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第2章
第十話 ~狂乱の体育祭~ ①
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第十話 ①
早朝。俺は洗面台の前で身だしなみを整えていた。
今日は体育祭。練習はしっかりと行ってきた。
団体競技はもちろん、リレーではバトンパスも含めて仕上げて来たと言える。
一年生の時は学年優勝を飾ったので、今年も優勝したいと思っている。
ちなみに、空さんとのデートの時と同じように、今日はメガネでは無くコンタクトレンズだ。
メガネだと破損してしまう可能性があるからな。
そんなことを考えていると、
「今日は体育祭なんだよね、おにぃ」
雫が後ろからやって来る。
「そうだね。実行委員だからみんなより早くに行ってやることがあるんだよね。それに生徒会としてもやることがあるから、ちょっとタイトなスケジュールだね」
実行委員の仕事として、昨日のうちにテントを立てたり白線を引いたりとかは済ませてきた。
今日はその最終確認がある。
そして、生徒会としては空さんがする挨拶の原稿の最終確認や、使用するマイクチェックなどがある。
やることが多いな。
「まぁ、あんまり張り切りすぎて怪我しないようにね?」
「あはは。そうだね、気を付けるよ」
俺がそう言うと、雫がため息をつく。
「おにぃが怪我なんかしたら『誰が保健室に連れて行くか』で戦争になるからね?」
「わ、わかったよ……」
なんとなく、それを煽りそうなのは怜音先輩な気もするけど……
「はい、おにぃ。お弁当だよ。今日は食べやすいようにおにぎりとか唐揚げとかにしてあるから」
「ありがとう、雫。嬉しいよ」
俺はそう言って雫からお弁当を受け取ると、カバンの中に入れる。
「さて、そろそろ行こうかな」
「うん。わかった」
俺はカバンを手にして、玄関へと向かう。
その後をいつもの様に雫が着いて来てくれる。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、おにぃ!!」
雫にいつもの様に挨拶をしてから扉を開ける。
「うん。いい天気だ」
外は快晴。絶好の運動日和と言えた。
俺はそのまま愛車のポチに乗って学校へと向かった。
『学校』
原付と電車。そして自転車を使って学校へと到着する。
時刻は七時半。一般の生徒はまだ誰も来ていない。
八時から実行委員としての仕事があり、生徒会としての仕事をするためにこの時間に来ている。
なので、朱里とは登校する時間がズレている。
その事を話した時には、
『詩織ちゃんに悠斗を三十分だけ渡してあげることにするよ』
と嗤っていた。
駐輪場へと自転車で向かうと、
「おはようございます、悠斗くん」
「おはよう、詩織さん」
既に詩織さんが到着していた。
自転車の数を見ると、まだ誰も来ていないので、彼女が一番乗りだった。
「早いね、詩織さん」
俺がそう言いながら彼女に近づくと、
「朱里さんからいただいた『三十分』は大切にしたいですからね?」
そう言って俺の目の前に来る。
「してください」
「うん。いいよ」
目を閉じる詩織さんに、朝のキスをする。
唇を重ねて舌を入れる。
誰も居ない早朝の駐輪場に官能的な音が響く。
そして、どちらともなく唇を離すと、唾液が糸を引いた。
「今日は覚悟をしていてくださいね?」
「あはは。なんか怖いことを言われてるよ」
ニヤリと嗤って詩織さんは俺にそう言う。
「悠斗くんはわかってるとは思いますが、借り物競争ではあなたを指名します。そして、その後の行為に関しても朱里さんからの許可は得ています」
「へぇ……そうなんだ」
「打算や策略であなたを罠に嵌める。なんてことはもうしません。ですので正面からあなたに対してアプローチをかけていきますからね?」
「うん。そうしてくれると嬉しいかな」
その言葉に、詩織さんはフワリと笑う。
「あなたの『身体』だけでは満足していません。『心』も私のモノにしてみせますから」
彼女はそう言うと、くるりと踵を返した。
「では、行きましょう。悠斗くん」
「うん。行こうか、詩織さん」
そう言う彼女の隣に俺は行く。
そして、俺は彼女の手を恋人繋ぎでそっと握る。
すると、さっきは淫らなキスをしたと言うのに、詩織さんの頬が赤く染まる。
キスは恥ずかしくないのに、手を繋ぐのは照れるようだ。
「手を繋いで歩こうか」
「……は、はい」
笑顔で言う俺に、詩織さんは俯きながら返事をした。
「キスは照れないのに、手を繋ぐのは照れるんだ」
「こ、これはちょっと慣れてなくて……」
なんて言う詩織さん。
うん。可愛いね。
「来週の日曜日は空いてますか?」
「うん。空いてるよ」
その日は朱里の部活がある日だ。
俺のその言葉に、詩織さんが嬉しそうに笑う。
「じゃあその日はデートをしてください」
「うん。いいよ」
了承を彼女に示すと、詩織さんは俺の腕を抱きしめた。
「その日は少しだけ、私にあなたの『心』をくれませんか?」
…………
ふむ。まぁ……少しだけなら良いかな?
