十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第2章 後編

最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ その⑫

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 最終話  その⑫




「それで、静流さん。どうして凛音に『仮病』なんかをさせたんですか?」

 教室を出て行ったあと、俺たち三人は下駄箱で上履きから靴に履き替えたあと、静流さんの車に乗り込んだ。

 クラウンと呼ばれる白い乗用車の後部座席に俺と凛音は乗った。
 シートベルトをしっかりと締めたあと、俺たちを乗せて静流さんの車は発進した。

 そして、運転の邪魔にならないように信号待ちの時間を使って俺は静流さんにそう尋ねた。

「あら、やっぱり仮病だってことは見抜いてたのね」
「当たり前だろ。何年一緒に居ると思ってんだよ。調子が悪い時と声が違う。俺に肩を貸すあの時まで触らせなかったのは、熱が無いのを知らせないようにするためだろ?」
「ご名答よ。どっかの居眠り探偵より推理力があるわね」

 ケラケラと笑いながらそう言う凛音。
 教室でのあの様子が嘘のようだ。
 まぁ嘘なんだけどな。

「昨日。凛音ちゃんを自転車で登校させたのは霧都くんに凛音ちゃんが『仮病』だって気が付いて貰うためよ」
「……何でそんなことをしたんですか?」

 運転をしながら静流さんは俺にそう話を始めた。

「霧都くんだけを確実に家に招待するためよ。貴方は凛音ちゃんの仮病を周りのお友達と北島永久さんには話しているでしょ?」
「……そうですね」
「凛音ちゃんが仮病を使っている。なんでなんだろうか?その事を北島永久さんに相談させて、お見舞いに行くことに了承を貰わせるためにはこうする必要があったのよ」
「そこまでして、俺を連れ出して……一体何がしたいんですか?」

 俺がそう聞くと、静流さんは少しだけ笑いながら言葉を返す。

「美味しいお昼ご飯を用意してるのよ。霧都くんと一緒に食べようと思ってるのよ」
「……そんな答えで納得すると思ってるんですか?」
「悲しいわ、霧都くん。血の繋がったお母さんにそんな目を向けないで欲しいわ……」

 ダメだな。静流さんは俺に本当のことなんか話すつもりは無い。まぁ期待していたわけじゃ無いけど。

 嘘っぽくかなしそうな表情をする静流さんに、俺は少しだけため息をついた。

 そして、俺たちを乗せた車はあっとゆう間に凛音の家に到着した。
 学校に置き去りにしてる自転車については後で考えることにしよう。

「仮病なんだから一人で歩けるだろ?」
「あら?随分なことを言うのね。さっきまでは丁寧に扱ってくれたのに」

 後部座席の扉を開けて俺がそう言うと、凛音は軽く笑いながらそう答えた。

「まぁ良いわよ。あんたに肩を貸してもらって歩くのも悪くなかったけどね」

 凛音はそう言うと、軽快な足取りで車を降りた。

「私は昼ごはんの準備をしてるから、霧都くんと凛音ちゃんは部屋で待っててちょうだい」
「……わかりました」
「わかったわ、お母さん」

 玄関の鍵を開けて家の中へと入った俺たち。
 洗面所で手洗いとうがいをしたあと、静流さんは昼ごはんの準備をしに台所へと向かった。

 俺と凛音はそのまま二階にある凛音の部屋へと向かった。

『凛音の部屋』

 と書かれた扉を開けて中に入る。

 綺麗に掃除の行き届いた部屋。
 机の上には勉強道具が綺麗に積まれていた。

 こいつがどれだけ本気で勉強に取り組んでいたのかがわかるな。

「はぁ……疲れたわね」

 凛音はそう言うと、カバンを床に置き、制服のままベッドの上で横になった。
 その拍子で少しだけスカートが乱れて凛音の脚が上の方まで見えてしまう。

「はしたないな。もう少し慎みを持ったらどうだ?」
「あら?私に『女』を感じてるのかしら?」
「うるせぇよ貧乳」
「貧乳じゃないわよ!!少し物足りないだけよ!!」

 そんないつもの会話をした後に、俺は凛音に問い掛ける。

「それで、静流さんは俺に教えなかったけどこの期に及んで言わないってことは無いだろ?」
「そうね。そろそろ教えてあげないと可哀想よね」

 凛音はそう言うと、ベッドに腰かけて俺に向かって笑みを浮かべた。

「………………ためよ」
「……は?」

 小さく言われた言葉。全然聞き取れなかった。
 お前わざとかよ!!

