学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第五話 ⑫ ~激戦の予算会議~ 昼 朱里視点 前編

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 第五話  ⑫


 朱里視点



「それでは、皆さん。私は購買でカルビ弁当を買う予定ですので、ここで失礼します」


 そう言って教室の外で待つ彩ちゃんのところに歩いていった詩織ちゃんを私たちは見送った。

「か、カルビ弁当…………」

「黒瀬さんって本当にお肉好きだよね…………」

「野郎みたいな味覚してるよな」

 私たちは、詩織ちゃんが残した捨て台詞に少しだけ驚いたけど、すぐに食堂に向けて歩き始めた。




「ねーねー。朱里はいーんちょーから何をお願いされてるの?」

 食堂へと歩いてる最中に、ゆーこちゃんが私に聞いてくる。

「悠斗からはね、『生徒会にとってかなり不利な発言をしていく予定だから、それに対しての生徒側のリアクションが知りたい』『そもそも、お昼の放送を聞いてくれてるかってのが重要だけど』って言われてる」

「まぁ、確かに。みんな飯食うのに夢中になって、聞いてない。とかのオチもありそうだしな」

「でも、そこら辺は生徒会長の知名度もあるし。それに、我らがいーんちょーも知名度なら負けてないっしょ」

 ゆーこちゃんが笑いながらそんなことを言う。

 た、確かに悠斗は知名度あるよね……

 いや、あの動画とか私もかなり巻き込まれて……

「と、とりあえず。まずはみんながきちんと放送を聞いてくれてるかを調べて行かないとね!!」



 そんな会話をしていると、食堂へとたどり着く。



 私たちがいつも使ってる丸テーブルは、やはり空いていた。

 あはは。今日はいつもより二人も少ないから、ちょっと広いかなぁ……

 なんて思いながら、私たちは食券を買って、ご飯を頼む。

 そうしていると、食堂のスピーカーから声が聞こえてきた。




『皆さんこんにちは。お昼の放送の時間です。本日は漫画部によるアニソンメドレーの予定でしたが、急遽変更になりました』

『その内容は、本日開催予定の学園予算会議についての説明を生徒会のお二人にお話いただけることになりました』

『生徒会長の蒼井空さんと副会長の桐崎悠斗さんに起こしいただいています。それではお二方、よろしくお願いします』



 まずは放送部の部長の話だった。

 彼の話の最初は、みんな無関心だったけど、生徒会の蒼井さんと悠斗が来ていて、これから話す。ってなったら、みんな興味を持ったみたいだ。


『アニソンメドレーとかより、あの二人の対談の方が面白そうじゃね?』
『桐崎ってあれだろ?通学路でチューした』
『いつの間に生徒会の副会長になってたんだ?』
『会長は可愛いよねー。そう言えば今日の桐崎くんってなんかいつもよりカッコよかったよね』
『メガネも良いけど、コンタクトも似合うよね』


 なんて会話が聞こえてくる。

 ……なるほど。まだ何も話してないけど、かなり興味は持たれてるみたい。

 私は頼んでいた日替わり定食を受け取り、テーブルへと戻る。

「おかえり朱里。どう、みんな興味持ってる感じ?」
「うん。掴みとしては悪くないんじゃないかな?」
「俺も軽く周りを歩いてみたけど、興味は持たれてるな」

 私はそう言うと、アジフライにソースをかける。

「はぁーあ。悠斗のあの格好はあまり知られたくなかったなぁ……」
「あはは。いーんちょー、かなり気合い入ってたよね。あれってデートの時だけだったんでしょ?」
「うん。……まぁ仕方ないよね。みんなに見られるなら、かっこいい悠斗がいいし」
「まぁでもよ。悠斗がかっこいいのは見た目じゃなくて中身だからな」

 なんてことを言う武藤くん。
 いいこと言った!!

