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13.俺じゃダメなんですか
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6月。瑞木さんと同じクラスになって2ヶ月。どんなに見ていても、良いところばかり見つけてしまう。
「八神くーん、それ取って~。」
「へい。」
「さんきゅ。」
俺と普通に会話してくれる女の子なんて、瑞木さんか、早乙女さんかいのりしかいない。早乙女さんもいのりも、瑞木さんが俺と話すようになって、よく話してくれてる気がする。あ、いのりは学校の話。校外だったらすげぇ話すよ。なんで校内じゃあんまり話してくれなかったのかなぁ……。まぁ、そんな事はさておき、俺は瑞木さんが好きだ。でも、薄々分かっている。俺のこの恋は、叶いようのない恋なんだという事は。俺の目線の先にいる瑞木さんの目線の先にいるのは、いつだって怜だ。瑞木さんは、怜と話す時だけ頬を染める。……怜がライバルじゃ、仕方ない。倒せる気なんてしない。でも、だったら、せめて今のうちに、この想いを伝えても良いだろうか。瑞木さんはきっぱり断りそうだから怖い。それでも、この気持ちを隠したまま、2人がくっつくのを黙って見てるのは、俺のやり方じゃないと思う。よし。俺は、瑞木さんに告白しようと思う。怜には言わずに。いや、でも……怖いなぁ……。
放課後。教室。瑞木さんは図書室、怜は職員室。3人で帰りを待つ。
「……なぁ。」
「ん?」
「俺、瑞木さんのこと好き。」
「あらぁ。」
「やっぱり。」
「だから、告りたい。」
「……いいんじゃない?」
「告ってみなよ~。わたしは応援するよ、だいきくんの勇気!」
「おう……ありがと……。」
怜のこと好きってふたりには言ってないのか?でなければ、なんで止めない?ちょっとだけ、止めて欲しかった。本人の口から"佐和田くんが好きだから"は聞きたくなかったのに。致し方ない。告白するしかないんだな!
放課後、屋上。八神くんに"ちょっとだけ、来て欲しい"って引っ張って来られた。なんだろ?部活は無いのかな?八神くんは私の手首を掴んだまま、後ろを向いている。黙っている。なんか怒ってるのかな。私、何かしたかな。
「あ、あのさ、瑞木さん。」
やっと話し出した八神くんは、私の手を離して、真正面から私を見つめた。
「時間は、大丈夫?」
「うん。大丈夫。」
「良かった。あの……一緒に、代議員してて、俺、瑞木さんの良いところをいっぱい知って、その……好きになりました。俺と、付き合ってください。」
八神くんはすごく深く頭を下げた。私は、びっくりしている。八神くん、私のこと好きだったんだ……。全然気がつかなかった。どうしよう。なんて答えよう。
「えっと……ご、ごめんなさい。き、気持ちは嬉しいよ。すごく。」
八神くんは肩を落としてゆっくり顔を上げた。
「……そうだよな。」
「えっ?」
「分かってた。俺の告白は、断られるんだろうなって。意外とソフトな感じで、嬉しかったけど。……なんで、俺じゃダメなんですか。」
「……他に好きな人がいるから。」
「だよね。……うん。じゃあ、この話はおしまい。」
「……。」
「でも俺、めんどくさい男だからさ、簡単には諦められないんだよね。」
「えっ。」
「好きな人が、俺を好きじゃないとしたら……好きな人が、その好きな人の好きな人と幸せになってもらわないと、俺の気が済まない。だから、俺、協力するよ、瑞木さんと怜がもっと仲良くなれるように。怜と一番話すのは多分俺だし、なんかあったら言って。瑞木さんが楽しそうだったら、多分俺も楽しい。」
私、好きな人が佐和田くんだって言ってないのに。それに、フラれたのに、八神くんはなぜかほんの少しだけ嬉しそうだ。
「あ、怜のこと好きなんだよね?」
「う、うん……ご、ごめんね。」
「いやいや。瑞木さんは悪くないけど。そうだなぁ……でもなぁ。やっぱりちょっと悔しいよね。俺の方が運動だって勉強だって上なのにさ。まぁ、そこじゃないよね。分からなくはないよ。怜はかわいいもんね。」
フェンス越しに、まだカンカンと照りつける太陽が八神くんを輝かせた。潔い男の人だ。八神くんは頼りになりすぎる。私は、多少、私を頼りにしてくれそうな人が好きなんだと思うんだ。ごめん、八神くん。
「これからもよろしくな。俺はこれからも、瑞木さんの友達であっていいか?」
「うん……ありがとう。」
「よし。」
小さなガッツポーズ。
「あ~、今から部活かぁ。先輩に俺の武勇伝を聞いてもらうぜ!じゃあな!」
「あっ、うん、また明日!」
