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あったかくて優しいその香りに包まれて、僕は君に恋をしている。
第134話
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朝、別れてから僕たちは一度も会うことはなく、放課後になってしまった。翼、いつもの所で待ってくれてるかな。なんか、朝はすごく気にしてたみたいだったけど。熱の時の記憶が、きっと珍しく鮮明に残ってるんだ。僕に好きだって言っちゃった事、自分の中で引っかかってるんだ。あ、居た!翼は、いつもの所でいつも通り僕を待っていた。
「翼!」
僕が駆け寄ると、翼は目を輝かせた。
「賢大!」
その時、さっき部活で傷めた右膝が急に痛み始めた。
「痛っ。」
翼の方に倒れかけた僕を、翼はしっかりと抱きとめた。
「怪我したの?」
「うん、ちょっとね……。」
「歩ける?」
「大丈夫。」
歩き出そうとしたが、驚くほどに激しく痛む。翼は、動けない僕をひょいっと抱えた。
「あっ、だ、大丈夫だよ、歩ける!」
歩けないけど。だって……お姫様だっこされてるんだもん、恥ずかしいよ。
「これだと、痛い?」
えっ、優しい……じゃないじゃない。
「い、いや、痛くないんだけど、えっと……ほ、他の運び方じゃダメかな。」
「いや、これでお願いします。」
あ、そこは譲らないスタイル。よし、もう諦めよう!諦めた僕は、カバンを自分のお腹の上に乗せて、翼のカバンを持った。もう片方の腕は、落ちたら怖いから、翼の首の後ろに回した。
「あ、カバンありがとう。」
「翼が僕を運ぶなら、僕は翼のカバンを運ぶ。」
「えへへ、そう。」
翼は、ゆっくり歩き出した。
「ねぇ。翼、今何センチ?」
「172くらい?」
「……そっか。」
「賢大は?」
「ひ、165.5。」
「細かいね。」
「165よりはおっきいアピール。」
「何それ、かわいい。」
「かわいきゃないわい。」
昔は、翼が僕を抱えるなんて絶対ありえなかったのに。僕は、僕の事を軽々とだっこして、はははと笑ってる翼の横顔を見上げた。
「……あのさ、賢大。」
「ん、ん?」
危ねっ、油断してたわ。ちょっと寝そうだったわ。翼はボソッと話し出した。
「……昨日、賢大の事を好きだって、言ったじゃん?」
「うん。」
「……こんなの、自分でもおかしいと思うんだけどね、僕、本当に賢大の事が好きなんだ。」
「そ、それは……恋愛対象としてって事?」
翼が立ち止まる。僕は至近距離で見つめられた。
「うん。そう。恋愛対象として。僕は、賢大が好きです。」
翼は僕の顔をぐっと自分の顔に近付けた。
「……今日の事は全部忘れていいから、最後に好きなようにさせてほしい。……ごめんね、賢大。」
翼は、そっと瞳を閉じた。翼が近づいてきて、思わず僕も瞳を閉じる。お互いの鼓動が聴こえる。
僕の唇に何かが触れた。それはきっと。
すごく長い時間のような、一瞬だった。翼が、再び歩き出した。目を開ける勇気がない僕は、そのまま翼の肩にもたれた。このまま眠って、本当に忘れてしまいたいような気がした。
○本日の出演キャラ
・田中 賢大(16)
・高畑 翼(16)
To be continued…
「翼!」
僕が駆け寄ると、翼は目を輝かせた。
「賢大!」
その時、さっき部活で傷めた右膝が急に痛み始めた。
「痛っ。」
翼の方に倒れかけた僕を、翼はしっかりと抱きとめた。
「怪我したの?」
「うん、ちょっとね……。」
「歩ける?」
「大丈夫。」
歩き出そうとしたが、驚くほどに激しく痛む。翼は、動けない僕をひょいっと抱えた。
「あっ、だ、大丈夫だよ、歩ける!」
歩けないけど。だって……お姫様だっこされてるんだもん、恥ずかしいよ。
「これだと、痛い?」
えっ、優しい……じゃないじゃない。
「い、いや、痛くないんだけど、えっと……ほ、他の運び方じゃダメかな。」
「いや、これでお願いします。」
あ、そこは譲らないスタイル。よし、もう諦めよう!諦めた僕は、カバンを自分のお腹の上に乗せて、翼のカバンを持った。もう片方の腕は、落ちたら怖いから、翼の首の後ろに回した。
「あ、カバンありがとう。」
「翼が僕を運ぶなら、僕は翼のカバンを運ぶ。」
「えへへ、そう。」
翼は、ゆっくり歩き出した。
「ねぇ。翼、今何センチ?」
「172くらい?」
「……そっか。」
「賢大は?」
「ひ、165.5。」
「細かいね。」
「165よりはおっきいアピール。」
「何それ、かわいい。」
「かわいきゃないわい。」
昔は、翼が僕を抱えるなんて絶対ありえなかったのに。僕は、僕の事を軽々とだっこして、はははと笑ってる翼の横顔を見上げた。
「……あのさ、賢大。」
「ん、ん?」
危ねっ、油断してたわ。ちょっと寝そうだったわ。翼はボソッと話し出した。
「……昨日、賢大の事を好きだって、言ったじゃん?」
「うん。」
「……こんなの、自分でもおかしいと思うんだけどね、僕、本当に賢大の事が好きなんだ。」
「そ、それは……恋愛対象としてって事?」
翼が立ち止まる。僕は至近距離で見つめられた。
「うん。そう。恋愛対象として。僕は、賢大が好きです。」
翼は僕の顔をぐっと自分の顔に近付けた。
「……今日の事は全部忘れていいから、最後に好きなようにさせてほしい。……ごめんね、賢大。」
翼は、そっと瞳を閉じた。翼が近づいてきて、思わず僕も瞳を閉じる。お互いの鼓動が聴こえる。
僕の唇に何かが触れた。それはきっと。
すごく長い時間のような、一瞬だった。翼が、再び歩き出した。目を開ける勇気がない僕は、そのまま翼の肩にもたれた。このまま眠って、本当に忘れてしまいたいような気がした。
○本日の出演キャラ
・田中 賢大(16)
・高畑 翼(16)
To be continued…
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