精霊様と魔法使い~強奪チートで妖精キングダム~

くろげブタ

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24.珍宝

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 一夜明けた翌日。
 衣料品店の前でアリサと合流。
 連れ立って村を発ち、オークマンを求めて移動する。

「珍宝。珍宝。ちんぽっぽっー♪」

 いったい誰がこのような馬鹿な歌を歌うのか?
 もちろん俺ではない。妖精さんである。

「そ、その……歌わないで……ください」

「なんで? これから珍宝狩りだぞー?」

 確かにそうなのだが、今日の俺たちが向かうのは村の東。
 魔族の領域。手強いモンスターが生息する場所。

「シギャー!」

 茂みを飛び出すのは黄色く長い身体。
 猛獣。サーベルキャットマン。

 かつて俺の腕を食べた危険なモンスター。

 馬鹿な歌を歌おうものなら、音から猛獣が寄って来るというものだ。

「ひいー」

 早くも俺を盾に。
 俺の後ろに隠れるアリサ将軍。

 俺が時間を稼いでいる間に、背後からバッサリいくための位置取り。
 私はいつでも戦える。そういう事だろうが……今は必要ない。

 ドカーン

 唸りをあげた拳が、サーベルキャットマンの鼻先にめり込んでいた。

「キャイーン」

 ワンパンKO。

 かつて苦戦したであろう相手が、今や雑魚と成り果てる。
 それが俺の能力。シルフィア様の能力。

────────────────────────────────────
体力:357 86↑
魔力:65  14↑

光合成: E↑
────────────────────────────────────

 昨晩。宿で俺は薬草と雑草を。
 シルフィア様は魔石を食べたおかげで、更にパワーアップしていた。

 肉体系スキルの威力は、体力に比例して強化される。
 同じA級パンチであっても、以前とは比較にならないその破壊力。

 アリサ将軍の出番は、まだ先。
 オークマンと相対するその時まで。
 今は英気を養っておくのが作戦というものである。

「あれ? あんたたち。なんでここに?」

 俺たちの前方。
 先行して山道を行くのは、ミーシャ。
 そして、そのパーティメンバーたち。総勢6名。

「もちろんモンスター退治だ。ミーシャもか?」

「それこそ、もちろんよ。でも、あんた。なんでアリサを連れて来てるのよ? 危ないじゃない」

 ミーシャなりにアリサのことを心配しているのだろう。

「わたしが言ったの。連れて行って欲しいって。わたしも冒険者になるんだから」

「アリサ。あんた。おっさんに騙されてる。こいつ。あんたを利用してるだけよ」

 ミーシャの癖になかなかの洞察力。
 だが、相手を利用しているのはアリサも同じ。
 アリサもまた、冒険者となるため俺を利用しているのだから。

 それで構わない。
 守られるだけの存在など不要。
 お互いがお互いを利用する。
 それでこそイーブンというものだ。

「ミーシャの言う通り。戻った方が良い」
「村の東は魔族の領域。お嬢ちゃんたちには無理だぜ」
「ま、そのぶん。多くの経験がつめるってわけさ」

────────────────────────────────────
名前:熟練冒険者

体力:550
魔力:400
────────────────────────────────────

 ミーシャと同行する冒険者の人たちが忠告する。
 自信たっぷりなのも当然。
 新人であるミーシャの護衛としては、過ぎた戦力。

「いい? とにかく。アリサだけでも戻りなさいよ」

 そう言い残して、ミーシャたち6人は更に山を登り先へと消えて行った。

 確かにミーシャの言うとおり。
 すでに辺り一帯が魔族の領域。

「シギャー!」

 再度、茂みを飛び出すの猛獣。サーベルキャットマン。
 おおかた血の匂いにでも釣られたか?

「おいらに任せろー。ウインド・カッター!」

 スパーン

 俺の前に出た妖精さん。
 その手から放たれる風魔法。
 風の刃がサーベルキャットマンの魔力バリアを破り、首を切り落としていた。

 あらためて見る妖精さんの力。

────────────────────────────────────
名前:妖精さん
体力:60
魔力:450
────────────────────────────────────

 能天気なのも納得。
 泉にいた当時は雑魚だと感じた妖精さんが、今はこれほど頼りになるとはな。

 ちょうど良い。
 オークマンが現れるまで、ここを拠点に襲い来るモンスターを撃退するとしよう。

「パンチ! 体当たり! 噛みつき!」
「ウインド・カッター! ウインド・バレット! ウインド・バズーカー!」

 まさしく釣られたとしか形容のしようがない虐殺。
 現れるモンスターを俺と妖精さんが次々に撃退する。

 その後、シルフィア様はアイシクル・ナイフで。
 アリサ将軍は包丁で次々とモンスターを解体。
 その魔石を取り出していく。

 まるで流れ作業のように順調なレベリング。
 これはなかなかの良パーティである。

「うおー! おいらもう魔力がないぞー」

 かと思いきや……後先を考えずに魔法を使うからである。

「妖精さんは休んでいて構わない。魔力回復に努めてくれ」

 半面。
 俺が繰り出すのは肉体スキル。
 体力は消費するが魔力の消費はない。

 そして、ここは山の中にあって日当たりの良い開けた空地。
 光合成。体力自動回復。
 2つの回復スキルを持つ俺にとって、無限に戦い続けることが出来る場所。

 しかし……よく考えれば異世界はゲームではない。
 レベリングに意味はあるのだろうか?