八神くんはひらひらと後ろ向きで手を振って、一回振り返って、笑って手を振って、屋上を出て行った。
To be continued…
「八神くーん、それ取って~。」
「へい。」
「さんきゅ。」
俺と普通に会話してくれる女の子なんて、瑞木さんか、早乙女さんかいのりしかいない。早乙女さんもいのりも、瑞木さんが俺と話すようになって、よく話してくれてる気がする。あ、いのりは学校の話。校外だったらすげぇ話すよ。なんで校内じゃあんまり話してくれなかったのかなぁ……。まぁ、そんな事はさておき、俺は瑞木さんが好きだ。でも、薄々分かっている。俺のこの恋は、叶いようのない恋なんだという事は。俺の目線の先にいる瑞木さんの目線の先にいるのは、いつだって怜だ。瑞木さんは、怜と話す時だけ頬を染める。……怜がライバルじゃ、仕方ない。倒せる気なんてしない。でも、だったら、せめて今のうちに、この想いを伝えても良いだろうか。瑞木さんはきっぱり断りそうだから怖い。それでも、この気持ちを隠したまま、2人がくっつくのを黙って見てるのは、俺のやり方じゃないと思う。よし。俺は、瑞木さんに告白しようと思う。怜には言わずに。いや、でも……怖いなぁ……。
放課後。教室。瑞木さんは図書室、怜は職員室。3人で帰りを待つ。
「……なぁ。」
「ん?」
「俺、瑞木さんのこと好き。」
「あらぁ。」
「やっぱり。」
「だから、告りたい。」
「……いいんじゃない?」
「告ってみなよ~。わたしは応援するよ、だいきくんの勇気!」
「おう……ありがと……。」
怜のこと好きってふたりには言ってないのか?でなければ、なんで止めない?ちょっとだけ、止めて欲しかった。本人の口から"佐和田くんが好きだから"は聞きたくなかったのに。致し方ない。告白するしかないんだな!
放課後、屋上。八神くんに"ちょっとだけ、来て欲しい"って引っ張って来られた。なんだろ?部活は無いのかな?八神くんは私の手首を掴んだまま、後ろを向いている。黙っている。なんか怒ってるのかな。私、何かしたかな。
「あ、あのさ、瑞木さん。」
やっと話し出した八神くんは、私の手を離して、真正面から私を見つめた。
「時間は、大丈夫?」
「うん。大丈夫。」
「良かった。あの……一緒に、代議員してて、俺、瑞木さんの良いところをいっぱい知って、その……好きになりました。俺と、付き合ってください。」
八神くんはすごく深く頭を下げた。私は、びっくりしている。八神くん、私のこと好きだったんだ……。全然気がつかなかった。どうしよう。なんて答えよう。
「えっと……ご、ごめんなさい。き、気持ちは嬉しいよ。すごく。」
八神くんは肩を落としてゆっくり顔を上げた。
「……そうだよな。」
「えっ?」
「分かってた。俺の告白は、断られるんだろうなって。意外とソフトな感じで、嬉しかったけど。……なんで、俺じゃダメなんですか。」
「……他に好きな人がいるから。」
「だよね。……うん。じゃあ、この話はおしまい。」
「……。」
「でも俺、めんどくさい男だからさ、簡単には諦められないんだよね。」
「えっ。」
「好きな人が、俺を好きじゃないとしたら……好きな人が、その好きな人の好きな人と幸せになってもらわないと、俺の気が済まない。だから、俺、協力するよ、瑞木さんと怜がもっと仲良くなれるように。怜と一番話すのは多分俺だし、なんかあったら言って。瑞木さんが楽しそうだったら、多分俺も楽しい。」
私、好きな人が佐和田くんだって言ってないのに。それに、フラれたのに、八神くんはなぜかほんの少しだけ嬉しそうだ。
「あ、怜のこと好きなんだよね?」
「う、うん……ご、ごめんね。」
「いやいや。瑞木さんは悪くないけど。そうだなぁ……でもなぁ。やっぱりちょっと悔しいよね。俺の方が運動だって勉強だって上なのにさ。まぁ、そこじゃないよね。分からなくはないよ。怜はかわいいもんね。」
フェンス越しに、まだカンカンと照りつける太陽が八神くんを輝かせた。潔い男の人だ。八神くんは頼りになりすぎる。私は、多少、私を頼りにしてくれそうな人が好きなんだと思うんだ。ごめん、八神くん。
「これからもよろしくな。俺はこれからも、瑞木さんの友達であっていいか?」
「うん……ありがとう。」
「よし。」
小さなガッツポーズ。
「あ~、今から部活かぁ。先輩に俺の武勇伝を聞いてもらうぜ!じゃあな!」
「あっ、うん、また明日!」
八神くんはひらひらと後ろ向きで手を振って、一回振り返って、笑って手を振って、屋上を出て行った。
To be continued…
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