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25.笑った顔が好きだから
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花火20分前。佐和田くんと私は花火が見えるベンチに座った。
「花火、楽しみだね!」
「うん。」
佐和田くんはちっとも楽しそうな顔をしていない。今日はずっと、下を向いてる。私は立ち上がって佐和田くんの前に立った。佐和田くんが不思議そうに私を見上げる。
「……さ、佐和田くん。」
「うん?」
「……た、楽しくない?」
「え。」
「わ、私とふたりじゃ、やっぱり楽しくない?」
「あっ、いや、そ、そうじゃなくて……。」
佐和田くんは慌てて否定した。
「でも。佐和田くん、元気ないよ。」
「……瑞木さんと遊んでるのは、楽しい……。」
「何かあった?」
佐和田くんの目を見つめる。その瞳には見る見る間に涙が溜まる。
「えっ、さ、佐和田くん?」
「っ……さみしい……。」
小さい子みたいに手の甲で涙を拭う佐和田くんを、思わず抱きしめてしまった。
「……良かったら、私におはなしして?」
佐和田くんは私の胸の中で頷いた。
「っ……こ、こんな事で泣いてるってくだらないって思うかもだけど……ずっと、もう、8年育ててた、サボテンがあって……毎朝、外に出して日光を浴びさせるのが、日課だったんだけどね、いつも、してたことなのに……一昨日、母さんがいつもみたいに中に、入れようとしたら、た、食べ、られてたって……僕が帰ってきた時には、もう、色も変なのになってて……っ……うっ……。」
私の服をぎゅうっと掴んで、嗚咽を漏らした。
「くだらなくなんかないよ。家族みたいなものなんでしょ?寂しいに決まってるよ。」
佐和田くんは何度も頷いた。私は佐和田くんの頭をそっと撫でた。柔らかい髪の毛の感触が手に直接伝わってくる。佐和田くんはしばらく泣いていた。
「……落ち着いた?」
「うん……ごめんね……楽しい時に……。」
「ううん。」
佐和田くんは俯いた。
「怜くん。」
私はしゃがんで佐和田くんと目線を合わせた。
「私、怜くんの、笑ってる顔、好きなの。」
佐和田くんがびっくりしたように顔を上げる。
「き、急に何って感じだよね……あ、あのね、だから、笑って、欲しいなぁって……。」
その時、後ろで大きな音を立てて花火が始まった。
「わっ、始まっちゃった!」
私は立ち上がって花火を見上げた。
「わ~、綺麗~!」
不意に、後から抱きしめられた。
「っ……!さ、佐和」
「ありがとう。……笑った顔が好きとか、初めて言われた。……瑞木さんと遊べて、楽しかったのはほんと。……瑞木さんの笑顔で元気になれそう。」
そう言って、佐和田くんはふわっと微笑んだ。
「……!!」
「あ、ごめん。くっついて。」
声が出なくて、首を振るしかできない。
「ど、どうした?大丈夫?」
「う、うんうん、だ、大丈夫。は、花火見よ?」
「うん。」
花火を見上げている佐和田くんを見上げる。胸がいっぱいで頭が働かない。佐和田くんが、私に向かって、私のことで、微笑んだんだ。嬉しくて嬉しくて、涙が出そうだ。ぽーっとしている間に、花火は終わってしまった。
「終わっちゃったね。」
「うん……綺麗だった。……さ、佐和田くん。」
「ん?」
「ま、また、遊ぼう。夏休み、遊ぼうよ!ふ、ふたり、で……。」
「うん。遊ぶ。」
佐和田くんはにこっと笑った。胸が苦しいほどに嬉しい。
「怜……!?」
ふと、後から声がした。振り返ると、八神くんといのりちゃんが手を繋いで立っていた……!?
