腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~

味のないお茶

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第2章

第八話 ~今日と明日の夕飯の献立はカレーに決めた件~

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 第八話




「それで、この後はどうしようか。なんか希望はあるか?」

 昼ご飯を食べ終わった俺と美凪。
 紙コップに注いだ水を飲みながら、俺は美凪に問いかける。

「そうですね……個人的にはゲームセンターに行きたいです!!」
「なるほど。このショッピングモールの中には、駅前の規模にも負けないレベルのゲーセンがあるからな」

「はい!!実を言うとやりたいゲームがあるんです」
「やりたいゲーム?お前がそこまで言うとは興味があるな。何がしたいんだ?」

 両手を握りながら強くそう言う美凪に、俺はかなり興味が湧いた。

「メダル落としがやりたいんです!!」
「……あれか」

 確かにあれには俺も興味がある。
 自分でやったことは無いが、ゲーセンでカップルや夫婦が二人並んで楽しそうにやってる所を何度も見た事がある。

 ただ、少しだけ問題がある……

 まぁでも良いか。俺が理性を強く持てば良い話だ。

「良いぞ。俺もやるのは初めてだが、楽しそうだなと思ってたんだ。ゲーセンでメダル落としをやろう」
「わーい!!嬉しいです!!」

 美凪はそう言うと、両手を挙げて喜びを示した。

「上手くやれば長く遊べるって話も聞くからな。小さなお菓子とか、あとは飲み物を買って、汚さないように気を付けながら遊ぼうか」
「そうですね!!ゲームセンターの中で買うと高くつきますからね!!買ってから行きましょう!!」

 俺たちはそう言って椅子から立ち上がり、ゴミを処分した後にショッピングモールの中にあるスーパーでまずは飲み物とお菓子を買いに行った。



『スーパーマーケット』


 アオンモール。と呼ばれるスーパーに到着した俺と美凪。

 価格は少しお高めだが、良いものが売ってるスーパーだ。

 お菓子とか飲み物とかも、他のスーパーに比べれば多少高いけど、ゲーセンの中で買うよりは断然安い。

 買い物カートにカゴを乗せ、俺と美凪は中を進む。

「今日の夕飯をここで買うのもありだなぁ……」
「そうですね。確か……冷蔵庫の中は空だったです」

 あれだけあった卵やウインナーも、毎日消費していたのでもう無くなった。
 ロヒアで買った肉や野菜も食べきった。

 冷蔵庫の中には飲みかけの牛乳があるだけだ。

 洋服も買ったし、これからゲーセンに遊びにも行く。
 明日もデートだからお金を使う予定だ。

 そうなると、多少高めのスーパーだけど、外食をするよりはここで夕飯の買い物を済ませてしまうのも手だよな。

 帰り道でわざわざ違うスーパーに行くのも手間だし。

 幸い、ここで買い物をした商品なら冷蔵機能付きのロッカーを三時間までなら無料で借りることが出来る。

 それを利用すればここで食材が痛むことも無い。

「よし。ここで夕飯の買い物をしていこう。美凪は何か食べたいものはあるか?」
「そうですね。こういう時に『なんでもいい』と言う言葉はダメだ。と言う話を聞いたことがあります!!」

「あはは……そうだな。なんでもいいと言われると、何を作ったらいいかわからなくなるからな。それで出されたものを『これじゃないんだよなぁ』とか言われるのが夫婦喧嘩の始まりだ。と聞いたことがある」
「ですが、隣人さんの作る料理はなんでも美味しいので、正直な話をすれば『なんでもいい』と思ってしまいます!!」

 美凪が持ってる俺の料理の期待値の高さが良くわかるな。
 でもそうだな、そういう意味で使われる『なんでもいい』なら気分は悪くないな。

「なあ、美凪。だったら今夜は『カレー』にしようか?」
「カレーですか!!とんでもないご馳走ですね!!」

 美凪はそう言うと目をキラキラと輝かせた。

「今日と明日の二連休だ。今日は一日目のカレー。明日はデートが終わって帰ってきたら二日目のカレー。外でも家でも楽しみが出来るからな」
「おおーー!!隣人さん!!流石です!!」

