元BL 作家だったけど

守りたいのは

　ついさっき。タワマンほどの、怪獣？を、消したところ。なんか、体が、覚束ない。
　ライは、肩を貸そうとしてるけど。
「いらない。」と突き放す。
　騎士団が用意してくれた部屋で、一人(一人部屋をもらった。なんか、イメージがとか言ってた。)、手を、見る。
やっぱりな。
指先が、透けてる。フラグ回収かあ。どうしよう、薬飲めないや。
「入るぞ。」
ライは、こちらの手を見て息をのむ。
「ライさん、俺のこと怖くない？俺、ホントに人間じゃないんだ。」
「怖くない。」
そして、わたしの手に、触れる。
フワリとした感じがある。
魔力を、分けてもらったらしい。
何回か失敗したけど、やっと引き出しを、開けれた。でも、限界。
「これ、開けて飲ませて、ください。」
どちらを、開けたのかも、もう、目が見えない。唇に、温かさが、あった、気がした。

　目覚めた時は、ベッドに寝かせられていた。
じわりと、起き上がり、床に足をつけてみる。
　手はベッドに沈む。
...堪らない。前にのめりそうになって、ライな抱き止められて。
...温かさが、染みる。
「お前は怖くない。お前が、消えることが怖い。」
　駄目だ。けど、足を踏み出した時の震える感覚は、温かさに、溶けそうな、これ、は、手放せなくて。

　「魔王が、進軍して来たそうな」
　そんなことが、聞こえて。
　
やっぱり、聞かなかったことに、できないや。
前世は短かったけど今回も短かったなぁ、とか。転生っていうか、憑依だよね、とか。
　
引き出しから、小瓶を取り出す。
「やっぱりな。」緑の瓶を。

結構今回の、わたし、好きになってたんだな。ライごめんなさい。でも、怪獣みたいな奴らにこの世界踏まれるの、嫌だから。