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第2章 後編
最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ その①
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最終話 その①
「今日から二日間のテスト期間。ここまで勉強したのは久しぶりだから、かなり手応えを感じてるよ」
朝。図書室で試験前最後の勉強を終えた俺はペンを置いて皆にそう言った。
「俺も最初はどうなることかと思ったけど、桜井に相談して正解だったよ。この調子なら赤点回避くらいなら固いと思ってる」
俺の言葉に、石崎が軽く笑いながらそう言うと白雪さんが少しだけ冷たい目を向けながら彼に言う。
「涼太くん。情けない事を言わないでください。せめて平均点くらいは取らないと許しませんよ?」
「ま、マジかよ……」
「マジですよ。全く。小テストが全部ゼロ点だったと知った時には本当にびっくりしたんですからね。反省してください」
二人のそんな微笑ましいやり取りを見ていると、隣にいるいる永久から軽く肩を叩かれる。
「霧都。あまり長居をするとSHRに遅れてしまいますよ。学校に居るのに遅刻してしまっては情けないですからね」
「そうだね。それじゃあ皆、勉強道具を片付けて教室に向かおうか」
俺はそう言って勉強道具一式を片付けたあと、カウンターに座っている三上さんの元へ行く。
「色々と融通してくれてありがとうございました。お陰で良い点数が取れると思ってます」
『ふふふ。毎日頑張ってたからね。あとはケアレスミスに気をつけてね?』
「はい。それでは失礼します」
三上さんに挨拶を終えた俺は、図書室の外で待っていた皆と合流する。
「ごめん。待たせたね」
「大丈夫ですよ。そうやってお礼を言える所が霧都の良いところだと思いますからね」
「あはは。そう言ってくれるのは嬉しいな」
年上の女性に鼻の下を伸ばしてる。なんて言われるのは嫌だけど、こうして褒めてくれるのは素直に嬉しい。
そんなことを思いながら、俺たちは教室へと向かった。
そして、教室へと着いた俺たちは自分の席へと向かう。
どうやらそれなりに登校している生徒は居るようで、皆一様に一時間目のテスト科目の数学の教科書を開いていた。
「ふふふ。こういう光景を見ると、いよいよテストが始まるな。という気持ちになってきますね」
「そうだね……ってあれ?まだ凛音は来てないのか」
軽く教室を見渡すと、凛音の姿が見えなかった。
「……そうですね。時間はあと五分程しかありませんから、もうすぐ来てないと遅刻になってしまいます」
遅刻は全テストから五点が引かれることになってしまう。
そんなペナルティを受けたら、永久との点数勝負どころでは無くなってしまうけど……
と思っていると、ガラリと教室の扉が開いた。
教室にはもう凛音以外の生徒は登校してる。
根岸先生は時間ちょうどに来る人だ。
そうなれば入って来たのはあいつ以外では考えられないな。
「遅かったな、凛音。犬にでも絡まれたか……え?」
「……そ、その凛音さん。だ、大丈夫ですか?」
教室の扉に視線を向けると、
「……煩いわね。あまり大きな声を出さないでちょうだい。頭に響くわ」
この時期にしてはかなりの厚着をして、額には冷えピタを貼り、マスクをした凛音が居た。
「まさかとは思うけど、風邪引いたのかお前……」
俺がそう言って凛音に手を伸ばすと、彼女はその手を払い除けた。
「……触らないでちょうだい。それに、あんたが気にするようなことでは無いわよ」
「だ、だけどさ……」
「……黙りなさい霧都。私は絶好調よ。これまでに無い点数を取れる自信があるわ」
凛音はそう言うと、永久の方を見て言葉を放つ。
「手を抜いたら殺すわよ。全力で来なさい」
「当然です。どんな状態の凛音さんでも私の最大の敵です」
永久がそう言葉を返すと、凛音は満足したように笑みを浮かべる。
