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アニドル16『悪女』
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蓼丸は電話を切った。
「だ、大丈夫なの?」
杉菜が不安そうにそう言った。
「あ、あっ、はい。すみません、驚きましたよね。」
「うんうん。次元が違うもん。」
杉菜はなぜかさっきからタメ口だ。蓼丸はまんざらでもない感じだが、杉菜は酔っているだけだろう。
「ですよねー……。よく考えたらなんで電話できてるんだか。」
「ほんとよねー!すごい不思議!そういうの、奈菜歌ちゃんが詳しかった気がする……。聞いてみようかなぁ?」
「へぇ!要さんが!」
要奈菜歌というのは、「☆ごぉです☆」の、麗亜の親友、中濱凛奈の担当声優だ。2人はとりあえず店内に入った。
「いらっしゃいませー!ってあぁ、賢太。おひさじゃん。」
「よっ!最近来れてなかったな。」
ここの店は、蓼丸の友達が経営している。
「カノジョ?」
「ちげーわ。」
「なんだ。へい、2名様、あちらの席へどーぞ。」
「どーも!」
個室に入った2人は、座った。掘りごたつだ。
「ご注文は?」
「あー、僕はビールで。杉菜さん、どうします?」
「私もビールでぇ!」
「かしこまりました、ビーム2本ですね。」
「ビールね。」
「はーい。」
蓼丸の友達である店員は、去った。杉菜は、お絞りで手を拭きながら言った。
「面白い方。」
「変な奴ですよ。」
「あ、ねぇ、蓼丸さん。」
「はい?」
「私って、悪女ですか?」
「えっ?どうしてですか!」
蓼丸は戸惑った。杉菜は何を言い出すのか。
「人を騙すのって、悪いことですよね?」
「ま、まぁ。」
「私はあなたを騙しています。」
「え、えぇ!?」
「私……酔っ払ってません!」
「ほえ!?」
蓼丸が変な声を出した。杉菜はニヤッと笑った。
「なんで!?」
杉菜はお絞りを畳んでテーブルにおいた。
「元々、明日の買い物には奈菜歌ちゃんを誘ったんですけど、予定が入ってたみたいで……。誰が行ってくれる人いないかなぁと思って街を歩いてたら偶然あなたに出会いました。」
「は、はい。」
「最初は、あなたに明日の買い物に付き合ってもらおうと思ってあなたをご飯に誘いました。」
「えぇ!?」
「ごめんなさいね、利用して。でも……なぜ私が酔ったフリをしたか……。」
蓼丸は乗り出した。
「蓼丸さんとまだ一緒にいたかったからです。帰らない口実を作るのが下手で……。」
驚く蓼丸。杉菜は淡々と語る。
「って突然言われても困りますよねー。とにかく!私は酔ってません。」
蓼丸は困惑した。一緒にいたかったということが理解出来なかった。「一緒にいたいって……え?つまり?え?」とこんがらがっていた。そこに、ちょうど蓼丸の友達がきた。
「ビールでーす。」
「あ。ありがと……。」
「賢太?大丈夫か?魂抜けたみてぇな面して。」
「ダイジョブ。」
「ふーん?ビールでも飲んで彼女とイチャつけぇい。」
「だかっ!彼女じゃないって!」
「そうなのか……つまんねぇ。」
「ほーらー仕事せい!」
蓼丸は去るよう促した。
「はいはーい。ごゆるりと。」
再び室内は二人になった。沈黙……。最初に話し始めたのは杉菜だ。
「なんか……ごめんなさい。私のせいでこんな雰囲気になっちゃって。」
「いえ……いいんです。いいんですけど、こういうの慣れなくて。」
「まだ、若いですもんね。」
「そんなに変わりませんよ!」
「ですか?3つって結構ありますよ、年の差。
ここで2人はビールを飲んだ。
「そんなもんですかね?」
