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アニドル10『ホパホパ行くぜぃ!!!!!!2016 in TOKYO』
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今日はいよいよhoperのライブ初日。ライブ開始まであと三分。会場は満員。ドーム全体が女子の喜びに満ちていた。ちょこちょこ男性もみえた。メンバー達は、緊張しまくっていた。登場は、ドームの色々なところから徐々に出てくるという演出のため、それぞれ一人で集中力を高めていた。いよいよ始まる。かの有名な東京ドームで、hoperのライブが……始まるのだ。
三……二……一……バーーーーーーーーン!!
キャーーーーーーー!!
永穂が出てきた。黄色い歓声が響き渡る。
バーーーーーーーーン!!
キャーーーーーーー!!
淳田も出てきた。次は蓼丸だ。
バーーーーーーーーン!!
キャーーーーーーー!!
心地よい歓声。蓼丸はドキドキした。これが東京ドームかと、改めて感心した。景色が全然違う。真玉、桜小路、雲母も出てきた。さすがに雲母のときの歓声は一際デカかった。そして、hoperの人生過去最大の舞台が、幕を開けた。最初に歌うのはやはりデビュー曲の「KTSMAN!!!!!!希望と参謀の男」だ。メンバー紹介のような曲で、地方ライブでもいつも大盛り上がりだった。一曲目ですっかり客を虜にしたhoperは、その後も順調に前半を進めた。前半の間に桜小路と真玉と永穂のソロ曲もあった。桜小路はしっとりとした恋のバラード。真玉は可愛い彼女との楽しいデートデーの歌。永穂は大人の失恋曲だ。キャラがにじみ出ている。そして、hoperの見所の一つであるトークタイム、MCの時間がやってきた。hoperは、グループ全員とても仲良しで、比較的全員賢いため、リズムの良く、センスも良いトークが人気なのだ。
「えっと、実は今日、みんなに伝えたいことがあるんだけど……。」
永穂が、さっそく本題を切り出した。メンバーに緊張が走る。観客はざわつく。
「賢ちゃん。」
真玉が促す。蓼丸がスーハーと息を整えた。
「えっと……実は俺……アニヲタなんです……!!」
観客の頭の上にはクエスチョンマークとエクスクラメーションマーク(!←これ)が大量発生した。
「あ、みんな『☆ごぉです☆』って知ってる?」
一瞬にして、ドーム内には「あぁー、あれね。」という顔をするファンが大量に生まれたが、まだいまいちわかっていないファンも三分の一ほどいた。
「あ、じゃあちょっと今持ってくる。」
蓼丸が一旦退場。長い沈黙……。
「何持ってくるんだろ。」
耐えきれず雲母がつぶやく。
「何だろ。グッズ?」
「持ち歩いてんの!?」
「さぁ?」
「携帯じゃない?待ち受けだし。」
完全にhoperのプライベートトークが始まった。そこに蓼丸が帰ってきた、雑誌を持って。カメラが寄ってくる。
「これこれ。」
ドームのモニターに蓼丸が持ってきた雑誌の表紙がでかでかと映る。麗亜と翔と凛奈が仲良くピースをしている。いまいち分かっていなかったファンも、見れば分かった。『☆ごぉです☆』の認知度はそんな感じだ。
「これこれ。これの、麗亜ちゃんが僕の推しキャラですねぇ。」
突然一人称が「僕」に変わる蓼丸。緊張しているのか、興奮しているのか……。
「それ持ち歩いてんの!?」
真玉の容赦ない質問。
「違うよ!今日発売日だったからここ来る前に買ってきたの!!」
反論する蓼丸。
「ライブ前に何してんの!?」
永穂兄さんのごもっともなご意見。
「本当に好きなんだねぇ……。」
半ば呆れ気味な雲母。
