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裏切り
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隠し通路・・・なのか?これは・・・
俺は何気ない素振りで部屋を見回す。
俺達が入ってきたもの以外に扉などは見当たらない。
当然、捕らえられているはずの姫の姿はない。
では、もしかして姫はこの通路の向こう側にいるのでは?
俺の勘が何となくそう告げていた。
やれやれ、この魔王の部屋に来て以来、何一つ良いところを見せることができなかったが、最後の最後に手柄を立てることが出来たかな?
そう思い、俺はディオ達に通路のことを教えようと彼らの方を向いた。
しかし
『本当にそれでいいのか?』
突然、俺の頭の中に声が響いた。
「何だ・・・?どうしたんだ・・・」
突然のことに俺は混乱した。
空耳なんかじゃない、直接俺の頭の中に語り掛けてくるような感覚だった。
『今このままディオ達と一緒に姫様を見つけたところで、手柄のほとんどはディオのものだぜ。なんたって婚約者だからな。お前はあくまでオマケだ』
「だったら何だ!」
頭がどうにかなりそうだった。
俺は声をかき消すように頭を振った。
『お前が一人で最初に姫様を見つければ、姫様もお前に対する印象が強くなるだろ?褒美に色がつくかもしれないし、あるいは・・・』
「やめろ!」
『なぁ、ずっとお前の上を譲ってたディオを抜け駆けするチャンスなんだぜ?お前はずっとディオに負けたくないと思っていただろ?今日勝つんだよ、今勝たなくていつ勝つんだよ』
「・・・やめろ・・・!」
『これまでディオが掴んできた栄光を、すこーしだけおすそ分けしてもらうだけさ。一度くらいいいじゃないか。お前も苦労したんだし。ディオが凄いというだけで、優秀なはずのお前がないがしろにされていいわけがないんだ』
「・・・やめ、ろ・・・」
『誰もお前も責めたりはしないさ』
頭の中に響く声は、いつの間にやら聞こえなくなった。
気が付けば、俺はいつの間にか狭くて暗い隠し通路を歩いていた。
ディオもウラエヌスさんもいなかった。
魔法で発生させた地震により部屋が崩れるように見せかけ、そのどさくさで俺は気が付かれないように隠し通路に飛び込んでいた。
こんなことまでしてしまった以上、あと戻りはできない。
俺はディオを裏切ってしまっていた。欲望に従ってしまっていた。
だが、もう突き進むしかないと考えた。
俺は何気ない素振りで部屋を見回す。
俺達が入ってきたもの以外に扉などは見当たらない。
当然、捕らえられているはずの姫の姿はない。
では、もしかして姫はこの通路の向こう側にいるのでは?
俺の勘が何となくそう告げていた。
やれやれ、この魔王の部屋に来て以来、何一つ良いところを見せることができなかったが、最後の最後に手柄を立てることが出来たかな?
そう思い、俺はディオ達に通路のことを教えようと彼らの方を向いた。
しかし
『本当にそれでいいのか?』
突然、俺の頭の中に声が響いた。
「何だ・・・?どうしたんだ・・・」
突然のことに俺は混乱した。
空耳なんかじゃない、直接俺の頭の中に語り掛けてくるような感覚だった。
『今このままディオ達と一緒に姫様を見つけたところで、手柄のほとんどはディオのものだぜ。なんたって婚約者だからな。お前はあくまでオマケだ』
「だったら何だ!」
頭がどうにかなりそうだった。
俺は声をかき消すように頭を振った。
『お前が一人で最初に姫様を見つければ、姫様もお前に対する印象が強くなるだろ?褒美に色がつくかもしれないし、あるいは・・・』
「やめろ!」
『なぁ、ずっとお前の上を譲ってたディオを抜け駆けするチャンスなんだぜ?お前はずっとディオに負けたくないと思っていただろ?今日勝つんだよ、今勝たなくていつ勝つんだよ』
「・・・やめろ・・・!」
『これまでディオが掴んできた栄光を、すこーしだけおすそ分けしてもらうだけさ。一度くらいいいじゃないか。お前も苦労したんだし。ディオが凄いというだけで、優秀なはずのお前がないがしろにされていいわけがないんだ』
「・・・やめ、ろ・・・」
『誰もお前も責めたりはしないさ』
頭の中に響く声は、いつの間にやら聞こえなくなった。
気が付けば、俺はいつの間にか狭くて暗い隠し通路を歩いていた。
ディオもウラエヌスさんもいなかった。
魔法で発生させた地震により部屋が崩れるように見せかけ、そのどさくさで俺は気が付かれないように隠し通路に飛び込んでいた。
こんなことまでしてしまった以上、あと戻りはできない。
俺はディオを裏切ってしまっていた。欲望に従ってしまっていた。
だが、もう突き進むしかないと考えた。
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