「全然聞こえねぇよ!!もっとでかい声で言えよ!!」

 俺はそう言って凛音に詰め寄る。

 それが……悪手だった……

「……バカね。アンタはいつも考えが甘いのよ」

 凛音はそう言うと俺の身体を抱き寄せてベッドへと倒れ込んだ。

 外から見たら『俺が凛音を押し倒している』ように見える体制だ。

「好きよ、霧都。私は本気でアンタを愛しているわ」
「馬鹿なことを言うなよ!!今更そんなことを言われたって俺の気持ちは微塵も……っ!!!!???」

 本気の目で凛音から告白をされた。
 俺は一瞬すらも惑うことなく彼女にNOを突きつけた。

 だが……

 そんなことはお構い無しに……

「…………これが私の初めてよ。ありがたく受け取りなさい」


 キスをされた。



 首筋を思い切り抱きしめられ、逃げることが出来ない。
 無理やり合わせられた唇からは、凛音の舌が容赦なく入ってくる。
 そして俺の口の中が凛音の舌で犯される。

 絡め合うなんてことは絶対にしない。

 奪われた。そんな表現しかないキスだった。

 強引にぶつかり合ったことで、唇からは血が出ているようだった。
 血の味がするキスを終え、真っ赤に染った唾液が俺と凛音の間で糸を引いた。

「……こんな、こんなことがお前のしたかった事かよ」

 血の混じった唾液のついた口元を手で拭いながら、俺は凛音を睨みつける。

「そうね。どうかしら?喜んでもらえたかしら」
「ふざけるなよ凛音!!こんなことしたってなんの意味もないことはお前だってわかってるだろ!!」

 感情に任せてそう言うと、凛音は笑いながらスマホを見せた。

「これを見てもらえるかしら?」

 そう言って見せてきた凛音のスマホには、『俺が凛音を押し倒しているように見える写真』と、『俺が凛音とキスをしてる写真』が映し出されていた。

「嘘だろ!!??」

 俺がそう言って振り返ると、凛音の部屋の入り口は開かれていて、そこにはスマホを構えた静流さんが居た。

「パンとご飯。どっちが良いかを聞きに来たのよ。霧都くんと凛音ちゃんがそんなことをしてるとは思わなかったわ」
「し、白々しいことを言わないでください!!」

 嵌められた!!嵌められた!!嵌められた!!!!

 こんな写真を残されたらどんなことを言っても信じて貰えない!!
 これが二人がしたかったこと!!
 俺をこの場に呼び寄せた理由!!

「北島永久さんという彼女がいるのに、凛音ちゃんともキスしてるなんて。やっぱり霧都くんも若いわねぇ」

 ニタニタと笑いながら静流さんはそう言ってその場を後にした。

「…………凛音。お前の望みはなんだよ」

 苦虫を噛み潰したような気持ちになりながら、俺は凛音にそう問いかける。

「別に北島永久と別れて私と付き合え。そんなことを言うつもりはないわ」
「……だろうな。お前はそんなことを言う性格じゃない」
「あら?やっぱりさすがは十年来の幼馴染ね。私のことをわかってるわ」

 凛音はケラケラと笑いながらそう言うと、俺に向かって言葉を続けた。

「私をアンタの『二番目の女』にしなさい」
「……は?」

 に、二番目の女?
 何を言ってるんだお前は……

 困惑する俺に、凛音は話し始める。

「前に霧都は言ったわね。私の『初めて』は全て欲しい。ってね」
「…………そうだな」
「霧都の希望を叶えてあげるわ。私の『初めて』は全部アンタにあげるわ」

 言葉を失う俺。そんな俺に凛音は言葉を続ける。

「キスもデートも処女も全部全部……アンタにあげるわ。ふふふ。ありがたく思いなさい」
「要らねぇよ……」

 俺がそう答えると凛音はスマホの画面を俺に突きつける。

「……アンタが北島永久にしたことを全て私にしなさい。そしたらこの画像は拡散しないであげるわよ」
「…………そうか。そういう事だったんだな」

 俺はそう言うと、顔を上げて天井を見つめる。

 ……ごめん。永久。俺が馬鹿だった。

「さぁ、霧都。北島永久にしたことをしてもらうわよ?」
「…………わかった」

 凛音はそう言うと目を閉じる。

「好きよ霧都。愛を口にしながら私にキスをしなさい。そういう行為は北島永久にしたでしょう?」
「…………わかった」

 俺はそう答えた後、凛音の肩に手を乗せる。

「好きだ……凛音……」
「ふふふ。私も好きよ……霧都」




 そして、俺は、幼馴染の女と、二回目のキスをした。


 一度目のキスは血の味がした。

 二度目のキスは……絶望の味がした。




 最終話 ~永久と凛音の戦い・決戦の中間テスト~ 


 ~完~


 エピローグへ続く
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