「それでいいわ」
凛音はそう言うと自分の席に行き、椅子に座った。
「チャンスだとは思いません。寧ろ脅威度が増したとすら思ってます」
「そうか……まぁ、体調管理も実力のうちだからな」
そう俺が言ったところで、ガラリと教室の扉が開く。
担任の根岸先生が教室に入ってきた。
そして、SHRの始まりを告げるチャイムが鳴った。
「皆、おはよう。それでは桐崎、号令だ」
「はい!!起立!!」
根岸先生に促され、桐崎さんが号令を掛ける。
俺たちはそれに従い、椅子から立ち上がる。
「南野はそのままでも構わないぞ?」
「……心配には及ばないわ」
「そうか」
凛音は辛そうにしながらも、椅子から立ち上がる。
「礼!!着席!!」
おはようございます。と先生に挨拶をしたあと、俺たちは椅子に座り直した。
「それではSHRを始める。まずは今日から二日間の試験期間になる。注意事項だ。まず、カンニングをした場合は問答無用で全教科の点数を0点にする」
当然だよな。情状酌量の余地なんか無い。
「次に、試験に遅刻した場合は五点の減点になる。必ず時間内に教室に居るように。そして、やむを得ない理由で試験を欠席した場合は再テストを受けることが出来る。だが十点の減点になる」
根岸先生はそう言うと、凛音の方を見る。
「体調と相談して、再テストにするか否かを考えてもいい」
「……私は絶好調よ。全教科満点をとってやるから見てなさい」
凛音のその言葉に、根岸先生は目を細めた。
「注意事項は以上だ。それでは一時間目は私の数学だ。良い点を取ってくれることを期待している」
先生はそう言うと教室から出て行った。
先生が出て行ったあと、永久が俺の方を向いて微笑みながら言う。
「私も全教科満点を取るつもりですからね。凛音さんには負けません」
「俺も学年一桁を目指して頑張るよ」
そして、俺たちの会話に桐崎さんが参加をする。
「えへへ。二人の勝負に水を差すわけじゃないけど、おにぃと一緒で万年二位と言われないように私が今回は一位を取るよ!!」
「ふふふ。桐崎さんにも負けません。学年首席の座は私が守ります」
こうして、凛音と永久の中間テストの点数勝負が幕を上げた。
「今日から二日間のテスト期間。ここまで勉強したのは久しぶりだから、かなり手応えを感じてるよ」
朝。図書室で試験前最後の勉強を終えた俺はペンを置いて皆にそう言った。
「俺も最初はどうなることかと思ったけど、桜井に相談して正解だったよ。この調子なら赤点回避くらいなら固いと思ってる」
俺の言葉に、石崎が軽く笑いながらそう言うと白雪さんが少しだけ冷たい目を向けながら彼に言う。
「涼太くん。情けない事を言わないでください。せめて平均点くらいは取らないと許しませんよ?」
「ま、マジかよ……」
「マジですよ。全く。小テストが全部ゼロ点だったと知った時には本当にびっくりしたんですからね。反省してください」
二人のそんな微笑ましいやり取りを見ていると、隣にいるいる永久から軽く肩を叩かれる。
「霧都。あまり長居をするとSHRに遅れてしまいますよ。学校に居るのに遅刻してしまっては情けないですからね」
「そうだね。それじゃあ皆、勉強道具を片付けて教室に向かおうか」
俺はそう言って勉強道具一式を片付けたあと、カウンターに座っている三上さんの元へ行く。
「色々と融通してくれてありがとうございました。お陰で良い点数が取れると思ってます」
『ふふふ。毎日頑張ってたからね。あとはケアレスミスに気をつけてね?』
「はい。それでは失礼します」
三上さんに挨拶を終えた俺は、図書室の外で待っていた皆と合流する。
「ごめん。待たせたね」
「大丈夫ですよ。そうやってお礼を言える所が霧都の良いところだと思いますからね」
「あはは。そう言ってくれるのは嬉しいな」
年上の女性に鼻の下を伸ばしてる。なんて言われるのは嫌だけど、こうして褒めてくれるのは素直に嬉しい。
そんなことを思いながら、俺たちは教室へと向かった。
そして、教室へと着いた俺たちは自分の席へと向かう。
