聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

因縁の同期

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ハルトがサンクレアの心臓の警備に赴いたとき、アドルは一旦仮眠しようかと考えていた。
これからはハルトと交代でサンクレアの心臓の警備をすることになったので、休めるときには休まなければならないからだ。
アドルは不眠不休でも3日は戦える。だが、万が一カイと戦うのであれば万全の状態でなければならない。


(サンクレアの心臓からそう離れていない部屋を借りるとするか・・・)


万が一の際、すぐにでもハルトの元へ駆けつけることができるよう、アドルはどこか近くに休める場所をと考えていた。そんなときである。


「やぁ、こんなところで一体何をしておいでかな。アドル騎士団長」


複数の神殿騎士を引き連れたミカエルが穏やかな声でアドルを呼びかける。質問してはいるが「自分ミカエルの領域でうろちょろするな」という意図だろうとアドルは察する。


「これより私は法王様の命でハルトと交代でサンクレアの心臓の警備をすることになっている。交代している間、近場で休める場所を探しているのだ」


アドルの言葉を聞いたミカエルが、ほんの少しだけ穏やかな笑みを浮かべていた表情を引き攣らせる。
法王の命令によりアドルが最重要箇所であるサンクレアの心臓の警備をすることが、彼にはとにかく気に入らないのである。
ミカエルの従える神殿騎士よりも、アドル達のほうが優れているということを法王が認めているということになるからだ。


「やれやれ。全く法王様にも困ったものですな。我々だけで十分なものを・・・実に心配性なことです」


苦笑いを浮かべながらミカエルはアドルに近づき、耳元で囁いた。


「あまり調子に乗らないことだ。卑しき下等な騎士よ」


その声はアドルにしか聞こえない。
いつ何時、誰にでも慈悲深いとされているミカエルは、例え部下の前であっても本性を見せたりはしない。騎士職でありながら温厚で慈悲深い、それが部下・・・いや、世間から見たミカエルの姿だからだ。
だが、アドルはそんなミカエルを小ばかにしたように鼻で笑う。


「法王様は、その卑しき下等な騎士とやらの力をアテにしているようだぞ?よほど神殿騎士様が頼りにならないのであろうな」


アドルもミカエルと同じように耳元で囁く。
ミカエルは思わず目を見開いた・・・が、激昂しそうになるのを理性で押さえつけた。

アドルとミカエル・・・因縁の同期達が静かに戦いの炎を燃え上がらせていた。
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