 美凪は手を叩いて俺を賞賛していた。

「そして、お前には新しいスキルを習得してもらう」
「あ、新しいスキル……ですか?」

 ゴクリと唾を飲み込む美凪。俺はそんな彼女に続ける。

「ピーラーを使って野菜の皮むきをしてもらうぞ。そして、今日のカレーの具材は全てお前が下ごしらえをするんだ」
「そこまで任せてくれるんですか!!光栄です!!」

「包丁を使うことにも慣れてきたと思う。だが、その慣れた時の怪我もお前はしなかった。次は野菜よりも難易度が上がる肉を切ってもらう」
「はい!!」

「そして、人参とじゃがいもはピーラーを使って皮をむいてもらう。皮をむいた野菜は滑りやすい。これも怪我をしやすい部類だが、お前なら大丈夫だと信じている」
「はい!!多少不揃いになったとしても、絶対に指は切りません!!」

「よし。その心持ちなら平気だな。じゃあこれから野菜と肉とカレーのルーを買って行こう」
「了解です!!」


 そして、野菜売り場に到着した俺と美凪。
 まずは野菜を選んでいく。

「付け合せのサラダに使う野菜をまずは持って来てくれ。レタス、きゅうり、トマト。この三種類だ」
「了解です!!良いものの選び方は、以前教わりましたからね!!」

 美凪はそう言うと、みずみずしいレタスとイボの立ったきゅうりと部屋の数が多いトマトを持ってきた。

「完璧だな。良くやった、美凪」

 俺がそう言って彼女の頭を撫でると、美凪は嬉しそうに目を細めた。

「えへへ……このくらいのことでしたら、おちゃのこさいさいです」
「よし。次は人参と玉ねぎとじゃがいもの選び方だ」

 俺はそう言うと泥物のコーナーに行く。

「今の三種類の野菜はあまり鮮度を気にした事の無い野菜ですね。何かポイントがあるんですか?」
「そうだな。鮮度を気にしない野菜だからこそ、しっかり選ばないと『売り場で鮮度劣化した商品』を掴んでしまう可能性がある」

「なるほど……」
「中を切ったら傷んでた。まぁ言えば交換してもらえるけど、手間だからな。わざわざ玉ねぎやじゃがいも一個の為に店員さんの家に呼び付けて、手を煩わせるのも可哀想だ。そういうのを買わないってのも大切だからな」

 俺はそう言うとまずは人参を手にする。

「人参は表面が黒ずんでいないことを先ず見ろ。そしてこの上の緑の部分。これが小さいものを選ぶんだ。あとはこの上から芽が出てたら古いサインだ。そういうのは選ぶなよ?」
「たまにこの上から葉っぱが生えてるのがありますけど、あれはなんですか?」

「それは市場に流さない、地元の農家の野菜のことが多いな。鮮度を売りにした商品だ。そういうのがあったら価格と相談して買うのも良いだろう」
「なるほど、勉強になります!!」

 俺は選んだ人参をカゴに入れると、次は隣の玉ねぎを手にする。

「玉ねぎは危険な野菜なんだ。しっかりと選ばないと、中が傷んでいることが多い野菜だ」
「……わかるんですか?」

「完璧には見抜けないが、確実にダメなものはわかる。まずは握った時にしっかりと硬いことを確認しろ。次に頭の部分が濡れてないかを確認だ」
「何故そこを見るんですか?」

「玉ねぎの中が腐る理由は、この頭の部分から水が入ってそのせいで腐るんだ。外目は平気でも中が腐ってる。理由はそのせいだ」
「なるほど……」

「そして、軽く頭を押して柔らかくなければ八割くらいは大丈夫だと思う。残り二割は運だ」
「そうなんですね。玉ねぎは難しい野菜なんですね」

 俺は玉ねぎをカゴに入れて次はじゃがいもを手にする。

「じゃがいもには絶対に選んではならないものがある」
「ぜ、絶対に選んではならないもの……」

 俺は売り場の端にあった『緑色のじゃがいも』を手に取る。

「これだ」
「え?緑色のじゃがいもですね。何かあるんですか?」

「これはな、極端な話をすれば『毒のじゃがいも』なんだ」
「ポイズンポテト!!トリ〇の世界です!!」

「あはは……あれみたいな過激な毒は無いけど、中毒の原因になるような物質が含まれてるからな。食べない方がいいのは事実だ」
「そうなんですね」

「たまに安く売ってたりするけど、絶対に買うなよ」
「はい!!」

 俺はじゃがいもをカゴの中に入れた。

「よし。これで野菜は全部選んだな。次は肉を買おう」
「はい!!お肉はたくさん入れたいです!!」
「あはは、そうだな。俺もたくさん肉は入れたいな」

 そう言って、俺と美凪は野菜売り場を後にした。




 そして、夕飯の材料とゲームセンターでの飲食物を買った俺と美凪は、無料で使えるコインロッカーに食材を入れてから、ゲーセンへと向かった。
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