気だるげ王子の微笑みが見たくて

うかかなむらる

文字の大きさ
27 / 42

27.かわいい!

しおりを挟む
 今日は、だいきくんとデート。今はサンドイッチ屋さんでランチ中です。
「いのり、何食べたい?」
「これ!」
「おー、いいなぁ!」
メニューをのぞき込むだいきくん。うぅ、近いよぉ……。
「いのり?」
「はっ、う、うん?」
「今日の髪型かわいいな。」
二つ結びにしてみました。
「へっ……そ、そうでございますか。」
「うん。似合ってる。」
い、いやだこの人……無自覚なのかな、わざとかな……どっちにしても嫌だ!ドキドキして心臓病になりそう。
「ほら、いのり。こっち座ろ。」
わたしの手を握って席に連れて行く。幼馴染だし、触るのに躊躇がないのは分かるんだけど、不意に手なんか繋がれたら、さすがにびっくりするよ。
「……あれ、怜と瑞木さんだ。」
だいきくんがじっとお店の外を見つめている。
「楽しそうだね。」
「……うん。」
「怜離れ、しないの?」
「……したい。けど、やっぱりちょっと寂しいよな。俺じゃない誰かと楽しそうにしてんのは。瑞木さんだから、なおさら。」
そう言って、だいきくんはさわだくんたちから目を逸らした。わたしだって微妙な気持ちだったよ。だいきくんがさやちゃんのことが好きって行った時は。とっさに応援しちゃったけど、あれって自分にとっては全然良くない行為だった。
「よし、食べるか!」
「うん……!」
あ、さわだくんがだいきくんに気付いた……!
「よう。」
「れ、怜!」
「やっほ、いのりちゃん!デート中にごめんね。」
「あ、ううん!さやちゃん可愛い~!」
新しいワンピース。
「あ、そうだ。小鳥遊さん、グミいる?」
「いる!」
「なんかの景品で貰ったんだけど、僕も瑞木さんも要らなくて。」
さわだくんは、グミの袋をパコって開けて、私に向けた。わたしは1粒、可愛い形のやつを取った。
「ありがと~!」
桃味のグミだ。そういえば、さやちゃんってグミ苦手なんだっけ。
「乃希は?」
「いる!」
「ん。」
だいきくんには、さわだくんが自分で1粒取って口に突っ込んだ。
「もう全部あげる。」
「ありがと~。」
だいきくんは嬉しそうに袋を受け取った。……まこちゃんに見せてあげたかったなぁ。このふたりって、けっこう無自覚にいちゃいちゃするよね。
「怜たちは今からどこ行くの?」
「ここで昼ごはんを食べた後は、特に決めてないよ、ね。」
「うん!」
さやちゃんが乙女だぁ、可愛い!
「ふーん。ま、楽しんで~!」
「そっちも~。」
男子たちは意外とそっけなく手を振った。
「ばいばーい!」
さやちゃんは私におっきく手を振った。だいきくんはさわだくんのことを見てる。さわだくんは、1回振り返った。だいきくんは今度はちゃんと手を振った。さわだくんはイケメンな感じで手を振り返した。寂しいなら、そう言えばいいのに。男の子って素直じゃないなぁ。ふたりは、わたしたちからちょっと離れた席に座った。
「よし、食おうぜ!」
「うん!」
食べてるだいきくん、かわいい。口いっぱいに頬張って、もぐもぐって。小動物みたい。
「美味い!」
「それは良かった。」
「いのりのは?一口ちょうだい!」
これは、ちぎるべきじゃないよね。わたしの食べかけを差し出すと、何の躊躇もなくかぶりついた。うぅ、かわいい……。
「ん!んっ!」
なんか感激してる……かわいい。
「美味いね!」
「うん、そうだね。」
「はっ!」
あれ、間接キスに気付いたのかな。う、わぁ、赤くなってる……!かわいい!
「ご、ごめん。」
「ううん。美味しいね?」
「う、うん……えへへ。」
やだ、かわいい。

 食べ終わって、だいきくんはお手洗に行きました。お手洗の近くでだいきくんを待つ。
「あれ~?君ひとり~??」
チャラチャラした変な男の子が2人、近付いてきた。あれ、これはよくあるあれだ……ど、どうしよう、ちょっと怖い。
「ひ、ひとりじゃないです。」
「ひとりじゃないの~?」
「でも今ひとりじゃ~ん?」
「俺らと遊ばねぇ??」
「楽しいぜ~?」
「え、遠慮します。」
その人たちは、わたしの腕を1本ずつ掴んで引っ張った。
「や、やめてください!」
周りの人は、知らん顔で通り過ぎていく。
「やめて、離して!」
「かわいいね~、君。」
連れて行かれそうになって、必死に抵抗した。怖い、怖いよ……。


To be continued…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった

naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】 出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。 マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。 会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。 ――でも、君は彼女で、私は彼だった。 嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。 百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。 “会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。

うわさの行方

下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。 すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。 戦場から帰るまでは。 三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。 ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

あざとさを捨てた令嬢は、若き公爵に溺愛される

古紫汐桜
恋愛
婚約者の裏切りを目撃し、命を落とした“私”が目を覚ましたのは、 見知らぬ貴族令嬢の身体の中だった。 そこは、誰かの悪意によって評判を地に落とした世界。 かつて“あざとさ”で生きていた彼女の代わりに、 私はその人生を引き受けることになる。 もう、首を揺らして媚びる生き方はしない。 そう決めた瞬間から、運命は静かに歪み始めた。 冷酷と噂される若公爵ユリエル。 彼もまた、自らの運命に抗い続けてきた男だった。 そんな彼が、私にだけ見せた執着と溺愛。 選び直した生き方の先で待っていたのは、 溺れるほどの愛だった。 あざとさを捨てた令嬢と、運命に翻弄される若公爵。 これは、“やり直し”では終わらない、致命的な恋の物語。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

あなたの片想いを聞いてしまった夜

柴田はつみ
恋愛
「『好きな人がいる』——その一言で、私の世界は音を失った。」 公爵令嬢リリアーヌの初恋は、隣家の若き公爵アレクシスだった。 政務や領地行事で顔を合わせるたび、言葉少なな彼の沈黙さえ、彼女には優しさに聞こえた。——毎日会える。それだけで十分幸せだと信じていた。 しかしある日、回廊の陰で聞いてしまう。 「好きな人がいる。……片想いなんだ」 名前は出ない。だから、リリアーヌの胸は残酷に結論を作る。自分ではないのだ、と。

処理中です...