気だるげ王子の微笑みが見たくて

うかかなむらる

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20.世界のお姉さん

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 さて、今日は終業式です!1学期、短かったな……。
「瑞木さん、女子みんな居た?」
「あ、うん!」
「男子は、佐和田怜以外はみんな居た。」
「えっ。佐和田くん、どこ行ったの?」
「さて。どこでしょうねぇ……。」
八神くんが困り顔で笑う。
「また道で見つけた動物と戯れてた説を、俺は大いに推薦するね。」
「あ、あぁ……たしかに……。」
「な。瑞木さんも4ヶ月色々喋ってて、よく分かっただろ?かなりな生物大好きマンだよなぁ。」
「うんうん。だね。」
「ま、それか体調不良か。あ、じゃあ瑞木さん、悪いけど体育館の入口あたりで怜のこと待っててくれない?俺ちょっと部長のとこ行かないとなんだよね。」
「あ、うん、分か……え!?」
「ん?わざとだけど何か?じゃ、ファイト~♪」
「ちょ、や、八神くん!」
八神くんよ……ふたりきりのシチュエーションの提供は嬉しいんだけどね……うん。ありがとう。私は、素直に体育館の入口あたりで佐和田くんを待ってた。終業式開始まであと10分。
 ちょっと!意外と来ないんだけど!?あと5分だよ!うちの学校は、もう5分前くらいになったら門を閉めちゃうのに!と思ったら来ました。
「あ、瑞木さんおはよう。あ、点呼か。ごめんごめん。」
「おはよう。大丈夫?」
「大丈夫じゃないんだそれが。」
自分の左肘を私に突き出す。
「え"っ!?どうしたの!?」
激しく擦り剥いていた。
「自転車と衝突した。」
「えぇ!?大丈夫なのそれ!?」
「怪我はこれくらいなんだけど、面倒なのが自転車を運転してた人でさ。もう大丈夫ですからとか言ってもずっと謝って、お金払います、弁償しますって。いや大丈夫ですって、を割と長く繰り返した。」
「そ、それは……お疲れ様。」
「うむ。終業式なのにおつかれ、僕って感じ。」
肘が痛そうで全然話に集中できない。もう保健室に行く時間は無いけど……。
いて。」
「だ、大丈夫?」
「あ、ねぇ終業式終わったら一緒に保健室行ってくんない?」
「えっ、うん、いいよ?」
「ありがとう。」
ま、マジかぁ……!保健室の先生いませんように保健室の先生いませんように。

 そして、熱中症対策のために時短に時短を重ねた終業式が終わった。私は佐和田くんの所に走る。背の順で並ぶと、私が少し前の方だから。
「わ、そんなに急いでくれなくても大丈夫だけど。」
「いやいや。ばい菌が入ったら大変だもん。」
「お、ありがと。」
私は佐和田くんの右手を引いて保健室に急いだ。ホームルームまであと15分。体育館と教室の棟が遠めだから休み時間を長くとってくれる。ありがたい。
「あいたた。」
「だ、大丈夫?」
「汗がしみてすごい痛い。」
「だ、だよね。」
保健室に着いた。……は!先生いないー!!
「先生いないね。」
「う、うん。まずは傷を洗った方がいいかもね。」
「うん。」
佐和田くんは水道で自分の肘を洗った。傷の様子を見ようと不覚にも近づいてしまい、自分で勝手にドキッとした。
「い、痛い?」
「うん。」
たしかにちょっとだけ眉間にシワがよってる。私は絆創膏を探した。あ、あったあった。佐和田くんは椅子に座って待っていた。
「ねぇ見て。出血が止まらん。」
「えー!な、ど、どうしたらいいんだろうこれ!?」
結構グロテスクな感じで血が垂れてる。
「今更だけど、血、大丈夫な人?」
「あっ、それは全然大丈夫。」
ガーゼあった!慌てて佐和田くんの肘をガーゼで押さえる。
「い、痛いよね?ごめん。」
「いや、大丈夫。」
か、顔が近い……。
「瑞木さんてさ。」
「……ん?」
「お姉さんみたいだよね。」
「だ、誰の?」
「誰かの。世界の。」
「せ、世界の。すごい規模。」
「頼れるっていうか、ちゃんとしてるっていうか。」
「そ、そうかな……。」
「兄弟いるの?」
「弟がいるよ。」
「あぁ、やっぱり。」
「佐和田くんは?」
「姉さんがいる。」
「あぁ、ぽい。」
佐和田くんが弟だなんて羨ましい……。
「あ、血、止まったね。絆創膏を貼るね。」
「うん。ありがとう。」
ちょっとだけ、口角を上げてそう言った。ひっ。し、心臓の音が漏れそう。
「あ、そういえば、夏祭り行こうよ。ふたりで遊ぶの兼ねて。」
「へっ、あ、う、うん!行く!」
嘘でしょ!?ふ、ふたりで夏祭り!?


To be continued…
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