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あったかくて優しいその香りに包まれて、僕は君に恋をしている。
第135話
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眠ってしまった賢大を起こす事ができず、僕は賢大を抱えたまま田中家の前に腰を下ろし、壁にもたれた。
「……賢大、ごめんね。……でも僕たち、もう10年以上一緒にいるんだよ。……これからも、これまでと同じは、もう耐えられないよ……。だけど、賢大にそんな気持ちが無いの、もちろん分かってるんだ……だから、今日の事は全部忘れて。明日から、元通りで……良いからさ……。」
賢大は、辛い時もそうじゃない時も、楽しい時も嬉しい時も、なんでもない時もいつも僕と一緒に居てくれた。賢大の優しさと笑顔が、僕の癒しだった。それを、僕の中に閉じ込めておけば良かった。でも、無理だった。賢大の温もりを感じるたびに、想いは強くなるばかりで。もっと、ずっと一緒に居たいって、そんな風に思ってしまう。明日から、普通に戻れますように。自分の気持ちに嘘をついた願い事を、心の中で、何度も何度も唱えた。
どのくらい経ったか。道行く人に見られながら、僕はぼんやりしていた。前から人が歩いてくる。
「え、な、何してるの……!?」
「賢大、足を怪我したらしくて僕が運んできたんだけど、途中で寝ちゃって、起こすのなんか、嫌だったから。明乃ちゃんが帰ってくるか、賢大が起きるの待ってた。」
「あ、そ、そうなんだ……。お姫様だっこしたの?」
「うん。」
「おぉ、それは萌えるね。じゃなかった。賢大ー、起きてー。翼くんの腕が痺れるよ~。」
明乃ちゃんが賢大のおでこを叩いた。
「ん~……。」
「起きなさい!」
賢大の瞳がゆっくりと開いた。
「け、賢大。降ろしていい?」
賢大は、僕の顔を見つめた。沈黙が続く。
「け、賢大?降ろすよ?」
「つばさ……忘れられなかった……僕の負けだね。」
賢大は僕の首に両手をかけて、僕の頬にそっとキスをした。
「っ!?」
「翼。僕、好きな人いないけど、今のところ第一候補は翼だよ。だから、頑張って。」
状況がよく理解できていない僕は、思わず賢大を抱きしめた。離したくない。離れたくない。あたたかい。ずっとこうしていたい。好き。大好き。嗅ぎ慣れた柔軟剤の香りが、僕を包み込む。僕の事を、好きになってください。僕が賢大を離すと、賢大は僕から降りた。カバンを2つ持って立ち上がり、僕の腕を引っ張って立ち上がらせる。
「遅くまでごめん。」
「あ、い、いや。起こすの申し訳なくて。足は大丈夫?」
「あれ……よくなってる。」
そこで、賢大は初めて明乃ちゃんに気が付いたらしく、口と目を大きく開いた。
「え、ずっと居たけど?」
「……お、お姉様、いらっしゃったんならそう言ってくだせぇ。」
「いや、気付いてると思うから、普通に考えて。翼くんもうちでごはん食べてから帰る?」
「2人が良いならそうしたい。」
「私はいいよ。」
「あっ、ど、どうぞ!」
僕はお言葉に甘えて、田中家でご飯を食べることにした。
翼が帰って行ったのを見送って、僕は頭を抱えた。
「僕なんか、すっっごい恥ずかしい事言ったよね!?言ったよね!?なんか、上から~な事言ったよね!?え!?何、頑張ってって。何それ!?は!?」
「うるさい。」
姉ちゃんに頭を叩かれる。
「だ、だ、だって!!しかも僕はあろう事はわざわざ自分からもう1回チューしに行ったよね?なんで?なんでなの!?」
「知らな……ん?もう1回!?」
「もういっ……ああああああ。」
「賢大が荒ぶりすぎて付いて行けないけど、2回したのね。」
「1回目は僕じゃないよ!翼だよ!」
「おぉ、そうなの?いいね。」
「明日から恥ずかしいじゃーーーんっ!!」
「嫌な恥ずかしさじゃないから良いじゃん。照れちゃう~ってやつでしょ?」
