した。


「名ばかりとは?」


聞き流せばそれで終わりだったが、あえて負け惜しみにハルトが反応する。


「えぇ?いやぁ、ほら・・・」


絡んだ神殿騎士は、ニヤニヤと笑いながらハルトの腰に下げている剣を見つめた。


「聖女様亡き今は、その聖剣は力を失われているのでしょう?でしたら今腰に下げているそれは、ナマクラということになりますなぁ」


嫌味ったらしく言われた神殿騎士のそれは明らかに挑発的な態度であったが、近くにいる彼の仲間も特に咎めようとはしない。神殿騎士の多くは聖騎士に敬意を持っていないからだ。むしろ下位の人間だとすら思っているのである。
だから神殿騎士達は無遠慮にハルトの心を抉るようなことを言えるのだ。


「持っている得物が聖剣でないとするならば、ただのカカシですな」


神殿騎士は実際に戦場に出ることがほとんどない。だから、聖騎士の戦闘力は聖剣があってこそと勘違いをしている者も普通にいた。


「・・・えぇ、今僕が持っている得物は、確かに聖剣ではありません。ですが、貴方がたよりはずっとお役に立てることでしょう」


そう言って徐にハルトは剣の柄に手をかける。
そしてゆっくりと刀身を鞘から出すのを見て、神殿騎士達は息を飲んだ。
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