「俺が女なら惚れてたぜ」
「武藤くんが女の子だったらライバルだったね!!」

 なんてことを話していると、

『皆さんこんにちは!!生徒会会長の蒼井空です』
『皆さんこんにちは!!生徒会副会長の桐崎悠斗です』

 スピーカーから二人の声が聞こえてくる。

「あ、始まったみたいだよ」
「とりあえずみんなご飯食べてるけど、普通だよね」
「俺達も食いながら聴こうぜ」

 私とゆーこちゃんはそれに頷くと、食事を再開する。

『全校生徒の皆さんにはアニソンメドレーの時間を拝借して、今日行われる予算会議について説明をさせてもらいたいと思っています』

『蒼井生徒会長。その前に少し自分について話をさせてもらってもいいですか?』

『なるほど。桐崎くんが生徒会の副会長になって日も浅い。君がその役職についたことを知らない生徒も少なくないはずだね』

 うん。確かに、さっき周りの声を聞いてた時に、そんな声があったよね。
 最初に副会長になった経緯の説明をするのは良いと思う。

 私はアジフライをかじりながらそう思った。

 そして、悠斗は蒼井さんに促され、自己紹介を始めた。

『ありがとうございます。改めましてこんにちは。二年一組の桐崎悠斗と申します。まずは自己紹介をさせていただきます。
 一応、個人的に胸を張れる事として、昨年一年間は、学業において学年の次席の成績を残してきました。
 自分は部活動には入っていないので、自由な時間は豊富にあります。それを活かして、昨年は学級委員を務めて来ました。それは今年においても同様です。責任ある仕事に関しては、しっかりと行えるという自負があります。
 また、私事ではありますが、同じクラスの藤崎朱里さんとは、真剣な交際をさせていただいています。』

 ……ぶふぅ!!!!

 ゆ、悠斗!!!!何カミングアウトしてんの!!??

 口の中に何も無くて良かった……

 前を見ると、ゆーこちゃんが笑ってる。

 ゆ、ゆーこちゃん!!??

「なぁ、藤崎さん。かなり視線を集めてるぞ?」
「……え?」

 武藤くんの言葉で、私は周りを見る。


『あの人が藤崎さんで桐崎くんの彼女よね?』
『わーやっぱり可愛いよね!!』
『……やっぱり藤崎さんクラスと付き合うには、桐崎レベルじゃないとダメか』

 なんて会話が聞こえてくる。

 は、恥ずかしい……っ!!

 ゆ、悠斗のバカぁ……っ!!

 これじゃあ、周りの状況を調べるどころじゃないよ!!

 そんなことを思っていても、悠斗の自己紹介は進んでいき。


『歴史ある学園の生徒会副会長の名前に恥じないよう、全力を持って職務を全うします!!どうぞよろしくお願いします!!』


 真面目な口調で自己紹介を終えた悠斗。

 私はスマホを取りだし、『悠斗のバカ!!』と送っておいた。

「あはは。いーんちょーに連絡してるの偉いね」
「うぅ……私がこういう視線が苦手だって知ってるはずなのにぃ……」

 なんて話してると、二人の対談が続いていく。



『さて、桐崎くん。こうして放送部に無理を通して昼の枠を貰ったのも君の発案だったね?』

『はい。そうです。自分含め、この学園の生徒には、今日行われる『予算会議』についての興味が薄い。そう考えました』

『今年よりこの予算会議は、リアルタイムのオンライン配信をする。これも君の発案だね』

 へー、オンラインで配信するんだ!!
 面白そうだから見てみようぜ!!

 なんて声が聞こえてきた。

 なかなか好評みたい。

 そして、悠斗は続ける。

『はい。皆さんは知っているかわかりませんが、我々全生徒は毎月500円を学園に収めています。年間6000円の計算です。かける全生徒分になりますので、約800万円です。
 この金額の運用が予算会議で決まります。これは部活の予算も含まれます。簡単に言えば、帰宅部の自分が納めたお金も、各部活の予算になるわけです。このお金がきちんと運用されているのか?それは全生徒がしっかりと知るべきだと考えました』

 俺、帰宅部だけど、なんか損してる気分だなぁ
 あの500円ってそんな使い道だったんだな
 桐崎くん、いいこと言うね!!

 うん。この部分の掴みも良いみたい。

 そして、話は続いていく。


『これまでの予算会議は、あくまで部活に入っている生徒にしか関心が無かったからね。こうして部活に入っていない生徒にも、自分が納めたお金の運用に対しての関心を高めたい。それが目的かい?』

『はい。あとは蒼井生徒会長。生徒会の実情についても、この際きちんと話すべきだと考えました』

 ……ついに来た。本題だ。

『…………本当に話すのかい?』

 少しだけ、蒼井さんの声も固くなる。

『はい。これを話さないと始まりません』

『ふぅ……わかったよ』

 実情……?
 実は酒池肉林のハーレムだったとか言わないよな!!??

 あはは……みんなもう話に夢中だ。

 そして、そんな皆に悠斗は告げた。

『まず最初に、自分が生徒会に入会した時に、蒼井生徒会長からされた話は『予算が足りない』と言う話でした』


 遂に言った。その言葉。


 私は、食堂の空気が凍りついたのを感じとった。



 私はスマホを握りしめ、ここから先の食堂の様子を直ぐに悠斗に送れるように準備をした。
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