「あのね!麗亜ちゃんも好きなんだけど、『☆ごぉです☆』もいいアニメなの!声優さんもすごい実力派でね!女神様みたいな麗亜ちゃんはモテるから他の女子から無視されたりして友達が居なくてね、でも、そんなの気にせず分け隔てなく麗亜ちゃんと仲良くしてくれる凛奈ちゃんと、いつも麗亜ちゃんの見方をしてくれる滝本さんとが麗亜ちゃんをいじめてた女子たちをギャフンと言わせようって!友情と恋心が美しいねぇ。僕にはなかった青春だねぇ。」
……。
「そういうこと。」
桜小路が総ざらいした。
「そういうこと。」
なぜか真玉がもう一度言った。
「今のまだ本気じゃないでしょ。」
淳田がニヤける。ドーム中の視線が蓼丸に集中する。
「え、本気は出さないよ?」
蓼丸、バッサリ。
「えぇー。」
真玉、ガッカリ。
「俺はあんまり見たくなかったわ。」
桜小路、ホッ。
「麗亜ちゃん可愛いね。」
恋する雲母くん。蓼丸の目が光る。
「えー、オッホン。こんな賢ちゃんですが、みなさんどう思う?」
永穂、蓼丸が本気になるのを制することに成功。とりあえず、会場内のホパガールズには、蓼丸がごぉですクラスタ(ごぉです好きな人、という意味?)であることがばれた。というより、自らばらした。MCはこの後少し続いた。その後もライブは普通に進んだ。蓼丸のソロ曲での、
「こんなに君を愛しているのに、この手は君に届かない。」
という部分では、若干笑いそうになっているファンはいたが……。
「以上持ちまして、『ホパホパ行くぜぃ!!!!!!2016 in TOKYO』を、閉演されていただきます。」
アナウンスにて、そう言ったのは、桜小路だ。
「本日は、みなさんどうもありがとうございました。」
永穂。
「混み合うことが予想されますので、アナウンスの指示に従って、お帰りください。」
蓼丸。
「また、グッズの販売は、九時までしておりますので、そちらも是非寄っていってくださいね!」
淳田
「本日は、本当にどうもありがとうございました!」
真玉。
「気をつけて帰ってくださいね!おやすみなさい。」
雲母。そして、hoperのライブ初日が終わった。
最終日は、昼公演と夜公演の二回。どちらも、流れは初日と同じだ。『☆ごぉです☆』のトークも、だいたい同じ内容だった。
アニドル11『☆ごぉです☆5anniversary……そして、蓼丸の時代』へ続く!
三……二……一……バーーーーーーーーン!!
キャーーーーーーー!!
永穂が出てきた。黄色い歓声が響き渡る。
バーーーーーーーーン!!
キャーーーーーーー!!
淳田も出てきた。次は蓼丸だ。
バーーーーーーーーン!!
キャーーーーーーー!!
心地よい歓声。蓼丸はドキドキした。これが東京ドームかと、改めて感心した。景色が全然違う。真玉、桜小路、雲母も出てきた。さすがに雲母のときの歓声は一際デカかった。そして、hoperの人生過去最大の舞台が、幕を開けた。最初に歌うのはやはりデビュー曲の「KTSMAN!!!!!!希望と参謀の男」だ。メンバー紹介のような曲で、地方ライブでもいつも大盛り上がりだった。一曲目ですっかり客を虜にしたhoperは、その後も順調に前半を進めた。前半の間に桜小路と真玉と永穂のソロ曲もあった。桜小路はしっとりとした恋のバラード。真玉は可愛い彼女との楽しいデートデーの歌。永穂は大人の失恋曲だ。キャラがにじみ出ている。そして、hoperの見所の一つであるトークタイム、MCの時間がやってきた。hoperは、グループ全員とても仲良しで、比較的全員賢いため、リズムの良く、センスも良いトークが人気なのだ。
「えっと、実は今日、みんなに伝えたいことがあるんだけど……。」
永穂が、さっそく本題を切り出した。メンバーに緊張が走る。観客はざわつく。
「賢ちゃん。」
真玉が促す。蓼丸がスーハーと息を整えた。
「えっと……実は俺……アニヲタなんです……!!」
