気だるげ王子の微笑みが見たくて

うかかなむらる

文字の大きさ
18 / 42

18.動き始めた歯車たち

しおりを挟む
 ただいま、海満喫中。冷たさにも慣れて、いい感じです。
「魚いないのかな。」
佐和田くんは通常運転。私の目も慣れた。そろそろ。うん、多分。
「魚見たい。」
「居るかなぁ。」
「あー!お魚~!」
「え!マジで!?」
幼馴染コンビ、大興奮。佐和田くんは見つけられなかったみたい。
「見たかった……。」
「ど、どんまい。」
それから、みんなでビーチバレーしたりして、楽しく祝日を過ごした。

 お着替え終了。髪の毛が適度に濡れてて、イケメンさんだぁ……!
「帰ろうぜ帰ろうぜー!」
「あー!楽しかったー!」
「お腹空いちゃったぁ。」
「僕も。」
「じゃあ、早く帰んないとだね。」
「あ、あたしこっちだ!ばいばーい!ありがとー!」
「おう!」
「ばいばーい!」
「またねー!!」
茉琴は左、私たちは右に曲がった。
「今度はそうめん流しとか行きたいなぁ。」
「食いしん坊だな!?」
「だってお腹空いたんだもん!」
「そうめん流しいいね!」
「近くにあんのかな。」
「あ、わたし、こっちだぁ。」
「俺も。」
「え、乃希どこ行くの。」
「いのりに本を借りる。」
「ふーん。ばいばーい。」
「ばいばい!!」
いのりちゃんと八神くんが右に曲がり、私と佐和田くんは直進した。……は!ふ、ふたりになってしまった!や、八神くん……ありがとう……。
「あー、楽しかったね。」
「うん!」
「休みの日に遊ぶのって好きじゃないはずなんだけどなぁ。やっぱり、メンツだろうねぇ。」
「好きなんだ、この5人。」
「うん。好き。」
はぁ。この"好き"が私だけに向いていてほしいなんて、欲張りな私。
「こうやって、帰り道でさ、程よく疲れてる感じとか……けっこう良いね。」
佐和田くんはそう言って、私に微笑みかけた。……わ、笑った……!!鼓動が高なる。この笑顔が好きで、彼のことを好きになったんだと、改めて感じた。
「瑞木さん?」
「は、い、いや……さ、佐和田くん。」
「ん?」
もうダメだ。このままの関係は耐えきれない。
「あ、あのさ。」
私は、佐和田くんの右腕を掴んだ。
「また、遊ぼ。……こ、今度は、ふたりで。」
「……うん、いいよ。」
佐和田くんの少し困惑した声が、いつまでも耳に残った。

 いのりと、細いあぜ道を歩く。
「だいきくん。」
「ん?」
「ほんとに良かったの?」
「なにが。」
「……さやちゃんのこと、諦めて。」
「あぁ。俺は、好きな人の幸せを願うタイプだから。」
「かっこいいねぇ。……でも、それでだいきくんが幸せじゃないのは、わたしは違うと思うけどなぁ。」
「俺は幸せだよ。瑞木さんが笑ってるなら。……多分。」
「多分じゃん。さわだくんと楽しそうなさやちゃん見て、だいきくん悲しそうだった。」
「か、悲しくなんかねぇよ。」
「悲しいはずだよ。……さわだくんとさやちゃんがくっついたら、だいきくんは悲しいはずだよ。」
「……。」
「いのりは、だいきくんも幸せになって欲しい。だいきくんの幸せの、お手伝いしたい。」
「……いのりは優しいなぁ。」
「優しいとかじゃないよ。だいきくんが楽しそうなのが好きなんだもん。……だいきくんのこと、好きなんだもん。」
「……!」
少し後ろを歩くいのりの方を振り返ると、いのりは頬を染めて俯いてた。
「……みんな、だいきくんのこと好きだから、こんなこと言わない方がいいんだろうけど……中学校までは、なんとも思わなかったんだよ。……高校生になって、だいきくんと話せない日が増えて、自分の気持ちに気付いたの。……わたし、だいきくんのこと好きだったんだなぁって……。」
「……。」
「付き合ってほしいとかじゃ、ないんだけどね……ただ、知って欲しくて……。」
潤んだ瞳の幼馴染を、俺は思わず抱きしめた。
「っ……!」
「いのりがそんな風に思ってくれてるの、全然気付けなかった。……ごめんな。……好きって言われるの、こんなに嬉しいことだったんだな……。」
何度も言われたことがあるはずなのに。なんだろう。何が違うんだろう。"八神くんが好きです。付き合ってください。"何度も聞いた台詞の、はずなんだ。
「……やっぱり、さっきの、嘘。」
「えっ。」
「……つ、付き合ってほしいとかじゃないのは、嘘……。」
「……ごはん、食べて帰ろっか。……返事は、まだもうちょっと、待って欲しい。」
「うん……!」


To be continued…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった

naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】 出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。 マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。 会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。 ――でも、君は彼女で、私は彼だった。 嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。 百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。 “会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。

うわさの行方

下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。 すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。 戦場から帰るまでは。 三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。 ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

あざとさを捨てた令嬢は、若き公爵に溺愛される

古紫汐桜
恋愛
婚約者の裏切りを目撃し、命を落とした“私”が目を覚ましたのは、 見知らぬ貴族令嬢の身体の中だった。 そこは、誰かの悪意によって評判を地に落とした世界。 かつて“あざとさ”で生きていた彼女の代わりに、 私はその人生を引き受けることになる。 もう、首を揺らして媚びる生き方はしない。 そう決めた瞬間から、運命は静かに歪み始めた。 冷酷と噂される若公爵ユリエル。 彼もまた、自らの運命に抗い続けてきた男だった。 そんな彼が、私にだけ見せた執着と溺愛。 選び直した生き方の先で待っていたのは、 溺れるほどの愛だった。 あざとさを捨てた令嬢と、運命に翻弄される若公爵。 これは、“やり直し”では終わらない、致命的な恋の物語。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」 公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。 政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。 しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。 「好きな人がいる。……片想いなんだ」 名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。

処理中です...