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最終的には負ける
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『お前はディオに勝ったと思っているが、本当にそうかな?』
俺の中の謎の声はそう問いかけてくる。
(どういう意味だ!?)
『確かにお前はディオを出し抜いてアリスの元に駆け付けた。そして愛を囁き、彼女を自分の物にした』
(そうだ。俺はアリス様を口説き落とし、自分の物にした。男としてディオに勝ったのだ)
『そう、お前は本来手が届かないはずの高位の存在を自分の腕で抱いた。・・・ディオの後にな』
・・・!
『残念だったなぁ~ まさか婚約して間もないのに、もうディオがアリスと事を済ませていたなんて』
(うっ、うっ、うるさいうるさいうるさい!
俺が気にしないようにしていたことを言うな!!)
一応言っておくが、俺は別にアリス様の一番になれなかったこと自体が悔しいわけではない。女遊びもそれなりにしてきたから、非処女が嫌なわけでもない。
ただ、ディオの次という事実だけが嫌なのだ。
『これからはあいつがお前の兄貴だぞ?よっ、〇兄弟』
(や、やめろぉぉぉぉぉ)
俺は膝から崩れ落ちた。
勝者から敗者へ。天国から地獄に落とされた気分の俺は、立ち上がる気力もわかずに四つん這いになった。
『大体だな・・・今アリスは一時の火遊びとしてお前の相手をしているだけであって、王城に帰って冷静になって日常に戻れば、間違いなくまたディオと普通に元鞘だぞ?多分お前には多額の口止め料が払われて終わりだ。
いや、もしかしたら今回の功績を口実に高官や護衛に取り立てられて、こっそりアリスの愛人にさせてもらえる可能性もあるが、それでもアリスの本命はディオ。お前はどれだけ頑張っても二番目でしかない」
(や、やめろ・・・そのリアルな話やめろ・・・)
『お前は今は勝ったつもりでいるかもしれないが、最終的には負けるんだよ』
(やめろ!)
俺は頭を抱えてうずくまる。
この頭に響いてくる声は何なのだ。俺を甘い言葉で非道の道へ誘導したかと思えば、こうして俺を苦しめてもくる。この声の正体が俺にはわからなかった。
(あぁ、やはり、やはり俺はディオには永遠に勝てないのか)
『いや、このままだとお前はディオに勝てないが、それでも方法がないわけじゃないさ』
(なに・・・?)
その言葉に俺はハッとする。
『このままだと勝てないと言ったが、正確にはもう少しで勝てるところまで来ているのさ。これからのお前の行動次第で、お前は今度こそ本当の意味でディオに勝つことができるぞ』
甘い言葉が、俺に更なる非道を歩ませようとしていた。
俺の中の謎の声はそう問いかけてくる。
(どういう意味だ!?)
『確かにお前はディオを出し抜いてアリスの元に駆け付けた。そして愛を囁き、彼女を自分の物にした』
(そうだ。俺はアリス様を口説き落とし、自分の物にした。男としてディオに勝ったのだ)
『そう、お前は本来手が届かないはずの高位の存在を自分の腕で抱いた。・・・ディオの後にな』
・・・!
『残念だったなぁ~ まさか婚約して間もないのに、もうディオがアリスと事を済ませていたなんて』
(うっ、うっ、うるさいうるさいうるさい!
俺が気にしないようにしていたことを言うな!!)
一応言っておくが、俺は別にアリス様の一番になれなかったこと自体が悔しいわけではない。女遊びもそれなりにしてきたから、非処女が嫌なわけでもない。
ただ、ディオの次という事実だけが嫌なのだ。
『これからはあいつがお前の兄貴だぞ?よっ、〇兄弟』
(や、やめろぉぉぉぉぉ)
俺は膝から崩れ落ちた。
勝者から敗者へ。天国から地獄に落とされた気分の俺は、立ち上がる気力もわかずに四つん這いになった。
『大体だな・・・今アリスは一時の火遊びとしてお前の相手をしているだけであって、王城に帰って冷静になって日常に戻れば、間違いなくまたディオと普通に元鞘だぞ?多分お前には多額の口止め料が払われて終わりだ。
いや、もしかしたら今回の功績を口実に高官や護衛に取り立てられて、こっそりアリスの愛人にさせてもらえる可能性もあるが、それでもアリスの本命はディオ。お前はどれだけ頑張っても二番目でしかない」
(や、やめろ・・・そのリアルな話やめろ・・・)
『お前は今は勝ったつもりでいるかもしれないが、最終的には負けるんだよ』
(やめろ!)
俺は頭を抱えてうずくまる。
この頭に響いてくる声は何なのだ。俺を甘い言葉で非道の道へ誘導したかと思えば、こうして俺を苦しめてもくる。この声の正体が俺にはわからなかった。
(あぁ、やはり、やはり俺はディオには永遠に勝てないのか)
『いや、このままだとお前はディオに勝てないが、それでも方法がないわけじゃないさ』
(なに・・・?)
その言葉に俺はハッとする。
『このままだと勝てないと言ったが、正確にはもう少しで勝てるところまで来ているのさ。これからのお前の行動次第で、お前は今度こそ本当の意味でディオに勝つことができるぞ』
甘い言葉が、俺に更なる非道を歩ませようとしていた。
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