「……いや、翼相手に何を照れる事があるんだ!そんなの知ったこっちゃない!翼の頑張り具合によっては、認めてやらぁ!!」
「何キャラ。まぁ、頑張れ~。」
姉ちゃんはひらひらと手を振った。あの柔らかい感触が忘れられない。気持ちには答えられないって言う準備してたのに、意味なかった。答えられるかも、しれないから……まぁ僕、基本チョロいしね。
家に帰って、まず僕はベッドに崩れ落ちた。
「つ、翼、どうした。」
母さんが困惑した様子で話しかけてくる。
「腕と足しんどい。んだけど……あったかいし柔らかいしなんか、もう、どうしよう……。」
「柔らかそうだよね~。」
母さんは、ひらひらと手を振ってリビングに戻って行った。……柔らかそうだよね~じゃねぇ。まぁ、柔らかかったんだけどさ。あ~、明日から会ったらちょっと、照れるなぁ……。僕は、好かれるように頑張らないといけないのか。うかうかしてられない。賢大の第一候補が変わる前に、僕は賢大を射止めなければならないんだ。目を閉じると、賢大の顔が浮かぶ。さっき別れたばかりなのに、早く明日の朝になって欲しい。こんなのおかしい。恋って、おかしい。
田中家のドアの前。翼は、賢大の肩を掴んだ。
「はい。お別れ前に。」
「……そ、それはキス待ちの顔?」
「そうだよ。早く、賢大。」
「な、なんでいつも僕からなの?」
賢大は少し背伸びをして、翼の頬を手で包んだ。
「もう少し近づいて。届かないよ。」
翼は、賢大を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと!今チューしようとしてたのに!」
「届かないとか、かわいすぎだから本当やめて。あ~賢大~かわいいよぉ~。」
翼に振り回されながら、賢大は困ったように笑った。
友達のままで居たかった。友達の域を超えたくなかった。でも今は……君が僕を好きで、僕が君を好きな事が、僕の幸せなんだ。チョロい僕は、すぐに君に射抜かれたのだから。
○本日の出演キャラ
・高畑 翼(16)
・田中 賢大(16)
・田中 明乃(18)
To be continued…
「……賢大、ごめんね。……でも僕たち、もう10年以上一緒にいるんだよ。……これからも、これまでと同じは、もう耐えられないよ……。だけど、賢大にそんな気持ちが無いの、もちろん分かってるんだ……だから、今日の事は全部忘れて。明日から、元通りで……良いからさ……。」
賢大は、辛い時もそうじゃない時も、楽しい時も嬉しい時も、なんでもない時もいつも僕と一緒に居てくれた。賢大の優しさと笑顔が、僕の癒しだった。それを、僕の中に閉じ込めておけば良かった。でも、無理だった。賢大の温もりを感じるたびに、想いは強くなるばかりで。もっと、ずっと一緒に居たいって、そんな風に思ってしまう。明日から、普通に戻れますように。自分の気持ちに嘘をついた願い事を、心の中で、何度も何度も唱えた。
どのくらい経ったか。道行く人に見られながら、僕はぼんやりしていた。前から人が歩いてくる。
「え、な、何してるの……!?」
「賢大、足を怪我したらしくて僕が運んできたんだけど、途中で寝ちゃって、起こすのなんか、嫌だったから。明乃ちゃんが帰ってくるか、賢大が起きるの待ってた。」
「あ、そ、そうなんだ……。お姫様だっこしたの?」
「うん。」
「おぉ、それは萌えるね。じゃなかった。賢大ー、起きてー。翼くんの腕が痺れるよ~。」
明乃ちゃんが賢大のおでこを叩いた。
「ん~……。」
「起きなさい!」
賢大の瞳がゆっくりと開いた。
「け、賢大。降ろしていい?」
賢大は、僕の顔を見つめた。沈黙が続く。
「け、賢大?降ろすよ?」
「つばさ……忘れられなかった……僕の負けだね。」
賢大は僕の首に両手をかけて、僕の頬にそっとキスをした。
「っ!?」
「翼。僕、好きな人いないけど、今のところ第一候補は翼だよ。だから、頑張って。」
