腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~

味のないお茶

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第2章

第六話 ~美凪のために色々と準備を進めて行った件~

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 第六話




 隣に併設してあるレディースファッションショップに、俺と美凪は足を踏み入れる。

 店内には若い女性が沢山いるので、個人的に若干の居心地の悪さを感じてしまう。

 しかし、恥ずかしがったり、キョロキョロすると逆に変に見られてしまうので、しっかりと胸を張って中を進んでいく。

 ……なるほど。そういうところも好感が持てますね。

「……ん?なんか言ったか?」

 小さく美凪が呟いたような気がしたが、また聞き逃してしまった。

「あはは。いえ、なんでもないですよ」

 俺の方を見上げ、彼女はふわりと笑う。

「さて、隣人さん。どのような服にしますか?」

「そうだな……個人的には露出の少ない服がいい」
「おや?えっちな隣人さんならミニスカートとか要求してきてもおかしくないかな。と思ってましたが」

 からかうような美凪の言葉に、俺は少しだけ笑いながら答える。

「まぁ、俺だけが見るなら構わないけど、お前のそういう姿を他人に見せたくない」
「……そ、そうですか。そうですね……私も貴方にだけ見せるのなら構いませんが、他の人にはあまり見られたくありません」

 頬を赤く染めて、美凪は俯いた。

「ただ個人的にはそういうのも見てみたい。そういう欲求はあるよな。まぁ難しいところだよ」
「夏とかはどうします?プールとか行きませんか?」

 そうだな。水着なんてほぼ下着みたいな露出度だからな。

「まぁ……考えてるのはナイトプールみたいなカップル限定みたいな場所に行こうかなとか考えてる」

 そういう所なら、ナンパとかそういう変な輩は出ないと思うしな。多少値段は張るだろうけど、そういう部分にお金をかけるのは必要経費だと思ってる。

「へぇ……色々考えてくれてるんですね」
「まぁな。どうせお前とはこの先ずっと付き合っていくんだろうしな。楽しく過ごしたいだろ?」
「あはは。そうですね!!」

 ニコリと笑う美凪。
 そうだな。俺はこの先もずっと、お前のその笑顔を見ていたいと思うよ。

「さて、そろそろ服を選ぼうかな。露出が少ない方が良いとは言っても、俺も男だ。やっぱりそういう部分も捨て難い」
「あはは……」

「オフショルダーのワンピースにストールを組み合わせることで、俺の前だけで露出を増やして他の人の前ではそれを控える。そんな神のコーディネートがあると聞いたことがある」
「なるほど……悪くないですね」

 美凪はそう言うと、テクテクと歩いて行き、薄いブルーのオフショルダーワンピースに白のストールを持ってきた。

「これなんかどうですか?」
「うん。とても良いね。色合いも俺の好みだよ」

 美凪がそれを着てるところを早く見てみたい。そう思える。

「ふふーん?じゃあ着てきますね」

 美凪はそう言うと服を持って試着室へと向かう。
 そんな彼女に俺は告げる。

「悪いけど、着替えが終わったらメッセージで呼んでくれないか?」
「え?構いませんが、どうかしましたか」

 首を傾げる美凪に俺は少しだけ苦笑いを浮かべる。

「気にしないようにはしてたけど、流石にここで一人で待ってるのは気まずいからな。ちょっと外に出てようと思うんだ」
「あはは。そうですか。それなら納得です」

 では、終わったらメッセージを送りますね。

 美凪はそう言って試着室へと入っていった。

「よし。じゃあ俺は今のうちに用事を済ませるか」

 俺はレディースファッションショップの向かいにあるアクセサリーショップへと足を運ぶ。

 以前。軽くこのショッピングモールを調べてる時に知ったが、手作りを売りにしているこのアクセサリーショップは、価格も手頃で学生に人気が高い。

 デートの記念に何かサプライズで買ってやろう。
 朝の時からそう考えていた。

『いらっしゃいませー』

 若い女性の店員がそう言って出迎えてくれる。

 時間は少ないと思っている。
 あらかじめ何を買うかは決めていたので、迷わずに選択する。

『ペリドットをあしらったネックレス』

 価格は6000円程度。1万円を予算にしていたので、この位なら予算内だ。

 幸い売り切れてはいなかったので、ショーケースの中にある目的の商品を俺は指さす。

「すみません。これをプレゼント包装で頂けますか?」
『はい。かしこまりました』

 店員さんは快諾すると、ショーケースの中からネックレスを取りだして箱に入れてくれる。

 そして、俺はもうひとつの予定を話す。

「あと、こちらの指輪ですけど取り置きをすることは可能ですか?」

 俺が指さしたのは一桁後半の万円が必要な指輪。

 今の予算では買えないが、色々と準備を整えた上で購入しようと考えている。

『取り置きは可能ですよ。いつ頃の予定になりそうですか?』
「一月後を考えてます。なるべくサプライズで渡したいので家には置いておきなくないんですよね。支払い自体は来週とかでも可能ですが」

『ふふふ。そうですか。でしたら支払いも近い日で平気ですよ』
「そうですか、ありがとうございます」

 俺はそう言うと、店員さんから購入したネックレスを受け取る。

『詳しい話は後日でも大丈夫です。とりあえず本日は取り置きをするということだけで平気ですよ』
「今は少し時間が押してるので、助かります」

 俺はそう言って店員さんに頭を下げる。

 そのタイミングで、

『着替えが終わりました!!超絶美少女の美凪優花ちゃんの美しさにひれ伏すが良いです!!』

 なんてメッセージが来た。

「呼ばれたので失礼します。今日はありがとうございます」
『いえいえ。またのご来店をお待ちしております』

 俺は店から出ると、カバンにネックレスの入った箱を丁寧にしまう。そして美凪にメッセージを返す。

『今からそっちに行くよ。店の前に居たから時間はかからない』

 スマホをポケットにしまい、俺はふたたびレディースファッションショップに足を踏み入れた。
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