戦隊ヒロイン16

うかかなむらる

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Springor

第91話

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 思わず後ずさると、後ろの男にぶつかった。肩を掴まれる。振り払うけど、敵わない。
「やめてください。大きい声出しますよ。」
「大きい声ねぇ。出せるものなら出せばいいんじゃない?」
その声の響きがあまりにもザラザラしていて、身体の芯が震えた。どうしよう。どうしよう。頭が真っ白になった。後ろから、身体を拘束される。口元を手で覆われた。私はふと、抵抗するのをやめた。
「お?どうしたの?」
ヒールの後ろで私の口を覆う男の足を思い切り踏んだ。
「あいってぇっ!」
所詮、頭の悪い奴らめ。私は、隙を見て逃げ出した。そしたら、追いかけて来た。どうしてこんなにしつこいの!?必死で走って、路地裏に隠れた。雨がぱらつき始めていた。上を見上げると、雨をしのいでくれそうなものは何一つない。都会の汚い空が建物と建物の間を埋めていた。でも、もう走る元気は無いし、足も痛いし、ここから出たら見つかりそうで怖い。しゃがみ込んで、闇に身をくらませた。男たちの声が聞こえる。無意識のうちに涙が出て来た。怖い。寒い。冷たい。膝を抱えてうずくまる。ふと、あたりが静かになった。雨が止まっている。
「……佐々木先生?」
顔を上げると、そこには小野寺さんが傘を持って立っていた。
「っ……!」
知ってる人の顔を見て安心してしまったのか、私の目からは涙が溢れ出した。
「せ、先生!?大丈夫ですか……?」
私がゆっくり立ち上がると、小野寺さんは私の身体を包み込んで、壁に押し付けた。
「……!?」
「……居なくなりましたよ。」
「えっ。」
ものすごい近い距離で、小野寺さんの顔を見上げる。
「チャラチャラした男3人組、ですよね?」
「あ、はい……。」
小野寺さんは、私の身体を壁から離すと、優しく抱きしめた。そのぬくもりは、これまで嫌悪感しか無かった男の人の体に、少しだけ良いイメージを持たせた。涙が止まらない。自分が思っていたより怖かったのだと今分かる。小野寺さんは、私が落ち着くまでずっと、雨から私を守りながら、私の背中をさすり続けた。私が落ち着く頃には、雨などうに止んでいた。
「あ、ありがとうございました……。」
「いいえ。体が、濡れてしまいましたね。」
小野寺さんが自分の濡れた服を見ながら、笑ってそう言った。
「あ、ごめんなさい……。」
「傘を差し続けなかった僕が悪いんです。……家はここから近いんですか?」
「あ、いえ……電車で5駅です。」
「このまま電車に乗るわけにはいきませんよね?……僕の家はすぐそこなんです。シャワーを、使ってください。」
「え……いや、そういうわけには……。」
「大丈夫です。なんなら、僕は家の外で待機していますから。」
この言葉通り、この夜はこれ以上は何も起きなかった。本当に男だろうか、と疑うほどに全てが心地良かった。
 これで好きになるなというのは、難しい話である。


○本日の出演キャラ
・佐々木美杷(25)
・小野寺慎(31)
・チャラ男1
・チャラ男2
・チャラ男3 



To be continued…
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