32 / 292
第1章
第五話 ① ~少しの早起きと雫の生きがい~
しおりを挟む
第五話 ①
『明日から部活の朝練が始まるんだけど、悠斗くんが平気なら朝に少し話がしたいな』
ゲームセンターで遊んだ後、夕飯とお風呂を終えて朱里さんとRAINをしている時、彼女はそう切り出してきた。
俺も彼女に話したいことがあったため、その提案を快諾。
いつもより二時間ほど早く身支度を済ませていた。
朱里さんの所属するバスケ部の朝練は七時から。
話をすることを考え、駅に六時集合と決めた。
朝五時。まだ寝ている親父を起こさないように気をつけながら洗面台の前で身支度を整えていると、雫が目を擦りながら近寄ってきた。
「おにぃ……おはよ。早いね」
「おはよう、雫。ごめんな、うるさくちゃったか」
「うぅん。大丈夫。いつもこの位には起きてるから」
女の子はやること多いんだよー
と雫が続けた。
「おにぃ、朝ごはんはどうする?」
「大丈夫。軽くシリアルを食べたから」
「おっけー」
俺は洗面台から少し離れる。
雫が冷水で顔をパシャパシャと洗う。
少し目が覚めたのか、しゃっきりとした目で雫が言う。
「朱里ちゃんが朝練で早いからおにぃもこの時間に出る感じ?」
「そうだね。まぁ、早起きは苦じゃないから。今日だけじゃなくて今後もこの時間かもしれない」
「そっかー……じゃあ私がいつも用意してた朝ごはんとお弁当は今後どうする?」
「雫に無理させたくないから、俺の分は当分無しでいいよ。ちょっと寂しいけど、昼は学食で食べるよ」
俺がそう言うと、雫は少し思案したあと、
「んー……いや。起きるよ」
と言う。
「え?」
「今日はいきなりだったからあれだけど、私にとっておにぃの食事を用意することが生きがいのひとつだから」
「そ、そうか」
「私の生きがいを奪わないでね」
雫はそう言うと、ニコリと笑う。
「ありがとう雫。じゃあそろそろ家出るよ」
俺はそう言うと、制服の上着とカバンを手にする。
玄関へと向かうと雫が着いてくる。
「じゃあ、いってきます」
「行ってらっしゃいおにぃ」
パジャマ姿の雫に別れを告げ、玄関の扉を開ける。
外に出ると少し曇り空だった。
少しだけ憂鬱な気分になりながら、愛車のポチへと歩いて行った。
『明日から部活の朝練が始まるんだけど、悠斗くんが平気なら朝に少し話がしたいな』
ゲームセンターで遊んだ後、夕飯とお風呂を終えて朱里さんとRAINをしている時、彼女はそう切り出してきた。
俺も彼女に話したいことがあったため、その提案を快諾。
いつもより二時間ほど早く身支度を済ませていた。
朱里さんの所属するバスケ部の朝練は七時から。
話をすることを考え、駅に六時集合と決めた。
朝五時。まだ寝ている親父を起こさないように気をつけながら洗面台の前で身支度を整えていると、雫が目を擦りながら近寄ってきた。
「おにぃ……おはよ。早いね」
「おはよう、雫。ごめんな、うるさくちゃったか」
「うぅん。大丈夫。いつもこの位には起きてるから」
女の子はやること多いんだよー
と雫が続けた。
「おにぃ、朝ごはんはどうする?」
「大丈夫。軽くシリアルを食べたから」
「おっけー」
俺は洗面台から少し離れる。
雫が冷水で顔をパシャパシャと洗う。
少し目が覚めたのか、しゃっきりとした目で雫が言う。
「朱里ちゃんが朝練で早いからおにぃもこの時間に出る感じ?」
「そうだね。まぁ、早起きは苦じゃないから。今日だけじゃなくて今後もこの時間かもしれない」
「そっかー……じゃあ私がいつも用意してた朝ごはんとお弁当は今後どうする?」
「雫に無理させたくないから、俺の分は当分無しでいいよ。ちょっと寂しいけど、昼は学食で食べるよ」
俺がそう言うと、雫は少し思案したあと、
「んー……いや。起きるよ」
と言う。
「え?」
「今日はいきなりだったからあれだけど、私にとっておにぃの食事を用意することが生きがいのひとつだから」
「そ、そうか」
「私の生きがいを奪わないでね」
雫はそう言うと、ニコリと笑う。
「ありがとう雫。じゃあそろそろ家出るよ」
俺はそう言うと、制服の上着とカバンを手にする。
玄関へと向かうと雫が着いてくる。
「じゃあ、いってきます」
「行ってらっしゃいおにぃ」
パジャマ姿の雫に別れを告げ、玄関の扉を開ける。
外に出ると少し曇り空だった。
少しだけ憂鬱な気分になりながら、愛車のポチへと歩いて行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる