学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第1章

聖女様side ① ~サイン会にはギリギリ間に合いました~

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 聖女様side  ①




 日曜日の朝。私は着慣れた制服に身を包み、好きなミステリー作家のサイン会へと向かっていました。

 方向音痴を自覚している私は、十二時から始まる予定のサイン会でしたがかなり早い時間の電車を利用していました。

 電車の椅子に腰を下ろし、お気に入りのミステリー小説を開きます。
 少しづつ物語の中に入っていくと、近くからヒソヒソと声が聞こえてきました。

 あの人すごくかっこよくない?
 ねー!!背も高いしすごく好みかも!!

 容姿に対する賞賛を自分が受けることは少なくないと自負していましたが、他人が賞賛を受けているシーンは珍しいです。私は少しの興味を持ちながら、隣に居た女性の視線の先を追います。

「桐崎.....くん?」

 そこに居たのは去年一年間同じクラスの同級生でした。
 確か、名前は桐崎悠斗。学級委員をやっていて、提出物を渡す際に何度か声をかけたくらいですね。
 ですが、今目の前に居る彼と、学校で見かける彼とでは全く装いが違っていました。
 少なくとも彼はメガネをつけていましたし、髪型も特にいじったりとかはしていませんでした。
 今、目の前にいる彼は、コンタクトレンズを使い、髪型にこだわり、服装もかなりオシャレです。

 そんな装いで一体どこに行くつもりなのでしょう?
 一瞬だけ疑問にも思いましたが、別に自分に関係のある話ではありません。
 そう結論づけると、私は彼から視線を外し、再びミステリー小説の世界へと意識を飛ばしていきました。



 それから少しして、私がハッと顔を上げると周りには人が居ませんでした……

 電車の窓から外を覗くと、知らない風景。

 慌ててスマホを見ると、時刻は十時を指していました。

 どうやら三十分近く乗り過ごしてしまったようです。

 ですが、こんなこともあろうかと家を早く出てきたのです。

 私はひとつため息を着くと、乗っている電車が止まった駅からの目的地への電車を探すことを決意しました。

 余裕は少し無くなってしまいましたが、サイン会へはまだまだ十分に間に合います。

 しかしこんな時、自分をしっかりとリードしてくれるような人が居れば。なんて事を思わない訳では無いですが、無いものをねだっても仕方がありません。

 方向音痴なだけでなく、少しどころかかなり抜けている自分に少しだけ嫌気がさします。

 私は程なくして止まった電車から降り、スマホに入れてある路線NAVIアプリを起動しました。
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