学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第一話 ③ ~彼女を名前で呼びました~

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 第一話  ③



「ゆーこちゃーーーーん!!!!もーーーー!!!!むりーーーー!!!!!!」

 俺と一緒に教室に入った朱里は、既に教室に居た佐藤さんに抱きついた。

 羨ましい。変わって欲しい。

「うんうん。朱里。いーんちょーのバカに付き合ってあげるのはほんと偉いよ」

 と佐藤さんが彼女の頭を撫でている。

 羨ましすぎる。俺がなでなでしたい。

「もおーーお嫁に行けない!!」
「大丈夫だよ、朱里。俺が貰うから」
「ゆ、悠斗のばかぁ!!すごくはずかしかったんだよ!!」
「あはは!!俺はすごく楽しかった!!」
「た、叩く!!あと一万発は叩いてやるぅ!!」
「ま、まぁ朱里……落ち着いて」

 右手を振りかぶる朱里を、佐藤さんが抑えてる。

「なぁ悠斗。随分と楽しそうだな」

 と、健が話しかけてくる。

「まぁな。どうだ?俺の可愛い彼女を見てくれ」
「ははは。こうしてお前の惚気を『教室で』聞くのは初めてだな」

 笑う健に、俺はカバンからこないだのデートで買ったお土産を取り出した。

「この間の日曜日に朱里と『デートで買った』お土産だ。受け取ってくれないか?」

『イルカのおっぱい』

「イルカのおっぱいじゃねぇか!!」

 教室の男子が爆笑する。
 教室の女子が冷たい視線を送る。

「お前、こういうの好きだろ?」

 と、笑う俺。

「お前も大好きだろ?おっぱい」
「馬鹿野郎!!男ならみんなおっぱい大好きだよ!!」

 なぁ、石崎?

 とクラスメイトに話を振る。

「大きいも小さいのも、男ならみんなおっぱい大好きだな!!」

 いえーい!!

 って言って三人で手を叩く。

 そんな様子を冷めた目で見てる女子が一人。

「やはり、悠斗くんはえっちですね」

『詩織』さんだった。

「あ、『詩織』さんにもお土産があるんだよね」

 ざわり……

 教室が一瞬ざわつき、静かになる。

「はい。詩織さん。これを受け取ってくれないかな?」

 そう言って俺は彼女にイルカのボールペンのお土産を渡す。

「き、桐崎……今、黒瀬さんを」

 名前で呼んでなかったか?

 俺はそれを受けてニヤリと笑う。

「みんなも知ってると思うけど、俺は朱里の朝練に付き添って登校して、彼女が練習してる時に詩織さんと毎朝読書をして時間を共にしていたんだ」

 と、俺は話し始める。

「彼女も言っていたように、それは俺にとっても大切な時間でね。少なくともただのクラスメイトと過ごす時間とは訳が違っていたんだ」

 俺は頬をかく。

「昨日なんだけど、詩織さんから私も名前で呼んで欲しいって言われてたんだ。俺にとって詩織さんは『とても大切な友達』だから、付き合ってる朱里に許可を貰いに行ったんだ」

 俺は頬の紅葉を指さす。

「それがこれだよ」

 クラスメイトが爆笑する。

「でも、桐崎くんが黒瀬さんを名前で呼んでるってことは
 ……?」

 その声に、朱里が反応する。

「あと一万発悠斗を叩くことで手を打ったんだよね。あとは……」
 あ、あれ?千発では……

 朱里は詩織さんの前に立って手を出した。

「私が朝練で居ない時は、教室で悠斗と一緒に本を読んでてもいいよ。『詩織ちゃん』」

 ざわり……

「悠斗の大切な友達は、彼女の私にとっても大切な友達だよ。黒瀬さんじゃ他人行儀過ぎるから、私も名前で呼ぶよ」

 そう言った朱里の手を、詩織さんはニヤリと笑って握る。

「それはとても嬉しいです『朱里さん』」

 ざわり……

 手を取り合う美少女二人。

 異様な雰囲気が教室に満ちていた。

 そして、詩織さんが朱里に何かを耳打ちしていた。

 その言葉に、朱里はニヤリと笑った。

 俺の知らないところでまた何かがあったのだろうか。

 なんて思ってると、

 ガラリ!!

 教室の扉が開く。

「桐崎ーーー!!!!!」

 めっちゃブチ切れしてる山野先生だった。

「お前はよくもやってくれたな!!!!お前のせいで職員室は大騒ぎだ!!!!校則違反と法律違反で反省文だ!!!!!!」

 あ、反省文で済むのか。
 山野先生が相当頑張ってくれたのだろう。
 ぶっちゃけ停学。下手したら一発退学も有り得るかと思ったけど。

「昼休みに進路指導室に来い!!!!!!」
「はーい」

 と俺は返事をする。

 そして、始まりを告げるチャイムが鳴った。

 それを合図にみんなが席に戻っていく。


『上手くやりましたね?悠斗くん』


 と、詩織さんが耳打ちしてきた。

 そして、

『私はまだ、貴方を諦めてませんから』

 と言って、妖艶な笑みを浮かべた。

 大丈夫。

 彼女が何をしてきても、俺たちは絶対に離れたりなんかしない。

 俺はそう心に誓った。


「おい!!桐崎!!号令だ!!」
「はーい」

 昨日よりも軽くなった気持ちで、俺は号令を掛けた。
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