状況がよく理解できていない僕は、思わず賢大を抱きしめた。離したくない。離れたくない。あたたかい。ずっとこうしていたい。好き。大好き。嗅ぎ慣れた柔軟剤の香りが、僕を包み込む。僕の事を、好きになってください。僕が賢大を離すと、賢大は僕から降りた。カバンを2つ持って立ち上がり、僕の腕を引っ張って立ち上がらせる。
「遅くまでごめん。」
「あ、い、いや。起こすの申し訳なくて。足は大丈夫?」
「あれ……よくなってる。」
そこで、賢大は初めて明乃ちゃんに気が付いたらしく、口と目を大きく開いた。
「え、ずっと居たけど?」
「……お、お姉様、いらっしゃったんならそう言ってくだせぇ。」
「いや、気付いてると思うから、普通に考えて。翼くんもうちでごはん食べてから帰る?」
「2人が良いならそうしたい。」
「私はいいよ。」
「あっ、ど、どうぞ!」
僕はお言葉に甘えて、田中家でご飯を食べることにした。
翼が帰って行ったのを見送って、僕は頭を抱えた。
「僕なんか、すっっごい恥ずかしい事言ったよね!?言ったよね!?なんか、上から~な事言ったよね!?え!?何、頑張ってって。何それ!?は!?」
「うるさい。」
姉ちゃんに頭を叩かれる。
「だ、だ、だって!!しかも僕はあろう事はわざわざ自分からもう1回チューしに行ったよね?なんで?なんでなの!?」
「知らな……ん?もう1回!?」
「もういっ……ああああああ。」
「賢大が荒ぶりすぎて付いて行けないけど、2回したのね。」
「1回目は僕じゃないよ!翼だよ!」
「おぉ、そうなの?いいね。」
「明日から恥ずかしいじゃーーーんっ!!」
「嫌な恥ずかしさじゃないから良いじゃん。照れちゃう~ってやつでしょ?」
「……いや、翼相手に何を照れる事があるんだ!そんなの知ったこっちゃない!翼の頑張り具合によっては、認めてやらぁ!!」
「何キャラ。まぁ、頑張れ~。」
姉ちゃんはひらひらと手を振った。あの柔らかい感触が忘れられない。気持ちには答えられないって言う準備してたのに、意味なかった。答えられるかも、しれないから……まぁ僕、基本チョロいしね。
家に帰って、まず僕はベッドに崩れ落ちた。
「つ、翼、どうした。」
母さんが困惑した様子で話しかけてくる。
「腕と足しんどい。んだけど……あったかいし柔らかいしなんか、もう、どうしよう……。」
「柔らかそうだよね~。」
母さんは、ひらひらと手を振ってリビングに戻って行った。……柔らかそうだよね~じゃねぇ。まぁ、柔らかかったんだけどさ。あ~、明日から会ったらちょっと、照れるなぁ……。僕は、好かれるように頑張らないといけないのか。うかうかしてられない。賢大の第一候補が変わる前に、僕は賢大を射止めなければならないんだ。目を閉じると、賢大の顔が浮かぶ。さっき別れたばかりなのに、早く明日の朝になって欲しい。こんなのおかしい。恋って、おかしい。
田中家のドアの前。翼は、賢大の肩を掴んだ。
「はい。お別れ前に。」
「……そ、それはキス待ちの顔?」
「そうだよ。早く、賢大。」
「な、なんでいつも僕からなの?」
賢大は少し背伸びをして、翼の頬を手で包んだ。
「もう少し近づいて。届かないよ。」
翼は、賢大を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと!今チューしようとしてたのに!」
「届かないとか、かわいすぎだから本当やめて。あ~賢大~かわいいよぉ~。」
翼に振り回されながら、賢大は困ったように笑った。
友達のままで居たかった。友達の域を超えたくなかった。でも今は……君が僕を好きで、僕が君を好きな事が、僕の幸せなんだ。チョロい僕は、すぐに君に射抜かれたのだから。
○本日の出演キャラ
・高畑 翼(16)
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