俺は返事の代わりとして詩織さんの柔らかい身体を抱き寄せる。
そして、彼女の耳元でそっと囁いた。
「いいよ。覚悟しててね」
「……っ!!」
顔を真っ赤にした詩織さんを、腕の中から解放してあげる。
「た、楽しみにしてます……悠斗くん」
「うん。期待しててね、詩織さん」
そんなやり取りをしながら、俺たちは生徒会室へと向かって歩いた。
早朝。俺は洗面台の前で身だしなみを整えていた。
今日は体育祭。練習はしっかりと行ってきた。
団体競技はもちろん、リレーではバトンパスも含めて仕上げて来たと言える。
一年生の時は学年優勝を飾ったので、今年も優勝したいと思っている。
ちなみに、空さんとのデートの時と同じように、今日はメガネでは無くコンタクトレンズだ。
メガネだと破損してしまう可能性があるからな。
そんなことを考えていると、
「今日は体育祭なんだよね、おにぃ」
雫が後ろからやって来る。
「そうだね。実行委員だからみんなより早くに行ってやることがあるんだよね。それに生徒会としてもやることがあるから、ちょっとタイトなスケジュールだね」
実行委員の仕事として、昨日のうちにテントを立てたり白線を引いたりとかは済ませてきた。
今日はその最終確認がある。
そして、生徒会としては空さんがする挨拶の原稿の最終確認や、使用するマイクチェックなどがある。
やることが多いな。
「まぁ、あんまり張り切りすぎて怪我しないようにね?」
「あはは。そうだね、気を付けるよ」
俺がそう言うと、雫がため息をつく。
「おにぃが怪我なんかしたら『誰が保健室に連れて行くか』で戦争になるからね?」
「わ、わかったよ……」
なんとなく、それを煽りそうなのは怜音先輩な気もするけど……
「はい、おにぃ。お弁当だよ。今日は食べやすいようにおにぎりとか唐揚げとかにしてあるから」
「ありがとう、雫。嬉しいよ」
俺はそう言って雫からお弁当を受け取ると、カバンの中に入れる。
「さて、そろそろ行こうかな」
「うん。わかった」
俺はカバンを手にして、玄関へと向かう。
その後をいつもの様に雫が着いて来てくれる。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい、おにぃ!!」
雫にいつもの様に挨拶をしてから扉を開ける。
「うん。いい天気だ」
外は快晴。絶好の運動日和と言えた。
俺はそのまま愛車のポチに乗って学校へと向かった。
『学校』
原付と電車。そして自転車を使って学校へと到着する。
時刻は七時半。一般の生徒はまだ誰も来ていない。
八時から実行委員としての仕事があり、生徒会としての仕事をするためにこの時間に来ている。
なので、朱里とは登校する時間がズレている。
その事を話した時には、
『詩織ちゃんに悠斗を三十分だけ渡してあげることにするよ』
と嗤っていた。
駐輪場へと自転車で向かうと、
「おはようございます、悠斗くん」
「おはよう、詩織さん」
既に詩織さんが到着していた。
自転車の数を見ると、まだ誰も来ていないので、彼女が一番乗りだった。
「早いね、詩織さん」
俺がそう言いながら彼女に近づくと、
「朱里さんからいただいた『三十分』は大切にしたいですからね?」
そう言って俺の目の前に来る。
「してください」
「うん。いいよ」
目を閉じる詩織さんに、朝のキスをする。
唇を重ねて舌を入れる。
誰も居ない早朝の駐輪場に官能的な音が響く。
そして、どちらともなく唇を離すと、唾液が糸を引いた。
「今日は覚悟をしていてくださいね?」
「あはは。なんか怖いことを言われてるよ」
ニヤリと嗤って詩織さんは俺にそう言う。
「悠斗くんはわかってるとは思いますが、借り物競争ではあなたを指名します。そして、その後の行為に関しても朱里さんからの許可は得ています」
「へぇ……そうなんだ」
「打算や策略であなたを罠に嵌める。なんてことはもうしません。ですので正面からあなたに対してアプローチをかけていきますからね?」
「うん。そうしてくれると嬉しいかな」
その言葉に、詩織さんはフワリと笑う。
「あなたの『身体』だけでは満足していません。『心』も私のモノにしてみせますから」
彼女はそう言うと、くるりと踵を返した。
「では、行きましょう。悠斗くん」
「うん。行こうか、詩織さん」
そう言う彼女の隣に俺は行く。
そして、俺は彼女の手を恋人繋ぎでそっと握る。
すると、さっきは淫らなキスをしたと言うのに、詩織さんの頬が赤く染まる。
キスは恥ずかしくないのに、手を繋ぐのは照れるようだ。
「手を繋いで歩こうか」
「……は、はい」
笑顔で言う俺に、詩織さんは俯きながら返事をした。
「キスは照れないのに、手を繋ぐのは照れるんだ」
「こ、これはちょっと慣れてなくて……」
なんて言う詩織さん。
うん。可愛いね。
「来週の日曜日は空いてますか?」
「うん。空いてるよ」
その日は朱里の部活がある日だ。
俺のその言葉に、詩織さんが嬉しそうに笑う。
「じゃあその日はデートをしてください」
「うん。いいよ」
了承を彼女に示すと、詩織さんは俺の腕を抱きしめた。
「その日は少しだけ、私にあなたの『心』をくれませんか?」
…………
ふむ。まぁ……少しだけなら良いかな?
俺は返事の代わりとして詩織さんの柔らかい身体を抱き寄せる。
そして、彼女の耳元でそっと囁いた。
「いいよ。覚悟しててね」
「……っ!!」
顔を真っ赤にした詩織さんを、腕の中から解放してあげる。
「た、楽しみにしてます……悠斗くん」
「うん。期待しててね、詩織さん」
そんなやり取りをしながら、俺たちは生徒会室へと向かって歩いた。
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