どうやらそれなりに登校している生徒は居るようで、皆一様に一時間目のテスト科目の数学の教科書を開いていた。
「ふふふ。こういう光景を見ると、いよいよテストが始まるな。という気持ちになってきますね」
「そうだね……ってあれ?まだ凛音は来てないのか」
軽く教室を見渡すと、凛音の姿が見えなかった。
「……そうですね。時間はあと五分程しかありませんから、もうすぐ来てないと遅刻になってしまいます」
遅刻は全テストから五点が引かれることになってしまう。
そんなペナルティを受けたら、永久との点数勝負どころでは無くなってしまうけど……
と思っていると、ガラリと教室の扉が開いた。
教室にはもう凛音以外の生徒は登校してる。
根岸先生は時間ちょうどに来る人だ。
そうなれば入って来たのはあいつ以外では考えられないな。
「遅かったな、凛音。犬にでも絡まれたか……え?」
「……そ、その凛音さん。だ、大丈夫ですか?」
教室の扉に視線を向けると、
「……煩いわね。あまり大きな声を出さないでちょうだい。頭に響くわ」
この時期にしてはかなりの厚着をして、額には冷えピタを貼り、マスクをした凛音が居た。
「まさかとは思うけど、風邪引いたのかお前……」
俺がそう言って凛音に手を伸ばすと、彼女はその手を払い除けた。
「……触らないでちょうだい。それに、あんたが気にするようなことでは無いわよ」
「だ、だけどさ……」
「……黙りなさい霧都。私は絶好調よ。これまでに無い点数を取れる自信があるわ」
凛音はそう言うと、永久の方を見て言葉を放つ。
「手を抜いたら殺すわよ。全力で来なさい」
「当然です。どんな状態の凛音さんでも私の最大の敵です」
永久がそう言葉を返すと、凛音は満足したように笑みを浮かべる。
「それでいいわ」
凛音はそう言うと自分の席に行き、椅子に座った。
「チャンスだとは思いません。寧ろ脅威度が増したとすら思ってます」
「そうか……まぁ、体調管理も実力のうちだからな」
そう俺が言ったところで、ガラリと教室の扉が開く。
担任の根岸先生が教室に入ってきた。
そして、SHRの始まりを告げるチャイムが鳴った。
「皆、おはよう。それでは桐崎、号令だ」
「はい!!起立!!」
根岸先生に促され、桐崎さんが号令を掛ける。
俺たちはそれに従い、椅子から立ち上がる。
「南野はそのままでも構わないぞ?」
「……心配には及ばないわ」
「そうか」
凛音は辛そうにしながらも、椅子から立ち上がる。
「礼!!着席!!」
おはようございます。と先生に挨拶をしたあと、俺たちは椅子に座り直した。
「それではSHRを始める。まずは今日から二日間の試験期間になる。注意事項だ。まず、カンニングをした場合は問答無用で全教科の点数を0点にする」
当然だよな。情状酌量の余地なんか無い。
「次に、試験に遅刻した場合は五点の減点になる。必ず時間内に教室に居るように。そして、やむを得ない理由で試験を欠席した場合は再テストを受けることが出来る。だが十点の減点になる」
根岸先生はそう言うと、凛音の方を見る。
「体調と相談して、再テストにするか否かを考えてもいい」
「……私は絶好調よ。全教科満点をとってやるから見てなさい」
凛音のその言葉に、根岸先生は目を細めた。
「注意事項は以上だ。それでは一時間目は私の数学だ。良い点を取ってくれることを期待している」
先生はそう言うと教室から出て行った。
先生が出て行ったあと、永久が俺の方を向いて微笑みながら言う。
「私も全教科満点を取るつもりですからね。凛音さんには負けません」
「俺も学年一桁を目指して頑張るよ」
そして、俺たちの会話に桐崎さんが参加をする。
「えへへ。二人の勝負に水を差すわけじゃないけど、おにぃと一緒で万年二位と言われないように私が今回は一位を取るよ!!」
「ふふふ。桐崎さんにも負けません。学年首席の座は私が守ります」
こうして、凛音と永久の中間テストの点数勝負が幕を上げた。
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