24 / 42
24.ターコイズブルー
しおりを挟む
佐和田くんがおうちまで迎えに来てくれることになりました。お祭りするところ集合でいいよね?って送ったら『いや、女の子ひとりは危ないでしょ』って。……ふぁーー!
というわけで、おうちの前で待機中。前から男の子がきょろきょろしながら歩いてくる。
「佐和田くーん!」
手を振ると、振り返してくれた。
「や。ちょっと迷った。」
「ごめん、分かりにくい場所で。」
「ううん。行こっか。」
「うん。」
ど、どうしよう……緊張しちゃう……浴衣、似合ってるなぁ……かっこいい……。
「ね。」
「ん?ご、ごめん、何?」
「ん?いや、花火ってあったよね?って。」
「あ、う、うん!」
私の歩幅に合わせてなのか、ゆっくり歩いてくれる。
「暑いね。」
「そうだねぇ。夏休みの宿題どのくらいやった?」
「あー、全然やってない。毎日の生活記録しか書いてない。」
「まじ?」
「うん。瑞木さんは?」
「政・経のテキストはもうすぐ終わるかなぁ。数学と物理は終わったよ。」
「ひょー。すご。どこからそのやる気出てくるの。」
「うーん。問題解けると楽しくない?」
「えー。解くまでがめんどいよ。」
「でも解いたら合ってるんでしょ?」
「うーん。うん。」
「まぁ、じゃあいいんじゃん?」
「えっ。」
「ん?」
「いや。じゃあしなよって言われると思ったから。」
「したくないものは仕方ないよ!ね?」
「そ、そうか……。」
佐和田くんは何か不思議な表情で私のことを見ていた。
祭り会場に着いた。
「瑞木さん、何かしたいことある?」
「お腹空いたなぁ。何か食べようよ!」
爽やかな笑顔で僕の方を振り向いた。傷ついた僕の心には眩しすぎる笑顔。
「うん。食べよ。」
僕たちはフランクフルトなんかを買ってベンチに座った。
「いただきまーす。」
カリッといい音を立てて、瑞木さんがフランクフルトにかぶりつく。
「……な、何?」
「いや。美味しそうに食べるなぁと思って。」
「え、えへへ……?佐和田くんも食べなよ。」
「うん。いただきます。」
肉汁の芳ばしい香りが口に広がった。美味い。
「おいしいね!」
「うん。」
瑞木さんは嬉しそうに頬張った。ほんとに嬉しそうに。やっぱり僕には眩しすぎる。なんだろう、この気持ち。変な気持ち。
「……?」
「どした。」
「いや、なんでもない。」
僕たちはひとまず食事を済ませた。
色々な屋台をまわる。
「射的だって!したことある?」
「いや、無い。」
「やってみようよ!」
「うん、いいよ。」
いつもよりちょっとだけテンションが高い瑞木さんはさっきから僕の手を掴んで歩いている。はぐれないようにだと思うけど。僕ってぼんやりしてるし。
「1回300円でーす。」
「はい!」
瑞木さんはライフルを構えた。
「何とるの?」
「あれ。」
うさぎのキーホルダー。えっ、かわいいな。
「……っ!」
パンッ。弾はうさぎの微かに右を通り過ぎていった。
「あっ。外れちゃった~。」
「貸して貸して。僕やる。」
物理は得意だし。やけにムキになって銃口をうさぎの胸に向けた。
「が、がんばって……!」
パンッ。弾がうさぎを直撃する。っしゃ。
「おぉ!すごい!!かっこいい!」
か、かっこいい。それはちょっと照れる。
「はい、どうぞ。」
「えぇ、いいの?ありがとう!!」
うさぎをショルダーバッグに付ける。
「わ、見て、かわいい。」
「うん、可愛いね。」
瑞木さんはにこにこした。胸がしめつけられる。
「……佐和田くん。」
「ん?」
「次は、あっち行こ!ヨーヨー釣りとか、ダーツとかあるとこ!」
瑞木さんはまた僕の手を掴んで歩き出した。
「楽しい?」
「うん!」
鼻の奥がじわっとなった。
「佐和田くんは?」
「えっ、僕?」
「うん!楽しい?」
「……うん、楽しいよ。」
「そっか。」
人混みをかき分けてダーツの屋台まで歩いた。
「ダーツしたいの?」
「うん!あれが欲しいの。」
指さしたのはブレスレット。
「へぇ。」
「1回200円です。」
瑞木さんはダーツの投げるやつを構えた。真剣な眼差しで的を見据える。ヒュッと的を射た。
「3点!この中から選んでください!」
「はい、これで!」
お望みのブレスレットを手に入れ、ご満悦の様子。
「佐和田くん、ちょっと手、貸して。」
瑞木さんは僕の手首にブレスレットを着けた。月明かりを浴びて青く光る。
「あげる!」
「え……あ、ありがとう。」
「うん!それ、12月の誕生石なんだよ。」
「あぁ……そういうこと。」
「うんっ!」
そのあと、かき氷を食べた。瑞木さんの楽しそうな笑い声が僕の心に刺さる。
To be continued…
というわけで、おうちの前で待機中。前から男の子がきょろきょろしながら歩いてくる。
「佐和田くーん!」
手を振ると、振り返してくれた。
「や。ちょっと迷った。」
「ごめん、分かりにくい場所で。」
「ううん。行こっか。」
「うん。」
ど、どうしよう……緊張しちゃう……浴衣、似合ってるなぁ……かっこいい……。
「ね。」
「ん?ご、ごめん、何?」
「ん?いや、花火ってあったよね?って。」
「あ、う、うん!」
私の歩幅に合わせてなのか、ゆっくり歩いてくれる。
「暑いね。」
「そうだねぇ。夏休みの宿題どのくらいやった?」
「あー、全然やってない。毎日の生活記録しか書いてない。」
「まじ?」
「うん。瑞木さんは?」
「政・経のテキストはもうすぐ終わるかなぁ。数学と物理は終わったよ。」
「ひょー。すご。どこからそのやる気出てくるの。」
「うーん。問題解けると楽しくない?」
「えー。解くまでがめんどいよ。」
「でも解いたら合ってるんでしょ?」
「うーん。うん。」
「まぁ、じゃあいいんじゃん?」
「えっ。」
「ん?」
「いや。じゃあしなよって言われると思ったから。」
「したくないものは仕方ないよ!ね?」
「そ、そうか……。」
佐和田くんは何か不思議な表情で私のことを見ていた。
祭り会場に着いた。
「瑞木さん、何かしたいことある?」
「お腹空いたなぁ。何か食べようよ!」
爽やかな笑顔で僕の方を振り向いた。傷ついた僕の心には眩しすぎる笑顔。
「うん。食べよ。」
僕たちはフランクフルトなんかを買ってベンチに座った。
「いただきまーす。」
