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第1章 前編
最終話 ~『血』で繋がった幼馴染との仲直りの仕方・彼女が俺と姉弟になりたいと言った理由を知りました~ 後編
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最終話 後編
「これが、私がアンタの『姉』になりたかった理由よ」
「そうか。お前の理由はわかったよ」
「今度は俺の話を聞いてくれないか?」
俺はそう言うと、凛音の目を見て言った。
「俺も、お前と『家族』になりたかったんだよ」
「……え?」
驚く凛音に俺は続ける。
「でも、俺がなりたかったのは姉弟(してい)じゃない。夫婦なんだよ」
「だって……それだと……」
「なぁ、凛音。お前が言うように、離婚をする夫婦は星の数ほど居ると思う」
「……そうね」
凛音は寂しそうにそう言う。だが、俺はそんな彼女に自分の気持ちを伝えた。
「でもさ、一生死ぬまで一緒に居る夫婦も、それこそ星の数ほど居るんじゃないか?」
「……っ!!」
目を見張る凛音。そういう考え方は無かったみたいだ。
「俺はさ、凛音。そう言う家族になりたいと思っていた。お前となら、なれると思っていた。だから、あの日、お前と夫婦になるための一歩として、恋人になってくれ。そう言ったんだ」
「そうだったのね……」
俺は天井を見る。
「俺もお前も、『家族になりたい』その気持ちは一緒だった。でも『家族の形』がズレてたんだな」
「はぁ……そうね」
そこまで言ったあと、俺は凛音を見て笑う。
「なあ、凛音。もう一度やり直さないか?」
「……やり直す?」
俺はその言葉に、首を縦に振る。
「もう一度『他人』からやり直そう」
「……え」
驚く凛音に言葉を続ける。
「幼馴染だとか家族だとか姉だとか妹だとかそう言うのはもう全部白紙に戻そう。その上で、俺と凛音の新しい関係を『他人』から始めないか?」
きっと俺たちは拗れすぎたんだ。
色々な事を考え過ぎて、経験し過ぎて、関係性がごちゃごちゃになってしまった。
だったらいっそ『他人』からやり直そう。
もう一度、最初から。
桜井霧都と南野凛音の新しい形をこれから作って行こう。
「……それなら、まだ私にもチャンスがあるわね」
「チャンス?」
先程までの弱々しい目と違い、いつもの凛音の目が戻ってきていた。
「今のアンタの心の中には北島永久が占めているわ。でも、まだ結婚してないんだからあの女はアンタにとっても『他人』よ」
「そうだな」
「そして、私も『他人』だと言うなら、立場は一緒。アンタと『家族』になる道はまだあるって事よ」
自信満々にそんなことを言う凛音。
だが、圧倒的にズレてる部分があるので言っておこう。
「なぁ、凛音。俺がここに来たのは、お前との関係をリセットして、北島永久さんと胸を張って恋人になる為なんだけど?」
その言葉に、凛音は薄い胸を反らせる。
「そうね、私の立場は非常に悪いわね。かなりの『劣勢』だと言っていいわね?」
「だ、だったらなんでそんなに自信満々なんだよ」
俺のその言葉に凛音は笑った。
「何よ、アンタ。忘れたの?」
全国大会に行った時。アンタが私の長所をインタビューで言ってたじゃない?
凛音はそう言うと、ニヤリと笑った。
「凛音の……長所……」
あ……
「思い出したみたいね!!そうよ、私の長所を教えてあげるわ!!」
弾けるような笑顔で、凛音が言う。
「どんな劣勢でも絶対に諦めない負けん気の強さ。それが私、南野凛音の長所なんだから!!」
最終話 ~『血』で繋がった幼馴染との仲直りの仕方・彼女が俺と姉弟になりたいと言った理由を知りました~
~完~
エピローグへ続く
「これが、私がアンタの『姉』になりたかった理由よ」
「そうか。お前の理由はわかったよ」
「今度は俺の話を聞いてくれないか?」
俺はそう言うと、凛音の目を見て言った。
「俺も、お前と『家族』になりたかったんだよ」
「……え?」
驚く凛音に俺は続ける。
「でも、俺がなりたかったのは姉弟(してい)じゃない。夫婦なんだよ」
「だって……それだと……」
「なぁ、凛音。お前が言うように、離婚をする夫婦は星の数ほど居ると思う」
「……そうね」
凛音は寂しそうにそう言う。だが、俺はそんな彼女に自分の気持ちを伝えた。
「でもさ、一生死ぬまで一緒に居る夫婦も、それこそ星の数ほど居るんじゃないか?」
「……っ!!」
目を見張る凛音。そういう考え方は無かったみたいだ。
「俺はさ、凛音。そう言う家族になりたいと思っていた。お前となら、なれると思っていた。だから、あの日、お前と夫婦になるための一歩として、恋人になってくれ。そう言ったんだ」
「そうだったのね……」
俺は天井を見る。
「俺もお前も、『家族になりたい』その気持ちは一緒だった。でも『家族の形』がズレてたんだな」
「はぁ……そうね」
そこまで言ったあと、俺は凛音を見て笑う。
「なあ、凛音。もう一度やり直さないか?」
「……やり直す?」
俺はその言葉に、首を縦に振る。
「もう一度『他人』からやり直そう」
「……え」
驚く凛音に言葉を続ける。
「幼馴染だとか家族だとか姉だとか妹だとかそう言うのはもう全部白紙に戻そう。その上で、俺と凛音の新しい関係を『他人』から始めないか?」
きっと俺たちは拗れすぎたんだ。
色々な事を考え過ぎて、経験し過ぎて、関係性がごちゃごちゃになってしまった。
だったらいっそ『他人』からやり直そう。
もう一度、最初から。
桜井霧都と南野凛音の新しい形をこれから作って行こう。
「……それなら、まだ私にもチャンスがあるわね」
「チャンス?」
先程までの弱々しい目と違い、いつもの凛音の目が戻ってきていた。
「今のアンタの心の中には北島永久が占めているわ。でも、まだ結婚してないんだからあの女はアンタにとっても『他人』よ」
「そうだな」
「そして、私も『他人』だと言うなら、立場は一緒。アンタと『家族』になる道はまだあるって事よ」
自信満々にそんなことを言う凛音。
だが、圧倒的にズレてる部分があるので言っておこう。
「なぁ、凛音。俺がここに来たのは、お前との関係をリセットして、北島永久さんと胸を張って恋人になる為なんだけど?」
その言葉に、凛音は薄い胸を反らせる。
「そうね、私の立場は非常に悪いわね。かなりの『劣勢』だと言っていいわね?」
「だ、だったらなんでそんなに自信満々なんだよ」
俺のその言葉に凛音は笑った。
「何よ、アンタ。忘れたの?」
全国大会に行った時。アンタが私の長所をインタビューで言ってたじゃない?
凛音はそう言うと、ニヤリと笑った。
「凛音の……長所……」
あ……
「思い出したみたいね!!そうよ、私の長所を教えてあげるわ!!」
弾けるような笑顔で、凛音が言う。
「どんな劣勢でも絶対に諦めない負けん気の強さ。それが私、南野凛音の長所なんだから!!」
最終話 ~『血』で繋がった幼馴染との仲直りの仕方・彼女が俺と姉弟になりたいと言った理由を知りました~
~完~
エピローグへ続く
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