たかが先輩、されど後輩。

うかかなむらる

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第1話「近くて遠い」

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 「あのっ……あ、ありがとうございました!」
「うん。これからも、よろしくね。」
「はい!」

 「お疲れ様でしたー。」
俺の名前は、桜木さくらぎ 優真ゆうま
「うっ、寒い。もうすっかり秋だね。」
彼は、俺の部活の先輩、紅床くれとこ いつきさん。家が近い俺たちは、いつもこうして、部活後に学校から一緒に帰る。この時間が、一日の癒しであり、一日で1番落ち着かない時間でもある。って、何言ってんだ俺。
「ですねぇ。世の中はクリスマスの準備で大忙しですよ。」
「早いなぁ。まだハロウィンだって終わったばっかなのに。」
「俺たちは部活でしたけどね。」
「はははっ!もしや、桜木くんは一緒に騒ぐ彼女でもいるの?」
先輩は、意地悪そうに俺の顔を覗き込んだ。
「そ、そんなっ!いないです!」
思わず目を逸らす。
「そっか。ま、俺もクリボッチ確定だけどねー。」
「あはは……。彼女なんて、本当に出来るんですかね?」
「どうなんだろうねぇ。桜木くんは気になってる人、いるの?」
「……気になってる……。」
「おっ、いるの?い、いるんだね!おぉ!応援するよ!」
「いやいや、いないです!いたらいいなぁ、っていうやつです!」
「なーんだ。まぁ、俺もいないけど~。」
心が傷む音がした。俺の気になっている人は、すごく近くにいて、すごく遠い人だ。



 ジリリリリリリリ

耳元で鳴り響いた目覚まし時計を殴り、止める。カーテンを開けると、綺麗な秋空が広がっていた。爽やか……。顔を洗い、朝ごはんを食べ、学校に出発。
「ちょ、優真!お弁当忘れてる!」
姉さんが後ろから弁当を投げた。
「ちょっと!危ない!!」
「忘れるのが悪い!はい、行ってらっしゃい。」
「行ってらっしゃ~い!」
リビングから叫ぶ母さんの声も聞こえる。
「行ってきまーす。」
ドアを開ける。俺の眠たかった目が思わず覚めた。
「おぉ、桜木くん!おはよ。」
先輩が居たのです。
「おはようございます!樹さん早いですね!」
「これが普通なんだよ、いつもが遅いだけでね。」
朝から会えるなんて!今日は絶対いい日だ!じゃないじゃない。俺たちは、学校に向かって歩き出した。高校生ながら、俺たちは徒歩通学だ。
「はぁ。」
「どうしたの?朝からため息なんかついて。」
「感嘆のため息です。」
「え?」
「あ、いや、なんでもないです。」
「あ!」


To be continued…
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