「だっ、乃希!?来てたの!?」
「こっちのセリフだよ。」
「……た、小鳥遊さんと?」
「うん。」
八神くんは佐和田くんに近付いて、何かを耳に囁いた。
「……そう。乃希がそう言うなら、そうなんだと思うけど。」
「おう!じゃーな!」
「さやちゃん、ばいばーい!」
「うん!」
ふたりは去っていった。
「なんて?」
「……いや。小鳥遊さんからいつか聞くと思うよ。」
八神くんが幸せそうで、少し安心した。嬉しそうないのりちゃんも可愛いし。
「瑞木さん。ありがとう。楽しかった。」
「……うん。私も。すごく楽しかった。ありがとう。」
「瑞木さん。なんで僕のこと誘ったの?」
「なんでだと思う?」
「……え、えっと。」
「教えないっ!ねぇ、最後にレモネード飲もうよ!」
「あぁ、いいね。」
ま、また笑った……ほんとはよく笑うのかな……?私は佐和田くんの手を掴んで歩き出した。
To be continued…
「花火、楽しみだね!」
「うん。」
佐和田くんはちっとも楽しそうな顔をしていない。今日はずっと、下を向いてる。私は立ち上がって佐和田くんの前に立った。佐和田くんが不思議そうに私を見上げる。
「……さ、佐和田くん。」
「うん?」
「……た、楽しくない?」
「え。」
「わ、私とふたりじゃ、やっぱり楽しくない?」
「あっ、いや、そ、そうじゃなくて……。」
佐和田くんは慌てて否定した。
「でも。佐和田くん、元気ないよ。」
「……瑞木さんと遊んでるのは、楽しい……。」
「何かあった?」
佐和田くんの目を見つめる。その瞳には見る見る間に涙が溜まる。
「えっ、さ、佐和田くん?」
「っ……さみしい……。」
小さい子みたいに手の甲で涙を拭う佐和田くんを、思わず抱きしめてしまった。
「……良かったら、私におはなしして?」
佐和田くんは私の胸の中で頷いた。
「っ……こ、こんな事で泣いてるってくだらないって思うかもだけど……ずっと、もう、8年育ててた、サボテンがあって……毎朝、外に出して日光を浴びさせるのが、日課だったんだけどね、いつも、してたことなのに……一昨日、母さんがいつもみたいに中に、入れようとしたら、た、食べ、られてたって……僕が帰ってきた時には、もう、色も変なのになってて……っ……うっ……。」
私の服をぎゅうっと掴んで、嗚咽を漏らした。
「くだらなくなんかないよ。家族みたいなものなんでしょ?寂しいに決まってるよ。」
佐和田くんは何度も頷いた。私は佐和田くんの頭をそっと撫でた。柔らかい髪の毛の感触が手に直接伝わってくる。佐和田くんはしばらく泣いていた。
「……落ち着いた?」
「うん……ごめんね……楽しい時に……。」
「ううん。」
佐和田くんは俯いた。
「怜くん。」
私はしゃがんで佐和田くんと目線を合わせた。
「私、怜くんの、笑ってる顔、好きなの。」
佐和田くんがびっくりしたように顔を上げる。
「き、急に何って感じだよね……あ、あのね、だから、笑って、欲しいなぁって……。」
その時、後ろで大きな音を立てて花火が始まった。
「わっ、始まっちゃった!」
私は立ち上がって花火を見上げた。
「わ~、綺麗~!」
不意に、後から抱きしめられた。
「っ……!さ、佐和」
「ありがとう。……笑った顔が好きとか、初めて言われた。……瑞木さんと遊べて、楽しかったのはほんと。……瑞木さんの笑顔で元気になれそう。」
そう言って、佐和田くんはふわっと微笑んだ。
「……!!」
「あ、ごめん。くっついて。」
声が出なくて、首を振るしかできない。
「ど、どうした?大丈夫?」
「う、うんうん、だ、大丈夫。は、花火見よ?」
「うん。」
花火を見上げている佐和田くんを見上げる。胸がいっぱいで頭が働かない。佐和田くんが、私に向かって、私のことで、微笑んだんだ。嬉しくて嬉しくて、涙が出そうだ。ぽーっとしている間に、花火は終わってしまった。
「終わっちゃったね。」
「うん……綺麗だった。……さ、佐和田くん。」
「ん?」
「ま、また、遊ぼう。夏休み、遊ぼうよ!ふ、ふたり、で……。」
「うん。遊ぶ。」
佐和田くんはにこっと笑った。胸が苦しいほどに嬉しい。
「怜……!?」
ふと、後から声がした。振り返ると、八神くんといのりちゃんが手を繋いで立っていた……!?
「だっ、乃希!?来てたの!?」
「こっちのセリフだよ。」
「……た、小鳥遊さんと?」
「うん。」
八神くんは佐和田くんに近付いて、何かを耳に囁いた。
「……そう。乃希がそう言うなら、そうなんだと思うけど。」
「おう!じゃーな!」
「さやちゃん、ばいばーい!」
「うん!」
ふたりは去っていった。
「なんて?」
「……いや。小鳥遊さんからいつか聞くと思うよ。」
八神くんが幸せそうで、少し安心した。嬉しそうないのりちゃんも可愛いし。
「瑞木さん。ありがとう。楽しかった。」
「……うん。私も。すごく楽しかった。ありがとう。」
「瑞木さん。なんで僕のこと誘ったの?」
「なんでだと思う?」
「……え、えっと。」
「教えないっ!ねぇ、最後にレモネード飲もうよ!」
「あぁ、いいね。」
ま、また笑った……ほんとはよく笑うのかな……?私は佐和田くんの手を掴んで歩き出した。
To be continued…
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