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当然の決別
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スラッとした体を白いスーツに身を包み、髪をオールバックにキメた金髪の美男子・・・令嬢の視線を集めてやまないアーヴィガ。
王都から距離のある辺境にいることもあって、王都で開かれるパーティーに本人は参加することはレアであったが、今日このパーティーの参加したことでこれを見ていた貴族達は様々な憶測を立てていた。
なにしろ御前会議を除き、王都での催し物のほとんどに参加することのない男である。それはこれまで第一王子ラルスの誕生記念パーティーでも同様であった。
だが、第二王子ファルスの誕生記念パーティーには、こうして本人が顔を出してみせた。
これが何を意味するか・・・
好奇、猜疑、様々な思惑を持つ視線を集めながらも毅然としていたアーヴィガだったが、それでも少し外の空気を吸いたくなり外へ出ようとした。同じ会場にいたソーアもそれについていった。
そうしたらたまたまバルコニーでキアラと鉢合わせしたのである。
ちなみにソーアがこのパーティーに出席したのも話題を呼んだ。
マルセイユのシーラの代行としてやってきたソーアだったが、今は彼女は以前に比べそれなりに名が知れており、国内外でその存在感が増していた。それについてはまた後程述べるとする。
とにもかくにも、パーティー会場では決して関わろうとしなかった幼馴染2人が、偶然にも同じ場に来たことにキアラは驚愕していた。
「あっ・・・」
思わず声を上げるが、言葉らしい言葉にならない。
何か言わなければならないか、何を言えばいいか、キアラは咄嗟のことでどうしたら良いかわからなかった。
だが膠着状態が続いたのはほんの一瞬のことだった。先にアーヴィガが口を開いたのである。
「ルーベルト嬢」
アーヴィガはキアラのことをそう呼び、形式的な挨拶を述べた。
その表面的な笑みを浮かべた表情には親愛の情など一切感じなかった。
ソーアもアーヴィガに倣って同じように挨拶をした。
傍から見れば普通かもしれない。だが、これまでお互いの名を呼びあい、かしこまった礼など不要であった間柄の彼らにはどこまでの異常な姿であった。
キアラは察した。アーヴィガもまた自分と決別をしたのだと。
当たり前のことだし、その覚悟もしていたつもりだった。だが実際に目の前にそれを見せつけられると、胸が強く締め付けられる思いがした。
アーヴィガとソーアは踵を返してその場を去ろうとする。
このときキアラは、自分でも予想だにせず口から言葉を発していた。
「あなたは何も聞かないの?」
王都から距離のある辺境にいることもあって、王都で開かれるパーティーに本人は参加することはレアであったが、今日このパーティーの参加したことでこれを見ていた貴族達は様々な憶測を立てていた。
なにしろ御前会議を除き、王都での催し物のほとんどに参加することのない男である。それはこれまで第一王子ラルスの誕生記念パーティーでも同様であった。
だが、第二王子ファルスの誕生記念パーティーには、こうして本人が顔を出してみせた。
これが何を意味するか・・・
好奇、猜疑、様々な思惑を持つ視線を集めながらも毅然としていたアーヴィガだったが、それでも少し外の空気を吸いたくなり外へ出ようとした。同じ会場にいたソーアもそれについていった。
そうしたらたまたまバルコニーでキアラと鉢合わせしたのである。
ちなみにソーアがこのパーティーに出席したのも話題を呼んだ。
マルセイユのシーラの代行としてやってきたソーアだったが、今は彼女は以前に比べそれなりに名が知れており、国内外でその存在感が増していた。それについてはまた後程述べるとする。
とにもかくにも、パーティー会場では決して関わろうとしなかった幼馴染2人が、偶然にも同じ場に来たことにキアラは驚愕していた。
「あっ・・・」
思わず声を上げるが、言葉らしい言葉にならない。
何か言わなければならないか、何を言えばいいか、キアラは咄嗟のことでどうしたら良いかわからなかった。
だが膠着状態が続いたのはほんの一瞬のことだった。先にアーヴィガが口を開いたのである。
「ルーベルト嬢」
アーヴィガはキアラのことをそう呼び、形式的な挨拶を述べた。
その表面的な笑みを浮かべた表情には親愛の情など一切感じなかった。
ソーアもアーヴィガに倣って同じように挨拶をした。
傍から見れば普通かもしれない。だが、これまでお互いの名を呼びあい、かしこまった礼など不要であった間柄の彼らにはどこまでの異常な姿であった。
キアラは察した。アーヴィガもまた自分と決別をしたのだと。
当たり前のことだし、その覚悟もしていたつもりだった。だが実際に目の前にそれを見せつけられると、胸が強く締め付けられる思いがした。
アーヴィガとソーアは踵を返してその場を去ろうとする。
このときキアラは、自分でも予想だにせず口から言葉を発していた。
「あなたは何も聞かないの?」
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