元BL 作家だったけど

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安全、無事、の保証は?

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「只今戻りました。」やっとシリル君の実家だ。広々とした開けた場所に、頑丈そうな館。シリルの実験場のため。空気の良い田舎。シリル運転のマジかーで二時間。
「おう。無事で何より。早くダリルのとこ行ってやれ。心配で寝込んでる。」わしわしと頭を撫でてくるのはウィル兄ちゃん。赤味の強い金髪ががっしりした体によく合うなあ。撫でるだけ撫でるとサッと仕事にいく。
 
 ノックして兄の部屋に入ると、そこには流れる銀糸に翡翠の瞳のたおやかな佳人がいた。
      カチッ。
 …あまりシリル君と似てないな。そういえば。上二人と、血は繋がって、な、い。前の奥さんが亡くなったあと、シリル君の親と、父さんが結婚したんだっけか。ウイル兄ちゃんは父さんに、ダリル兄ちゃんは母さん似。
「おかえりなさい、シリル。もっと顔をよく見せて。ああ、こんなにやつれて…」…ベッドに半身を起こした兄ちゃんのがやつれていて、なにやら悩ましい未亡人感を醸し出している。そろそろと顔を撫でまわす。そこからそろそろ首筋だの肩だの撫でてくる。
「ダリル兄さん、くすぐったいです。」きわどい。きわどいよ。離れようとすると、
「ああ。やっと会えた愛し子の無事を確認させてくれないなんて。」そしてポロポロと真珠の様な涙を零す。てか真珠になった。
「あー。遅かったか。」とウイル兄ちゃん。兄ちゃん達の母さん、人じゃなかった。
「また、販売出来ないものが増えちまった…。」キラキラしい大粒の真珠。聞くのも憚られる価格なんだろうな。とりあえず、涙が止まるまで好きにさせてやれ、男同士だ、減るもんじゃねえ、とかウイル兄ちゃん。
「ところで、その服が。」今か。大人なんで、突っ込まないでほっといてくれたり、しないか。
「はい。シリル君に協力いただくからにはシリル君の安全には万全を期さなければと…。」
背後から、ライが顔をだす。…安全か。何とも言えない気分だな。ライは保護者に許可を取るとかって、こっちに同伴してきたのだ。マジかーの魔改造に思ったよりかかってしまった。宿に電話?が引いてあったので、こっちに連絡してもらったけど。電話あるんだったらギルド行かなくても…いや、あの時は素性ばれてないと、思ってたから。
「あなたはシリルにとって安全な人なんでしょうか。」まだポロポロ涙が零れている。粒がさっきより大きいような。
「危険がないようには…」
「なら、連れて行かないで。お願いします。この子に何かあったら私は生きていけません。どうか…」とめどなく涙を流す、精霊の様な佳人。ライは「ぐっ。」とうめいていた。耐性のない人間にはつらかろう。
「兄さん、ごめんなさい。でも、大事になる前に、退治しに行きたい。今なら短期退治でここから通える範囲でいいっぽいし。」マジかーでな。電話もらって、マジかーで退治。害虫駆除業者みたいだな。微妙だ。だけど、ほっといたら、大事になって、勇者たちとラブラブBLツアーに出なきゃならなくなってしまう。BL展開を避けたいなら、一緒に旅に出るとかは禁物であろう。業務的なのがいいだろう。

「なんか、地下アイドルの巡業ツアーみたいだな…」
「なんか言ったか。」今日も今日とて、森の近隣の村。巨大アライグマにとどめを刺したとこ、なう。ラス○○さんも敵かあ。着ぐるみみたいなのになあ。たくさんいたしなあ。倒した敵の魔石を回収する。今回は泊まったり食事はないかわりに、魔石を少しいただくらしい。キラキラした魔石から自分の胸元に視線が行く。
…ダリル兄ちゃんは、涙をつないだネックレスを差し出してきた。「あなたのことをおもって作りました。」とか。…重い。ドレスの種類も増えた。もう自分の性別に自信がなくなっている。
「なんか、勇者ツアーのがよかったかもな…」全国ツアーみたいな。
「それ用に母さん、特注するかもな。」なんてこと言うんだ。ドレスのデザイン、想像できなくて、モザイクかかっちゃったじゃないか。
「今回の取り分もらうぞ。」ロイは魔石をいくつか持っていく。魔石を換金するのかと思ったら、魔道具を作るらしい。設計図かいてたし。
「回路をこうした方が、魔力に無駄がないですよ。」すっと。
「えっ。」作った。私は作れないが、シリル君の脳と体は、設計図の暗記、制作は造作ない。天才脳なんだ。

 …自分で自分の首をしめた。
シリル、ただでさえ忙しいんだった。
「ここが終わったら当分出ないから。」
「ホント?」
「多分。」
「こいつら倒したらあれとか作れる。」うん。色気はないな。













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