学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

番外編 ⑤ ~星くんの恋愛相談~

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 番外編  ⑤





「『学園の王子様が深緑の令嬢を悪漢の手から救い出す』そういうストーリーを作ろう」


 俺がそう言うと、皆が首を傾げる中、詩織さんだけがわかったような感じで発言の補足をしてくれた。

「星くんが持っている『学園の王子様』と言うイメージと、首藤さんが持っている『深緑の令嬢』と言うイメージを利用して、星くんが首藤さんを助けることをドラマや映画のワンシーンのように見立てる。そういう事ですか?」

 詩織さんの言葉に俺は首を縦に振る。

「そういうこと。星くんはあまり好ましく思ってないだろうけど、君には『学園の王子様』と言うイメージがある」
「……うん。そうだね」

 俺がそう言うと、彼はそれを認めるように首を縦に振った。

「簡単に言えば、君が持つそのイメージを壊さなければ、支援者は減らない。推しのアイドルがドラマや映画で『恋人役』を演じても、大体のファンは非難をしないだろ?中にはそういう人も居るだろうけど、まぁそこは無視しよう」

「つまり、桐崎くんは俺に『学園の王子様』を演じてくれ。そう言うんだね」

「そういうこと。そして、この案には三つの利点がある」
「……三つの利点?」

 首を傾げる星くんに、俺はニヤリと笑う。

「まず一つ目が、君のイメージを壊さずに首藤さんを助けることが出来る」
「うん。そうだね」

「そして二つ目が、君は大好きな首藤さんの『恋人役』を演じることが出来る」
「……なるほど。それは役得だ」

「そして三つ目。首藤さんが今は君に惚れていなかったとしても、こうした場面から助けてくれる『王子様』に惚れないはずはない。告白の成功率が上がるね」
「……そうか。告白したら必ず成功するなんて、思い上がっていたよ」

 星くんはそう言うと、俺の目を見て言った。

「やっぱり桐崎くんに相談して正解だったね。まさかこんな案をすぐに出してくれるとは思わなかったよ」

「いや、案を出しただけじゃなんの意味も無いよ。大切なのはこれをしっかりと実行して、『君が首藤さんを他校生から救い出す』そうしなければ意味が無い」

「うん。そうだね」

 星くんは力強く頷くと、ポケットからスマホを取り出す。

「連絡先の交換をしてくれないか?もし桐崎くんからなにかして欲しいとかあったらすぐに対応できるように」
「OK。じゃあ交換しようか」

 俺はそう言うと、スマホを取り出して赤外線で連絡先の交換をした。

「ありがとう。じゃあ俺は教室に戻るよ。今後の対応はメッセージでよろしく頼むよ」

 彼はそう言うと、空の食器を持って去って行った。




「さて、俺は放課後に新聞部に行って、怜音先輩にお願いをしないとだな……」

 俺が少しだけ陰鬱な感じで呟くと、朱里が聞いてきた。

「随分と精力的に動いてるけど、なにか理由とかあるの?」

 彼女のその問いに、俺は苦笑いを浮かべる。

「あはは。間接的にでも、彼の恋路を邪魔してしまったのは、俺の案だったからね。少しでも罪滅ぼしをしたいんだよね」

 支援金の件が無ければ、彼は普通に首藤さんに告白してたと思う。それを出来なくしてしまったのは、俺の責任だと言っても過言ではない。


「そっか。ねぇ、悠斗。私にも何か出来そうなことある?」

 そう言うと朱里に、俺は一つだけお願いしたいことがあった。

「うん。実はちょっとお願いしたいことがあったんだよね」

 俺は水をひと口飲んでから話す。

「首藤さんにこの話を通しておいてもらいたいんだよね。今回の件は二人できちんと打ち合わせをした上でやらないとボロが出ちゃうだろうから」

「うん。そうだよね!!」
「じゃあ私も朱里に付き合うよ。一人より二人の方がいいと思うからね」

 そう言って佐藤さんも話をする仲間に加わった。

「あとは、それとなく星くんに脈があるかも探っておいて貰えないかな?」

 まぁ、そこに関しては心配してないけど、一応。

「あはは。確かに」
「学園の王子様が振られるシーンも見てみたいけど、それは可哀想だよね」

 なかなか酷いこと言うな、佐藤さん……

「悠斗くん。私はなにかすることはありますか?」

 と、詩織さんが俺に聞いてきた。

「その、詩織さんにはちょっと難しいことをお願いしたいなと思ってるんだ」
「……難しいこと、ですか?」

 首を傾げる詩織さんに俺は言う。

「創作活動をしてるって話してたよね?その経験を活かして『脚本』を作って欲しいんだ」
「なるほど。お二人がこういう行動をする。という指針が無いと難しいですからね。わかりました、やってみます」

 と、詩織さんは快諾してくれた。

「なあ悠斗!!俺は何したらいいんだ!?」

 健が聞いてきたので俺は言った。

「健。お前には本当に大変なことをお願いしたいんだ」

 俺は真剣な表情で健の肩に手を置き、目を合わせる。

「ま、マジか。わかった!!悠斗の頼みなら何でもやるぜ!!」

 健はそう言うと、俺と同じように真剣な表情で首を縦に振った。

「真面目に授業を受けてくれ」
「…………え?」

 キョトンとする健に俺は言う。

「俺はこの案件も含めて、もう手がいっぱいになって、お前に勉強を教えてやる時間が無い。それに、そろそろ中間テストも近いからな。真面目に授業を受けて、テストに備えてくれ!!」

「そりゃねぇよ!!悠斗!!」






 健の悲痛な叫びが食堂に木霊した。

 いや、本気でお願いしたいんだよ。
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