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最後の悔い ~ウラエヌス目線~
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「じゃからな、ただ固く作るのではなくて、もっとねちゃっこく作るんじゃ。強固な結界を作ることだけに集中するのではなく、一つ一つの術式を丁寧に織り交ぜるようにしてだな。固い表面を破られても内側では分厚くてねちゃっこい結界を展開するように・・・」
隣の牢に入っているディオが先日展開された結界の中に入ってからというものの、話し相手がいなくなったからというわけではだろうが、魔術師団の連中がワシに結界構築についての授業を受けにきていた。
なぜそんなことになっているは覚えていないが、やけに熱心に結界の展開について教示してくれと頼みこまれたのを覚えている。今はディオに張った結界をぼろくそに言ったために逆上して殴りかかってきたのとは他の魔術師達が、複数人でワシの牢を訪れてくる。
彼らも今回展開した結界の出来について思うところがあったのかもしれない。
「・・・と、いうわけじゃ。ただ硬くすることだけが強い結界ではないのじゃ。柔らかいということはダイヤモンドよりも硬いということ、という名言がある。逆転の発想がより強固な単語硬さを形成することがあるんじゃ。今度お試しで城の周囲にでも対魔族用に障壁でも展開してみるがよい」
ワシもワシで専門外のはずなのに何故かノリノリで授業をしてしまっていた。ディオと話せなくなったのがよっぽど寂しかったのかのう。
本来なら敵?と位置づけする相手であるのに、ワシは乞われるがままに授業をする。
「ありがとうございます先生。お陰で結界魔術についてずいぶん可能性が広がってきた気がします」
牢にいる罪人のはずのワシに礼まで述べる生徒に思わず苦笑いしてしまう。
「これでお会いすることが出来なくなるなど、残念でなりません」
生徒たちは言った。嫌味で言っているわけではなさそうだ。彼らの目からは涙があふれていた。
なんだか知らんがワシはとても満たされた気持ちになった。
「精進することじゃな。この国の未来は頼んだぞ」
柄にもなくそんなことを言ってお別れとなった。
時代遅れと思われたワシが、まだ後進に伝えることがあったことが嬉しかった。
「最後の最後に、ワシには過ぎた花道じゃな」
ワシは思わずそう呟いていた。
なんだかんだで処刑の日は明日に迫っていた。
「最後に冤罪で・・・というのは気にかかるが、まぁそれ以外は概ね悔いなく生きられたかの・・・」
レイツォが冤罪の仕掛け人であることには気づいたが、それを知ったからといって今からではどうにもならないことがわかるので、もうそれはどうでも良いとワシは考えていた。
「悔いか・・・いや、一つだけあるか・・・人生で悔い・・・」
誰に聞かせるでもない独白。
ちゃらんぽらんに生きてきたワシにも、一つだけ悔いはあった。それが死の間際になって思い出された。
「どうしておるかのう・・・イライザ」
悔いの要因の人物の名をワシはつぶやく。
そのときだった。
「どうしているか気になるの?それならこれから確かめてみれば良いじゃない」
突然、誰かが牢に近づいてきた。
そこにいたのは、ワシの人生の唯一の『悔い』・・・その要因である女、イライザであった。
隣の牢に入っているディオが先日展開された結界の中に入ってからというものの、話し相手がいなくなったからというわけではだろうが、魔術師団の連中がワシに結界構築についての授業を受けにきていた。
なぜそんなことになっているは覚えていないが、やけに熱心に結界の展開について教示してくれと頼みこまれたのを覚えている。今はディオに張った結界をぼろくそに言ったために逆上して殴りかかってきたのとは他の魔術師達が、複数人でワシの牢を訪れてくる。
彼らも今回展開した結界の出来について思うところがあったのかもしれない。
「・・・と、いうわけじゃ。ただ硬くすることだけが強い結界ではないのじゃ。柔らかいということはダイヤモンドよりも硬いということ、という名言がある。逆転の発想がより強固な単語硬さを形成することがあるんじゃ。今度お試しで城の周囲にでも対魔族用に障壁でも展開してみるがよい」
ワシもワシで専門外のはずなのに何故かノリノリで授業をしてしまっていた。ディオと話せなくなったのがよっぽど寂しかったのかのう。
本来なら敵?と位置づけする相手であるのに、ワシは乞われるがままに授業をする。
「ありがとうございます先生。お陰で結界魔術についてずいぶん可能性が広がってきた気がします」
牢にいる罪人のはずのワシに礼まで述べる生徒に思わず苦笑いしてしまう。
「これでお会いすることが出来なくなるなど、残念でなりません」
生徒たちは言った。嫌味で言っているわけではなさそうだ。彼らの目からは涙があふれていた。
なんだか知らんがワシはとても満たされた気持ちになった。
「精進することじゃな。この国の未来は頼んだぞ」
柄にもなくそんなことを言ってお別れとなった。
時代遅れと思われたワシが、まだ後進に伝えることがあったことが嬉しかった。
「最後の最後に、ワシには過ぎた花道じゃな」
ワシは思わずそう呟いていた。
なんだかんだで処刑の日は明日に迫っていた。
「最後に冤罪で・・・というのは気にかかるが、まぁそれ以外は概ね悔いなく生きられたかの・・・」
レイツォが冤罪の仕掛け人であることには気づいたが、それを知ったからといって今からではどうにもならないことがわかるので、もうそれはどうでも良いとワシは考えていた。
「悔いか・・・いや、一つだけあるか・・・人生で悔い・・・」
誰に聞かせるでもない独白。
ちゃらんぽらんに生きてきたワシにも、一つだけ悔いはあった。それが死の間際になって思い出された。
「どうしておるかのう・・・イライザ」
悔いの要因の人物の名をワシはつぶやく。
そのときだった。
「どうしているか気になるの?それならこれから確かめてみれば良いじゃない」
突然、誰かが牢に近づいてきた。
そこにいたのは、ワシの人生の唯一の『悔い』・・・その要因である女、イライザであった。
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