観客の頭の上にはクエスチョンマークとエクスクラメーションマーク(!←これ)が大量発生した。
「あ、みんな『☆ごぉです☆』って知ってる?」
一瞬にして、ドーム内には「あぁー、あれね。」という顔をするファンが大量に生まれたが、まだいまいちわかっていないファンも三分の一ほどいた。
「あ、じゃあちょっと今持ってくる。」
蓼丸が一旦退場。長い沈黙……。
「何持ってくるんだろ。」
耐えきれず雲母がつぶやく。
「何だろ。グッズ?」
「持ち歩いてんの!?」
「さぁ?」
「携帯じゃない?待ち受けだし。」
完全にhoperのプライベートトークが始まった。そこに蓼丸が帰ってきた、雑誌を持って。カメラが寄ってくる。
「これこれ。」
ドームのモニターに蓼丸が持ってきた雑誌の表紙がでかでかと映る。麗亜と翔と凛奈が仲良くピースをしている。いまいち分かっていなかったファンも、見れば分かった。『☆ごぉです☆』の認知度はそんな感じだ。
「これこれ。これの、麗亜ちゃんが僕の推しキャラですねぇ。」
突然一人称が「僕」に変わる蓼丸。緊張しているのか、興奮しているのか……。
「それ持ち歩いてんの!?」
真玉の容赦ない質問。
「違うよ!今日発売日だったからここ来る前に買ってきたの!!」
反論する蓼丸。
「ライブ前に何してんの!?」
永穂兄さんのごもっともなご意見。
「本当に好きなんだねぇ……。」
半ば呆れ気味な雲母。
「あのね!麗亜ちゃんも好きなんだけど、『☆ごぉです☆』もいいアニメなの!声優さんもすごい実力派でね!女神様みたいな麗亜ちゃんはモテるから他の女子から無視されたりして友達が居なくてね、でも、そんなの気にせず分け隔てなく麗亜ちゃんと仲良くしてくれる凛奈ちゃんと、いつも麗亜ちゃんの見方をしてくれる滝本さんとが麗亜ちゃんをいじめてた女子たちをギャフンと言わせようって!友情と恋心が美しいねぇ。僕にはなかった青春だねぇ。」
……。
「そういうこと。」
桜小路が総ざらいした。
「そういうこと。」
なぜか真玉がもう一度言った。
「今のまだ本気じゃないでしょ。」
淳田がニヤける。ドーム中の視線が蓼丸に集中する。
「え、本気は出さないよ?」
蓼丸、バッサリ。
「えぇー。」
真玉、ガッカリ。
「俺はあんまり見たくなかったわ。」
桜小路、ホッ。
「麗亜ちゃん可愛いね。」
恋する雲母くん。蓼丸の目が光る。
「えー、オッホン。こんな賢ちゃんですが、みなさんどう思う?」
永穂、蓼丸が本気になるのを制することに成功。とりあえず、会場内のホパガールズには、蓼丸がごぉですクラスタ(ごぉです好きな人、という意味?)であることがばれた。というより、自らばらした。MCはこの後少し続いた。その後もライブは普通に進んだ。蓼丸のソロ曲での、
「こんなに君を愛しているのに、この手は君に届かない。」
という部分では、若干笑いそうになっているファンはいたが……。
「以上持ちまして、『ホパホパ行くぜぃ!!!!!!2016 in TOKYO』を、閉演されていただきます。」
アナウンスにて、そう言ったのは、桜小路だ。
「本日は、みなさんどうもありがとうございました。」
永穂。
「混み合うことが予想されますので、アナウンスの指示に従って、お帰りください。」
蓼丸。
「また、グッズの販売は、九時までしておりますので、そちらも是非寄っていってくださいね!」
淳田
「本日は、本当にどうもありがとうございました!」
真玉。
「気をつけて帰ってくださいね!おやすみなさい。」
雲母。そして、hoperのライブ初日が終わった。
最終日は、昼公演と夜公演の二回。どちらも、流れは初日と同じだ。『☆ごぉです☆』のトークも、だいたい同じ内容だった。
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