カリッといい音を立てて、瑞木さんがフランクフルトにかぶりつく。
「……な、何?」
「いや。美味しそうに食べるなぁと思って。」
「え、えへへ……?佐和田くんも食べなよ。」
「うん。いただきます。」
肉汁の芳ばしい香りが口に広がった。美味い。
「おいしいね!」
「うん。」
瑞木さんは嬉しそうに頬張った。ほんとに嬉しそうに。やっぱり僕には眩しすぎる。なんだろう、この気持ち。変な気持ち。
「……?」
「どした。」
「いや、なんでもない。」
僕たちはひとまず食事を済ませた。
色々な屋台をまわる。
「射的だって!したことある?」
「いや、無い。」
「やってみようよ!」
「うん、いいよ。」
いつもよりちょっとだけテンションが高い瑞木さんはさっきから僕の手を掴んで歩いている。はぐれないようにだと思うけど。僕ってぼんやりしてるし。
「1回300円でーす。」
「はい!」
瑞木さんはライフルを構えた。
「何とるの?」
「あれ。」
うさぎのキーホルダー。えっ、かわいいな。
「……っ!」
パンッ。弾はうさぎの微かに右を通り過ぎていった。
「あっ。外れちゃった~。」
「貸して貸して。僕やる。」
物理は得意だし。やけにムキになって銃口をうさぎの胸に向けた。
「が、がんばって……!」
パンッ。弾がうさぎを直撃する。っしゃ。
「おぉ!すごい!!かっこいい!」
か、かっこいい。それはちょっと照れる。
「はい、どうぞ。」
「えぇ、いいの?ありがとう!!」
うさぎをショルダーバッグに付ける。
「わ、見て、かわいい。」
「うん、可愛いね。」
瑞木さんはにこにこした。胸がしめつけられる。
「……佐和田くん。」
「ん?」
「次は、あっち行こ!ヨーヨー釣りとか、ダーツとかあるとこ!」
瑞木さんはまた僕の手を掴んで歩き出した。
「楽しい?」
「うん!」
鼻の奥がじわっとなった。
「佐和田くんは?」
「えっ、僕?」
「うん!楽しい?」
「……うん、楽しいよ。」
「そっか。」
人混みをかき分けてダーツの屋台まで歩いた。
「ダーツしたいの?」
「うん!あれが欲しいの。」
指さしたのはブレスレット。
「へぇ。」
「1回200円です。」
瑞木さんはダーツの投げるやつを構えた。真剣な眼差しで的を見据える。ヒュッと的を射た。
「3点!この中から選んでください!」
「はい、これで!」
お望みのブレスレットを手に入れ、ご満悦の様子。
「佐和田くん、ちょっと手、貸して。」
瑞木さんは僕の手首にブレスレットを着けた。月明かりを浴びて青く光る。
「あげる!」
「え……あ、ありがとう。」
「うん!それ、12月の誕生石なんだよ。」
「あぁ……そういうこと。」
「うんっ!」
そのあと、かき氷を食べた。瑞木さんの楽しそうな笑い声が僕の心に刺さる。
To be continued…
0
あなたにおすすめの小説
マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった
naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】
出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。
マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。
会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。
――でも、君は彼女で、私は彼だった。
嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。
百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。
“会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。
うわさの行方
下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。
すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。
戦場から帰るまでは。
三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。
ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
あざとさを捨てた令嬢は、若き公爵に溺愛される
古紫汐桜
恋愛
婚約者の裏切りを目撃し、命を落とした“私”が目を覚ましたのは、
見知らぬ貴族令嬢の身体の中だった。
そこは、誰かの悪意によって評判を地に落とした世界。
かつて“あざとさ”で生きていた彼女の代わりに、
私はその人生を引き受けることになる。
もう、首を揺らして媚びる生き方はしない。
そう決めた瞬間から、運命は静かに歪み始めた。
冷酷と噂される若公爵ユリエル。
彼もまた、自らの運命に抗い続けてきた男だった。
そんな彼が、私にだけ見せた執着と溺愛。
選び直した生き方の先で待っていたのは、
溺れるほどの愛だった。
あざとさを捨てた令嬢と、運命に翻弄される若公爵。
これは、“やり直し”では終わらない、致命的な恋の物語。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
あなたの片想いを聞いてしまった夜
柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」
公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。
政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。
しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。
「好きな人がいる。……片想いなんだ」
名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる