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第2章
第五話 ⑮ ~激戦の予算会議~ 昼 蒼井視点 後編
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第五話 ⑮
蒼井視点
「それではこの辺で失礼します!!ご清聴ありがとうございました!!」
「この放送は生徒会長蒼井空と」
「生徒会副会長桐崎悠斗がお送りしました!!」
「「放課後の予算会議をよろしくお願いします!!それでは、さよなら!!」」
僕と桐崎くんはラストを声を揃えて言い切る。
そして、ボリュームを下げてオフにした。
「はぁ……疲れました」
目の前の桐崎くんが、ため息を吐いて肩を落とした。
「ふふ。お疲れ様、桐崎くん。放送中にスマホをよく見てたけど、何かあったのかな?」
僕がそう聞くと、桐崎くんはスマホの画面を見せてくれた。そして、彼がやっていたことに僕は驚きを隠せなかった。
「俺の彼女にお願いして、食堂の様子をメッセージアプリで教えて貰ってました。運動部のフォローとかはそれを知った上での発言です。ここにいると外の反応がわからないですからね」
「き、君は本当にすごいね……」
僕はここにいると、外の様子がわからなくて不安だな。と思っていたが、彼はそれに対しての手立てを既に打っていたようだ。
声を震わせる僕に、桐崎くんは大したことでもないように話す。
「いえ、この位はしないとダメだと考えていたので、普通ですよ。むしろ会長が話す。となっただけで『聞く空気』が出来ていたので、やはり蒼井さんはすごいなと思いました」
「あはは、それは僕だけの力では無いと思うけど……」
やはり彼はなんだかんだ言って、他人を立てるのが上手いよな。そう思えた。
「それと、この後はもう放課後の予算会議までお会い出来ないんで、軽く打ち合わせをしたいんですよね。ちょうど自分たちしかいませんし。時間は大丈夫ですか?」
僕は時計を見る。
まだ昼休みの時間は十五分ほどある。
うん。十分くらいなら平気かな?
「うん。十分くらいなら平気かな」
「ありがとうございます」
桐崎くんは私に頭を下げると、話し始める。
「まずは相互確認なんですけど、この放送は一応成功した。と考えています。ですが、俺はこの放送で、自分が持つイメージを払拭出来た。とは考えていません」
「なるほど……僕としてはかなり払拭できたのでは?と思っているけど」
僕の言葉に、彼は首を横に振る。
「いえ、この放送の効果はせいぜい『全校生徒の多数が予算会議を見てくれる環境が整った』そのレベルです。ですので、予算会議では相変わらず厳しい戦いが予想されます」
「そうか。やはり難しいところだね」
「ですが、生徒会が抱える問題について、全校生徒が知る。ということは出来ました。これは非常に大きいと思います。個人的にはこの、会議に参加してない生徒を味方に引き込むことが重要だと思ってます」
そこで、
と彼は話を続ける。
「予算会議では、目の前に居る部長もそうですが、我々の後ろにいる会議に参加してない生徒たち。に向けても話すようにして行きましょう」
「つまり、目の前の部長が理解すればいいと言うよりは、後ろに居る生徒たちを味方に引き込むような発言の仕方を意識していくことが大事。そういう事だね?」
僕の言葉に、桐崎くんはニヤリと笑う。
「そうです。我々の後ろにたくさんの生徒がいる。それが分かれば、迂闊な発言は出来ないと思っています」
「なるほど。君は、オンライン配信をすることで、部長たちの発言を縛ることも考えていたわけだね?」
「そうです。あまり好き勝手な事を言われても困りますので。予算が足りない。って生徒の多数が知ってるのに、予算増やせー予算増やせーなんて言ったら大ブーイングだってのは、ちょっと考えればわかると思いますので」
「はぁ……つくづく僕は君を味方に引き込むことが出来て良かったと思ってるよ」
僕はそう言うと、時計を見る。
休みはあと五分程。教室にはきちんと戻れそうだ。
「さて、それじゃあ桐崎くん。そろそろ戻ろうか」
「はい。了解です」
僕らはその言葉で放送室から出る。
預かっていた放送室の鍵をきちんと閉める。
これは後で牧野くんに返さないとな。
「それじゃあ蒼井さん。放課後はよろしくお願いします」
「うん。期待しててくれ。きちんと皆が納得できるように話をするよ」
「はい!!信じてます!!」
桐崎くんはそう言うと、自分の教室に向かって歩いて行った。
その後ろ姿を見て、僕は思った。
「彼は政治家にでもなった方が良いな」
蒼井視点
「それではこの辺で失礼します!!ご清聴ありがとうございました!!」
「この放送は生徒会長蒼井空と」
「生徒会副会長桐崎悠斗がお送りしました!!」
「「放課後の予算会議をよろしくお願いします!!それでは、さよなら!!」」
僕と桐崎くんはラストを声を揃えて言い切る。
そして、ボリュームを下げてオフにした。
「はぁ……疲れました」
目の前の桐崎くんが、ため息を吐いて肩を落とした。
「ふふ。お疲れ様、桐崎くん。放送中にスマホをよく見てたけど、何かあったのかな?」
僕がそう聞くと、桐崎くんはスマホの画面を見せてくれた。そして、彼がやっていたことに僕は驚きを隠せなかった。
「俺の彼女にお願いして、食堂の様子をメッセージアプリで教えて貰ってました。運動部のフォローとかはそれを知った上での発言です。ここにいると外の反応がわからないですからね」
「き、君は本当にすごいね……」
僕はここにいると、外の様子がわからなくて不安だな。と思っていたが、彼はそれに対しての手立てを既に打っていたようだ。
声を震わせる僕に、桐崎くんは大したことでもないように話す。
「いえ、この位はしないとダメだと考えていたので、普通ですよ。むしろ会長が話す。となっただけで『聞く空気』が出来ていたので、やはり蒼井さんはすごいなと思いました」
「あはは、それは僕だけの力では無いと思うけど……」
やはり彼はなんだかんだ言って、他人を立てるのが上手いよな。そう思えた。
「それと、この後はもう放課後の予算会議までお会い出来ないんで、軽く打ち合わせをしたいんですよね。ちょうど自分たちしかいませんし。時間は大丈夫ですか?」
僕は時計を見る。
まだ昼休みの時間は十五分ほどある。
うん。十分くらいなら平気かな?
「うん。十分くらいなら平気かな」
「ありがとうございます」
桐崎くんは私に頭を下げると、話し始める。
「まずは相互確認なんですけど、この放送は一応成功した。と考えています。ですが、俺はこの放送で、自分が持つイメージを払拭出来た。とは考えていません」
「なるほど……僕としてはかなり払拭できたのでは?と思っているけど」
僕の言葉に、彼は首を横に振る。
「いえ、この放送の効果はせいぜい『全校生徒の多数が予算会議を見てくれる環境が整った』そのレベルです。ですので、予算会議では相変わらず厳しい戦いが予想されます」
「そうか。やはり難しいところだね」
「ですが、生徒会が抱える問題について、全校生徒が知る。ということは出来ました。これは非常に大きいと思います。個人的にはこの、会議に参加してない生徒を味方に引き込むことが重要だと思ってます」
そこで、
と彼は話を続ける。
「予算会議では、目の前に居る部長もそうですが、我々の後ろにいる会議に参加してない生徒たち。に向けても話すようにして行きましょう」
「つまり、目の前の部長が理解すればいいと言うよりは、後ろに居る生徒たちを味方に引き込むような発言の仕方を意識していくことが大事。そういう事だね?」
僕の言葉に、桐崎くんはニヤリと笑う。
「そうです。我々の後ろにたくさんの生徒がいる。それが分かれば、迂闊な発言は出来ないと思っています」
「なるほど。君は、オンライン配信をすることで、部長たちの発言を縛ることも考えていたわけだね?」
「そうです。あまり好き勝手な事を言われても困りますので。予算が足りない。って生徒の多数が知ってるのに、予算増やせー予算増やせーなんて言ったら大ブーイングだってのは、ちょっと考えればわかると思いますので」
「はぁ……つくづく僕は君を味方に引き込むことが出来て良かったと思ってるよ」
僕はそう言うと、時計を見る。
休みはあと五分程。教室にはきちんと戻れそうだ。
「さて、それじゃあ桐崎くん。そろそろ戻ろうか」
「はい。了解です」
僕らはその言葉で放送室から出る。
預かっていた放送室の鍵をきちんと閉める。
これは後で牧野くんに返さないとな。
「それじゃあ蒼井さん。放課後はよろしくお願いします」
「うん。期待しててくれ。きちんと皆が納得できるように話をするよ」
「はい!!信じてます!!」
桐崎くんはそう言うと、自分の教室に向かって歩いて行った。
その後ろ姿を見て、僕は思った。
「彼は政治家にでもなった方が良いな」
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