「年の差って年を取れば感じなくなるって言うけれど、私は未だに2、3この年の差は大きく感じちゃうなぁ。」
「俺は、メンバーが結構年上なので、慣れちゃったんですかね、男なら。」
「女の人は感じます?」
「うーん。杉菜さんは……俺よりすごいしっかりしてて……年上感があるなぁって思います。」
「しっかりなんてしてませんよー。」
「してますよ!」
蓼丸がニコニコしながらそう言うと、杉菜は、顔を隠すようにビールをまた飲んだ。
「あっ、ほんとに酔っ払わないでくださいね!」
蓼丸はそう忠告した。
「おそらく。」
杉菜は曖昧にそう答えた。自分が酔う自信は1欠片もなかったが、お酒は飲めない方が可愛いと思ったのだ。
この後、1時間半呑み、連絡先を交換して別れた。
次の日。蓼丸と杉菜はデパートに集合予定。集合時間の15分前に着いてしまった蓼丸は、スマホを取り出してパズ〇ラをしようとした所で、前方に桜小路の姿を見かけた。女の人と一緒にいる。彼女だろう。
「優也!」
呼びかけに気付いて明らかにこっちを見たが、2人は逃げるように去って行った。
「え、えぇ?」
そこに、杉菜が来た。
「ごめんなさい!待ちました?」
「いいえ。僕も今来たところです。」
「あ、メリークリスマスです!」
「メリークリスマス!さぁ、行きましょうか。」
「はい!」
3次元との初買い物。2次元と買い物に行ったことは無いが。2人はその入りづらいという店に向かった。
「あ、そう言えばさっき奈菜歌ちゃん見たんですよ!用事のある場所が被るなんて。」
「今日は元々要さんを誘ったんですもんね。にしても、奇遇だなぁ!僕はさっき優也を見ましたよ。」
「桜小路さん!本物見たかったなぁ!っていうか、なにかあったんじゃないですかー!」
「アハハハ!確かにそうか!」
「そうですよ!あ、この店です。」
杉菜が言っていた店に着いた。
「ほえぇー。」
一体、どんな店なのか……。
アニドル17『Nanaka Kaname』に続く!
「だ、大丈夫なの?」
杉菜が不安そうにそう言った。
「あ、あっ、はい。すみません、驚きましたよね。」
「うんうん。次元が違うもん。」
杉菜はなぜかさっきからタメ口だ。蓼丸はまんざらでもない感じだが、杉菜は酔っているだけだろう。
「ですよねー……。よく考えたらなんで電話できてるんだか。」
「ほんとよねー!すごい不思議!そういうの、奈菜歌ちゃんが詳しかった気がする……。聞いてみようかなぁ?」
「へぇ!要さんが!」
要奈菜歌というのは、「☆ごぉです☆」の、麗亜の親友、中濱凛奈の担当声優だ。2人はとりあえず店内に入った。
「いらっしゃいませー!ってあぁ、賢太。おひさじゃん。」
「よっ!最近来れてなかったな。」
ここの店は、蓼丸の友達が経営している。
「カノジョ?」
「ちげーわ。」
「なんだ。へい、2名様、あちらの席へどーぞ。」
「どーも!」
個室に入った2人は、座った。掘りごたつだ。
「ご注文は?」
「あー、僕はビールで。杉菜さん、どうします?」
「私もビールでぇ!」
「かしこまりました、ビーム2本ですね。」
「ビールね。」
「はーい。」
蓼丸の友達である店員は、去った。杉菜は、お絞りで手を拭きながら言った。
「面白い方。」
「変な奴ですよ。」
「あ、ねぇ、蓼丸さん。」
「はい?」
「私って、悪女ですか?」
「えっ?どうしてですか!」
蓼丸は戸惑った。杉菜は何を言い出すのか。
「人を騙すのって、悪いことですよね?」
「ま、まぁ。」
「私はあなたを騙しています。」
「え、えぇ!?」
「私……酔っ払ってません!」
「ほえ!?」
蓼丸が変な声を出した。杉菜はニヤッと笑った。
「なんで!?」
杉菜はお絞りを畳んでテーブルにおいた。
