元BL 作家だったけど

訪問者

　控えめなノックの音がする。
「はい。」
「シリル。」
　ふわっと、抱き寄せられる。
「ダリル兄さん。」
「シリル。帰ろう？もう、十分だろう？」
わたしは、固まった。
「シリル？」
わたしが動かないのを見て、さらに、
「あんなものの相手を、しなくていいんだ。だってシリル、君はまだたった15年しか生きてないんだ。あんな」
動けなかった。
「でも、わたししかできない。」
呟きが、落ちて。

この部屋には、たくさん花が飾ってある。他に
菓子や、果物なんかの、見舞いのしなが。
「行かなくちゃ。」
ダリル兄さんは、何も、言えなくなってしまう。
　
　部屋の外に出るとグレンがいた。
「送ってやろうか？」
「助かる。」
マジかーは全部使用中だ。

「これに乗るのか？」
..どっかの観光資源になったんじゃなかったのか？
「送ってやるから、コレ着てくれ。」
件の、ドレス。まだあったのか。

グレンは、兄さんを、送って来たらしい。
わたしは、小瓶の蓋をあけ、煽る。
体の変化は、すぐに始まる。
わたしはコクピットから出て手に、魔力を、集める。それを魔王に、放った。
視界いっぱいの、光。

それが、わたしがこの世界最後に見た景色。