114 / 157
Summeror
第93話
しおりを挟む
妖精時代、止むを得ずミュージカル俳優を諦めたわたくしだったが、なんとかミュージカル界に貢献したくて、人間界に来るや否や、一番近い劇団に飛び込んだ。何か仕事はありませんか。
「掃除、衣装の準備、なんでもしてくれる雑用さんは、探してたけど。」
それで良かった。少しでも役に立てるなら何でも良かった。幸い、ここの劇場はすごく優しく、妻の事情を話せば出勤時間を遅らせてもらえたし、退勤時間を早めてもらえた。短時間でもすることはたくさんで、ものすごく充実した日々。最近では、若手俳優のマネジメントを任せられることもある。どうも、わたくしは気が利くようで、頼ってもらえる。輝く俳優さんの近くで働くのは本当に有意義で仕方がない。
今日は、『ありさんだって!』の千秋楽。専属の脚本家が書いた作品で、ありさんが奮闘するお話。とだけ言うと子供向けみたいだが、中には刺激的な描写もある。人に踏み潰されるのを恐れて生きているアリンコが主要キャラだからだ。特殊メイク班が大変そうだ。わたくしのお仕事は、大量のありさんたちの管理(?)。今作品は、滅多に舞台に上がれない超新人さんもお芝居ができる、とても良き作品。よって、出演俳優さんもかなり多数。様々なありさんが行き交っている。
「あ、あのっ。」
身長の小さな若ーい俳優さんに話しかけられた。
「はい。」
「の、喉が、乾きまして……。」
「おや。気が利かずすみません。お水、冷たい緑茶、スポーツドリンクがありますが。」
「あ、り、緑茶で。」
「楽屋でお待ちください。斉藤光太郎さんですよね?」
「あっ、はい!伊藤さん、よろしくお願いします!」
おや。この子は育ちますよ、きっと。
無事、公演は終了。わたくしは打ち上げには参加せず、お家までまっしぐら。
チ「ただいま。」
ス「あ、おかえり!」
桃「ぱーぱー!」
チ「うん、ただいま~。」
さくらは寝ていた。
ス「どうだった?千秋楽。」
チ「大成功だったと思うよ。今日も輝いてた。」
ス「そっか。良かった!これも、裏方さんのおかげだね!」
チ「そうかな。」
わたくしは椅子に座り、桃一郎を膝に乗せる。
ス「パパは、今日も働き者さんだったって。」
桃「ママ!」
チ「ママも働き者さんだよね?」
桃「ママ!ぱーぱー!」
ス「うふふっ。」
チ「パパって、難しいのかな。」
ス「ぱあぱあ。」
チ「あはは。」
桃「ぱーぱー!」
チ「はいはーい。」
なんて幸せなんだろう。
○本日の出演キャラ
・伊藤桜太郎(28)
・伊藤苺子(28)
・伊藤桃一郎(2)
・伊藤さくら(0)
・斉藤光太郎
To be continued…
「掃除、衣装の準備、なんでもしてくれる雑用さんは、探してたけど。」
それで良かった。少しでも役に立てるなら何でも良かった。幸い、ここの劇場はすごく優しく、妻の事情を話せば出勤時間を遅らせてもらえたし、退勤時間を早めてもらえた。短時間でもすることはたくさんで、ものすごく充実した日々。最近では、若手俳優のマネジメントを任せられることもある。どうも、わたくしは気が利くようで、頼ってもらえる。輝く俳優さんの近くで働くのは本当に有意義で仕方がない。
今日は、『ありさんだって!』の千秋楽。専属の脚本家が書いた作品で、ありさんが奮闘するお話。とだけ言うと子供向けみたいだが、中には刺激的な描写もある。人に踏み潰されるのを恐れて生きているアリンコが主要キャラだからだ。特殊メイク班が大変そうだ。わたくしのお仕事は、大量のありさんたちの管理(?)。今作品は、滅多に舞台に上がれない超新人さんもお芝居ができる、とても良き作品。よって、出演俳優さんもかなり多数。様々なありさんが行き交っている。
「あ、あのっ。」
身長の小さな若ーい俳優さんに話しかけられた。
「はい。」
「の、喉が、乾きまして……。」
「おや。気が利かずすみません。お水、冷たい緑茶、スポーツドリンクがありますが。」
「あ、り、緑茶で。」
「楽屋でお待ちください。斉藤光太郎さんですよね?」
「あっ、はい!伊藤さん、よろしくお願いします!」
おや。この子は育ちますよ、きっと。
無事、公演は終了。わたくしは打ち上げには参加せず、お家までまっしぐら。
チ「ただいま。」
ス「あ、おかえり!」
桃「ぱーぱー!」
チ「うん、ただいま~。」
さくらは寝ていた。
ス「どうだった?千秋楽。」
チ「大成功だったと思うよ。今日も輝いてた。」
ス「そっか。良かった!これも、裏方さんのおかげだね!」
チ「そうかな。」
わたくしは椅子に座り、桃一郎を膝に乗せる。
ス「パパは、今日も働き者さんだったって。」
桃「ママ!」
チ「ママも働き者さんだよね?」
桃「ママ!ぱーぱー!」
ス「うふふっ。」
チ「パパって、難しいのかな。」
ス「ぱあぱあ。」
チ「あはは。」
桃「ぱーぱー!」
チ「はいはーい。」
なんて幸せなんだろう。
○本日の出演キャラ
・伊藤桜太郎(28)
・伊藤苺子(28)
・伊藤桃一郎(2)
・伊藤さくら(0)
・斉藤光太郎
To be continued…
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる