戦隊ヒロイン16

うかかなむらる

文字の大きさ
150 / 157
屈託のない笑顔と無邪気なキラキラの心

第129話

しおりを挟む
 職員室。
「山本先生、なんですかそれは?」
さっき貰ったメッセージの色紙を眺めていたら、隣の先生に尋ねられた。
「クラスのみんなに貰ったんです。私、今日が誕生日で。」
「そうなんですか!おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「6-1は本当に心優しいクラスになっていますよねぇ。」
「そうみたいで、嬉しいです。」
色紙に書いてあるメッセージは、みんな似たり寄ったりで、さして語彙力が高いわけではない。それでもその、飾り気のない嘘偽りのない言葉のひとつひとつが、私の心を温めて溶かす。
 ところで、25歳になったわけですが、私は未だに"彼氏"がおりません。ものすごくものすごく欲しいってわけではないんだけど、いつかは誰かと結婚したいと思ってるから、そろそろ見つけたい。でもさすがに、職場内恋愛は無いかなぁ。歳の近い男の先生って少ないし、歳は近くても、もう既に結婚してたりするし。誰か居ないかなぁ……。と、フラグを立ててみたりする。

 夜10時。仕事が終わり、明日の授業の準備も済ませ、帰路に着く。帰りにケーキ買おうと思ってたけど、こんな時間に空いてるのはコンビニくらいかな。まぁ、コンビニのケーキもじゅうぶん美味しいし、私は満足です。最寄りのコンビニに入店した。ショートケーキとチョコレートケーキとモンブランが売っている。それからこの時期は、ハロウィンをモチーフにしたスイーツも売っている。かわいい~!どれにしよっかなぁ~。

コンビニを出て、公園を通って家に帰る。コンビニに寄ることはあまり無いけど、寄ったらここの公園を通りたくなる。なぜかって、この公園は、明乃ちゃんと夏湖ちゃんが初めて変身した場所だから。懐かしいね。楽しかったなぁ。もう社会人だった私だけど、立派な青春の思い出になっている。と、公園のベンチに腰掛けて天を仰いでいる少年が目に入った。教員の血が騒ぐ。指導の対象か……?私はいつの間にか、その少年に近づいて、声をかけていた。
「こんな時間に、ひとりで何してるの?」
近づいてみても、やっぱり高校生か、中学生くらいに見えた。
「月を見てます。綺麗じゃないですか?」
見た目よりだいぶしっかりした話し方で、そう答えた。
「月?」
見上げてみると、たしかに、ほぼまんまるのお月様が煌々こうこうと夜空という大舞台で輝いていた。
「たしかに綺麗ね……」
と思わず見惚れてしまった。
「あっ、ここ座ります?」
さらっと隣に座るよう促され、なぜか素直に座ってしまった。
「あなたは、何年生?」
「俺ですか?大学生ですよ。大学2年です。よく声かけられてるんです。童顔なんで。」
「……えっ、だ、大学生!?」
「はい。」
大学生は守備範囲外だ!よくよく見るけど、いやがうえにも大学生には見えない。
「あなたは学校の先生ですか?残念ながら、俺を補導することは出来ませんね。」
「……ま、まぁ。」
「若いですよね。まだ新人の先生ですか?」
「うん。まだ3年目かな。」
「ふーん。楽しいですか?」
「うん。楽しいよ。」
会話はそれでおしまい。彼は再び空を眺め始めた。ただひたすらじっと、月を見つめているだけ。
「……楽しいの?」
「はい。月が好きなんです。あの色と、フォルムが。」
そう言われて見つめてみるけど、月は月だ。美しいことに変わりはないけれど、ずっと見ているのは流石に飽きてしまう。
「……月に行けば、幸せかなぁなんて、思ったりして。」
ふと、彼はそう呟いた。どこか切なげで、縋るような声にハッとした。


○本日の出演キャラ
・山本 佳柿野
・童顔大学生
・隣の先生



To be continued…#
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

ペットになった

ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。 言葉も常識も通用しない世界。 それでも、特に不便は感じない。 あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。 「クロ」 笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。 ※視点コロコロ ※更新ノロノロ

美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness

碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞> 住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。 看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。 最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。 どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……? 神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――? 定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。 過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

偽夫婦お家騒動始末記

紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】 故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。 紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。 隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。 江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。 そして、拾った陰間、紫音の正体は。 活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。

処理中です...