気だるげ王子の微笑みが見たくて

うかかなむらる

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24.ターコイズブルー

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 佐和田くんがおうちまで迎えに来てくれることになりました。お祭りするところ集合でいいよね?って送ったら『いや、女の子ひとりは危ないでしょ』って。……ふぁーー!

 というわけで、おうちの前で待機中。前から男の子がきょろきょろしながら歩いてくる。
「佐和田くーん!」
手を振ると、振り返してくれた。
「や。ちょっと迷った。」
「ごめん、分かりにくい場所で。」
「ううん。行こっか。」
「うん。」
ど、どうしよう……緊張しちゃう……浴衣、似合ってるなぁ……かっこいい……。
「ね。」
「ん?ご、ごめん、何?」
「ん?いや、花火ってあったよね?って。」
「あ、う、うん!」
私の歩幅に合わせてなのか、ゆっくり歩いてくれる。
「暑いね。」
「そうだねぇ。夏休みの宿題どのくらいやった?」
「あー、全然やってない。毎日の生活記録しか書いてない。」
「まじ?」
「うん。瑞木さんは?」
「政・経のテキストはもうすぐ終わるかなぁ。数学と物理は終わったよ。」
「ひょー。すご。どこからそのやる気出てくるの。」
「うーん。問題解けると楽しくない?」
「えー。解くまでがめんどいよ。」
「でも解いたら合ってるんでしょ?」
「うーん。うん。」
「まぁ、じゃあいいんじゃん?」
「えっ。」
「ん?」
「いや。じゃあしなよって言われると思ったから。」
「したくないものは仕方ないよ!ね?」
「そ、そうか……。」
佐和田くんは何か不思議な表情で私のことを見ていた。

 祭り会場に着いた。
「瑞木さん、何かしたいことある?」
「お腹空いたなぁ。何か食べようよ!」
爽やかな笑顔で僕の方を振り向いた。傷ついた僕の心には眩しすぎる笑顔。
「うん。食べよ。」
僕たちはフランクフルトなんかを買ってベンチに座った。
「いただきまーす。」
カリッといい音を立てて、瑞木さんがフランクフルトにかぶりつく。
「……な、何?」
「いや。美味しそうに食べるなぁと思って。」
「え、えへへ……?佐和田くんも食べなよ。」
「うん。いただきます。」
肉汁の芳ばしい香りが口に広がった。美味い。
「おいしいね!」
「うん。」
瑞木さんは嬉しそうに頬張った。ほんとに嬉しそうに。やっぱり僕には眩しすぎる。なんだろう、この気持ち。変な気持ち。
「……?」
「どした。」
「いや、なんでもない。」
僕たちはひとまず食事を済ませた。

 色々な屋台をまわる。
「射的だって!したことある?」
「いや、無い。」
「やってみようよ!」
「うん、いいよ。」
いつもよりちょっとだけテンションが高い瑞木さんはさっきから僕の手を掴んで歩いている。はぐれないようにだと思うけど。僕ってぼんやりしてるし。
「1回300円でーす。」
「はい!」
瑞木さんはライフルを構えた。
「何とるの?」
「あれ。」
うさぎのキーホルダー。えっ、かわいいな。
「……っ!」
パンッ。弾はうさぎの微かに右を通り過ぎていった。
「あっ。外れちゃった~。」
「貸して貸して。僕やる。」
物理は得意だし。やけにムキになって銃口をうさぎの胸に向けた。
「が、がんばって……!」
パンッ。弾がうさぎを直撃する。っしゃ。
「おぉ!すごい!!かっこいい!」
か、かっこいい。それはちょっと照れる。
「はい、どうぞ。」
「えぇ、いいの?ありがとう!!」
うさぎをショルダーバッグに付ける。
「わ、見て、かわいい。」
「うん、可愛いね。」
瑞木さんはにこにこした。胸がしめつけられる。
「……佐和田くん。」
「ん?」
「次は、あっち行こ!ヨーヨー釣りとか、ダーツとかあるとこ!」
瑞木さんはまた僕の手を掴んで歩き出した。
「楽しい?」
「うん!」
鼻の奥がじわっとなった。
「佐和田くんは?」
「えっ、僕?」
「うん!楽しい?」
「……うん、楽しいよ。」
「そっか。」
人混みをかき分けてダーツの屋台まで歩いた。
「ダーツしたいの?」
「うん!あれが欲しいの。」
指さしたのはブレスレット。
「へぇ。」
「1回200円です。」
瑞木さんはダーツの投げるやつを構えた。真剣な眼差しで的を見据える。ヒュッと的を射た。
「3点!この中から選んでください!」
「はい、これで!」
お望みのブレスレットを手に入れ、ご満悦の様子。
「佐和田くん、ちょっと手、貸して。」
瑞木さんは僕の手首にブレスレットを着けた。月明かりを浴びて青く光る。
「あげる!」
「え……あ、ありがとう。」
「うん!それ、12月の誕生石なんだよ。」
「あぁ……そういうこと。」
「うんっ!」
そのあと、かき氷を食べた。瑞木さんの楽しそうな笑い声が僕の心に刺さる。


To be continued…
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