 いくらモンスターを倒しても、俺自身が強くなったという実感はない。
 先ほどの冒険者は多くの経験を積めるといったが、レベルなどという概念。
 存在しないと考えるのが自然である。

 そうこうするうちに新しく現れたモンスターは、待望のオークマン。

「アリサ将軍。出番だ。俺が引き付けるから、後は頼む」

「……はい」

 オークマンが突き出す槍を、俺もまた手持ちの槍で打ち払う。

 前回とは違うのだよ。 
 貴様の仲間から頂いた槍スキル。
 その練度はD。

 突き払い、槍で打ちあう俺とオークマン。

 その実力は互角。
 たかが豚男と互角とは情けない話だが……

 ソロリソロリとオークマンの背後に回るアリサ将軍。

 あくまで俺は時間を稼いでいるだけ。
 本気を出せば、ワンパンKOも可能。

 十分に時間を稼いだところで、背後に回るアリサ将軍の包丁が振るわれた。

 スカッ

「あ、あれ? あれ?」

 続けて包丁を振るうアリサ将軍だが、その包丁はオークマンに当たらない。

「どうした? アリサ将軍。遠慮は無用だぞ?」

「その……動かれると……あ、当たらないよー」

 むう……
 そういえば、アリサ将軍が得意とするのは、包丁による生物の解体。
 そのいずれもすでに死亡した物。食材ばかり。

 もしかするとアリサ将軍が所有するスキル。
 剣術とは異なるのではないだろうか?

 静止した物体にのみ、驚異的なダメージを与えるスキル。
 正体は不明だが、そのような可能性が考えられる。

 ……冷静に考えれば、たかが平民であるアリサ将軍。
 なぜに剣術を所有していると考えたのか謎であるが、まあ良い。

「来い! 豚男。武器など捨てて、かかって来い!」

 槍を手放し手招きする俺の挑発に、豚男もまた槍を捨て、掴みかかってきていた。
 馬鹿正直に付き合う必要などないだろうに……馬鹿なのだ。

 ガシーン

 がっぷり四つに組み合う俺とオークマン。

 オークマンの体力は180。
 大人2人なみの膂力があるが、所詮はそれまでだ。

 俺の体力は脅威の357。
 そして体力は腕力。
 オークマンを完全に固定。その動きをガッチリと抑え込む。

「アリサ将軍!」

 馬鹿ではあるが、その潔さ。嫌いではない。
 せめて。アリサ将軍のクリティカルヒットで。

 スパッ

 苦しむ暇も。死んだことを感じる暇もない。
 アリサ将軍の一撃で首を絶たれ、オークマンは絶命した。

「さあ。アリサ将軍。例の物を……」

「……い、いや……」

 嫌じゃないだろう。
 そのためにここまで来たのだ。

「珍宝。珍宝。ちんぽっぽっー♪ なんなら、おいらが切り取るぞー?」

 対して喜色満面の笑顔で、珍宝を突っつく妖精さん。

 ポカリ

 はしたない真似はおよしなさい。

 しかし……このまま見ていたのでは埒が明かない。
 いたしかたないが、妖精さんにチョン切られるその前に……

 俺はアリサ将軍の手を掴み、無理矢理オークマンの珍宝を握らせた。

「いや……き、汚い……臭い……うえーん」

 目を閉じ息を止め、必死に身をよじるアリサ将軍
 だが、俺の体力は脅威の357。
 対するアリサ将軍の体力は、わずかに50。
 妖精さんにすら劣るその膂力で、抵抗など出来ようはずがない。

 ……刈り取るにも、少し膨張させた方が見栄えは良さそうだ。
 握るアリサの手をゴシゴシと上下に擦り、珍宝を刺激する。

「ぬるって。生暖かいんですけどーひー」

 よしよし。
 さすがは豚男。なかなか立派になった。
 ムクリと膨張したところで

 スッパリ

「ひーん。血が、血がいっぱい……」

 見守ることも大切だが、時には背中を押してやることも必要。
 このような場所でのんびりしていては、他のモンスターに襲われかねないのだ。

「うえーん……もうお嫁にいけないよぉ……」

 そして、そのような心配は無用である。
 世の中ロリコンは数多い。
 美少女であれば、嫁の貰い手など掃いて捨てるほどにいるだろう。
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