「元々、明日の買い物には奈菜歌ちゃんを誘ったんですけど、予定が入ってたみたいで……。誰が行ってくれる人いないかなぁと思って街を歩いてたら偶然あなたに出会いました。」
「は、はい。」
「最初は、あなたに明日の買い物に付き合ってもらおうと思ってあなたをご飯に誘いました。」
「えぇ!?」
「ごめんなさいね、利用して。でも……なぜ私が酔ったフリをしたか……。」
蓼丸は乗り出した。
「蓼丸さんとまだ一緒にいたかったからです。帰らない口実を作るのが下手で……。」
驚く蓼丸。杉菜は淡々と語る。
「って突然言われても困りますよねー。とにかく!私は酔ってません。」
蓼丸は困惑した。一緒にいたかったということが理解出来なかった。「一緒にいたいって……え?つまり?え?」とこんがらがっていた。そこに、ちょうど蓼丸の友達がきた。
「ビールでーす。」
「あ。ありがと……。」
「賢太?大丈夫か?魂抜けたみてぇな面して。」
「ダイジョブ。」
「ふーん?ビールでも飲んで彼女とイチャつけぇい。」
「だかっ!彼女じゃないって!」
「そうなのか……つまんねぇ。」
「ほーらー仕事せい!」
蓼丸は去るよう促した。
「はいはーい。ごゆるりと。」
再び室内は二人になった。沈黙……。最初に話し始めたのは杉菜だ。
「なんか……ごめんなさい。私のせいでこんな雰囲気になっちゃって。」
「いえ……いいんです。いいんですけど、こういうの慣れなくて。」
「まだ、若いですもんね。」
「そんなに変わりませんよ!」
「ですか?3つって結構ありますよ、年の差。
ここで2人はビールを飲んだ。
「そんなもんですかね?」
「年の差って年を取れば感じなくなるって言うけれど、私は未だに2、3この年の差は大きく感じちゃうなぁ。」
「俺は、メンバーが結構年上なので、慣れちゃったんですかね、男なら。」
「女の人は感じます?」
「うーん。杉菜さんは……俺よりすごいしっかりしてて……年上感があるなぁって思います。」
「しっかりなんてしてませんよー。」
「してますよ!」
蓼丸がニコニコしながらそう言うと、杉菜は、顔を隠すようにビールをまた飲んだ。
「あっ、ほんとに酔っ払わないでくださいね!」
蓼丸はそう忠告した。
「おそらく。」
杉菜は曖昧にそう答えた。自分が酔う自信は1欠片もなかったが、お酒は飲めない方が可愛いと思ったのだ。
この後、1時間半呑み、連絡先を交換して別れた。
次の日。蓼丸と杉菜はデパートに集合予定。集合時間の15分前に着いてしまった蓼丸は、スマホを取り出してパズ〇ラをしようとした所で、前方に桜小路の姿を見かけた。女の人と一緒にいる。彼女だろう。
「優也!」
呼びかけに気付いて明らかにこっちを見たが、2人は逃げるように去って行った。
「え、えぇ?」
そこに、杉菜が来た。
「ごめんなさい!待ちました?」
「いいえ。僕も今来たところです。」
「あ、メリークリスマスです!」
「メリークリスマス!さぁ、行きましょうか。」
「はい!」
3次元との初買い物。2次元と買い物に行ったことは無いが。2人はその入りづらいという店に向かった。
「あ、そう言えばさっき奈菜歌ちゃん見たんですよ!用事のある場所が被るなんて。」
「今日は元々要さんを誘ったんですもんね。にしても、奇遇だなぁ!僕はさっき優也を見ましたよ。」
「桜小路さん!本物見たかったなぁ!っていうか、なにかあったんじゃないですかー!」
「アハハハ!確かにそうか!」
「そうですよ!あ、この店です。」
杉菜が言っていた店に着いた。
「ほえぇー。」
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