十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

文字の大きさ
41 / 164
第1章 前編

最終話 ~『血』で繋がった幼馴染との仲直りの仕方・彼女が俺と姉弟になりたいと言った理由を知りました~ 後編

しおりを挟む
 最終話  後編



「これが、私がアンタの『姉』になりたかった理由よ」

「そうか。お前の理由はわかったよ」

「今度は俺の話を聞いてくれないか?」

 俺はそう言うと、凛音の目を見て言った。

「俺も、お前と『家族』になりたかったんだよ」
「……え?」

 驚く凛音に俺は続ける。

「でも、俺がなりたかったのは姉弟(してい)じゃない。夫婦なんだよ」
「だって……それだと……」
「なぁ、凛音。お前が言うように、離婚をする夫婦は星の数ほど居ると思う」
「……そうね」

 凛音は寂しそうにそう言う。だが、俺はそんな彼女に自分の気持ちを伝えた。

「でもさ、一生死ぬまで一緒に居る夫婦も、それこそ星の数ほど居るんじゃないか?」
「……っ!!」

 目を見張る凛音。そういう考え方は無かったみたいだ。

「俺はさ、凛音。そう言う家族になりたいと思っていた。お前となら、なれると思っていた。だから、あの日、お前と夫婦になるための一歩として、恋人になってくれ。そう言ったんだ」
「そうだったのね……」

 俺は天井を見る。

「俺もお前も、『家族になりたい』その気持ちは一緒だった。でも『家族の形』がズレてたんだな」
「はぁ……そうね」

 そこまで言ったあと、俺は凛音を見て笑う。

「なあ、凛音。もう一度やり直さないか?」
「……やり直す?」

 俺はその言葉に、首を縦に振る。

「もう一度『他人』からやり直そう」
「……え」

 驚く凛音に言葉を続ける。

「幼馴染だとか家族だとか姉だとか妹だとかそう言うのはもう全部白紙に戻そう。その上で、俺と凛音の新しい関係を『他人』から始めないか?」

 きっと俺たちは拗れすぎたんだ。
 色々な事を考え過ぎて、経験し過ぎて、関係性がごちゃごちゃになってしまった。

 だったらいっそ『他人』からやり直そう。

 もう一度、最初から。
 桜井霧都と南野凛音の新しい形をこれから作って行こう。


「……それなら、まだ私にもチャンスがあるわね」
「チャンス?」

 先程までの弱々しい目と違い、いつもの凛音の目が戻ってきていた。

「今のアンタの心の中には北島永久が占めているわ。でも、まだ結婚してないんだからあの女はアンタにとっても『他人』よ」

「そうだな」

「そして、私も『他人』だと言うなら、立場は一緒。アンタと『家族』になる道はまだあるって事よ」

 自信満々にそんなことを言う凛音。
 だが、圧倒的にズレてる部分があるので言っておこう。

「なぁ、凛音。俺がここに来たのは、お前との関係をリセットして、北島永久さんと胸を張って恋人になる為なんだけど?」

 その言葉に、凛音は薄い胸を反らせる。

「そうね、私の立場は非常に悪いわね。かなりの『劣勢』だと言っていいわね?」
「だ、だったらなんでそんなに自信満々なんだよ」

 俺のその言葉に凛音は笑った。

「何よ、アンタ。忘れたの?」

 全国大会に行った時。アンタが私の長所をインタビューで言ってたじゃない?

 凛音はそう言うと、ニヤリと笑った。

「凛音の……長所……」

 あ……

「思い出したみたいね!!そうよ、私の長所を教えてあげるわ!!」


 弾けるような笑顔で、凛音が言う。




「どんな劣勢でも絶対に諦めない負けん気の強さ。それが私、南野凛音の長所なんだから!!」




 最終話  ~『血』で繋がった幼馴染との仲直りの仕方・彼女が俺と姉弟になりたいと言った理由を知りました~ 




 ~完~


エピローグへ続く
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

開発者を大事にしない国は滅びるのです。常識でしょう?

ノ木瀬 優
恋愛
新しい魔道具を開発して、順調に商会を大きくしていったリリア=フィミール。しかし、ある時から、開発した魔道具を複製して販売されるようになってしまう。特許権の侵害を訴えても、相手の背後には王太子がh控えており、特許庁の対応はひどいものだった。 そんな中、リリアはとある秘策を実行する。 全3話。本日中に完結予定です。設定ゆるゆるなので、軽い気持ちで読んで頂けたら幸いです。

(完結)私より妹を優先する夫

青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。 ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。 ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。

会長にコーヒーを☕

シナモン
恋愛
やっと巡ってきた運。晴れて正社員となった私のお仕事は・・会長のお茶汲み? **タイトル変更 旧密室の恋**

処理中です...