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5 あ……マジですか
5-1
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ドドドドドドッ!!
これは決して武装集団の足音ではない、俺の心臓の音だ。俺の心臓はまるで耳のすぐそこにあるんじゃってくらいドデカい音で鼓動を刻んでいる。リズムは最強。悪玉コレステロール過多な人間だったら、今にでも脳卒中を起こしてしまいそうな程血液が爆走中。俺的には、学校の授業の一環で拝聴した太鼓軍団の見せ場よりも激しいリズムといっても過言じゃないレベルまできてると思う。
ありていにいえば、ヤバいくらい緊張してるって事だ。逃げ込んだドアの内側からそこに耳を張り付かせ、外の様子を伺っているこの状況は謂わば猫に追いつめられた鼠。見つかるんだったら一思いに見つけてくれとバカな叫びを轟かせたいくらい、最高に頭がおかしくなりそうだった。
こんな緊張初めてだ。なにを隠そう生まれてから今の今なこの15年間、平和大国日本の名のもとに法治国家に守られてきたいち一般人の俺の人生は、命の危機なんぞどこか遠いところにあるかのように他人事だったのだ。
「……た、かーーッ」
「い………こっ……には」
ぼそぼそと途切れ途切れで聞こえる会話は、未だ先程の奴らが近くにのさばってる証拠で。
(消えろ消えろ消えろ消えろっ)
心の中で呪詛の如く物騒な言葉を繰り返しながら、息を潜める俺。
「ぐぅぅぅ」
その隣で腹の虫を盛大に鳴かせている小向。
(マジで空気読めっ!!!!)
そんな状況がどれぐらいたったのか分からない。俺には数時間経ったように感じたが、実際は数分程度に過ぎなかったのかもしれない。確かめる術はないが、扉の向こうの声が聞こえなくなったのを確認した俺は、やっと詰めていた息を吐き出すことが出来た。
「はぁぁぁぁ…」
盛大についた溜め息は安堵の証。命の危機を免れた俺は強ばりすぎていた躰から力を抜き、背を扉に預けてずるずるとしゃがみ込んでいた。
(ありえねーよ本気で)
突然畳みかけるように降り懸かった不可解な出来事。今までの出来事が理解の範疇を越えていたのは確かで、何が今自分の身に起きているのか全く持ってサッパリだ。
こんな状況が続いた中で『勇者になって魔王を倒してくれ』と言われたって『はいそうですか』と易々引き受ける気にはなれない。逃げるだけで精一杯な俺には魔王なんて雲の上の方、というか夢の中の存在を打ち負かす能力があるなんて到底思えなかった。
俺絶対レベル1。いや1にも満たないコンマ以下の可能性大だ。そもそもそんなレベル存在するのか知らないが、もう絶対ザコ。ザコ中のザコだと胸をはれそうな気がする。
まぁ何にせよ現在進行形で俺らに降り懸かってるこの災難を誰かに説明して欲しい。
考えれば考える程、迷宮に置き去りにされそうな思考にまた深い溜め息がこぼれた。きりがない。というか分かるはずがない。
(もーしらねぇ)
お手上げ状態の俺から考える事を放棄する要素は十分だった。
今考えなければならないのはこれからの事。見知らぬ世界で生き抜くにはこの世界を把握しなければならないと思い立った俺は、すっかり忘れ去っていたがそう言えば俺たちを引っ張り込んだこの世界の住人がいたんだったって事を今更ながら思い出した。
そう思って辺りをきょろきょろして男の行方を探した。しかし悠長に構えていた俺の目に飛び込んできたのは、吃驚仰天な光景だった。
「なぁ君たちはどうやって城に忍び込んだんだい?」
「お腹へった」
目線の先には何の変哲もない木製のテーブルと、それとセットだろう4脚の椅子。それはどこの家にだってある、ありふれたリビングの風景だ。そう、俺の直ぐ近くにいた予定の小向がちゃっかりフォークを握りしめて座ってる事以外には。それも助けてくれた青年の膝に座って。……何してんだよ小向。
「あの城の警備は頑丈だからね。ちょっとやそっとじゃ門番すら突破出来ない筈だけど……」
「お腹へった」
壊れたテープの様に同じ言葉を淡々と繰り返す小向と、全くかみ合ってないのに会話を続ける青年。
(アイツどっかの螺子喪失しちまってんじゃねーの?)
と疑問を持ってしまいそうな程、ある意味で肝っ玉座った小向に俺はまた溜め息を吐き出していた。
「あのー」
「あ、意識戻ったのかな?」
噛み合わない会話では埒があかないとふんで(というか小向には無理)、その場から比較的声を張って呼びかけてみれば、間髪入れず返ってきたのは爽やかな笑顔と意味不明な言葉だった。
(えぇ?! 俺意識失ってた!?)
浮かした一歩はそのまま固まる。
「いやぁ君ドアにへばりついてて反応ないからさ、意識どっか飛ばしてるのかと思ってたんだけど……違った?」
全く持って見当違いである。
俺(たぶん小向も)はおっかない奴らに命を狙われていた。それで逃げていて、どこぞの誰か(そこの青年)に匿われた。けれど追っ手はつい今し方まで近くを捜索していた為、追われる身の俺(たぶん小向も)息を潜めて身を隠していた。………この事実、どこか間違ってますか?
「まぁどっちでもいいんだけどね。
いい加減ドアにへばりついてないで椅子に座ったらどうだい?」
君の連れは不思議な子だねーと首を傾げる青年にお腹へったと返答する小向。もういいです。
「……おじゃまします」
俺は全てを諦めて即されるまま空いている席に腰掛ける決意をした。
「今彼に訪ねていた事なんだけど、アイツらに追われてたって事は君たちが城に侵入した子たちであってるよね?」
「……そうですけど」
空いていた向かいの席に腰を落ち着け、といっても4脚中1脚しか使われていない状態だったから選び放題だったが……切羽詰まった気持ちを落ち着けるようにぐるりと周りを観察する。住人であろう男の前で見渡すのは不躾だと思うのだが、不本意ながらも既に不思議くんの称号を頂いちゃった俺には、もうしったこっちゃなかった。
成り行きでお邪魔する事になった青年の家であろうこの空間には、当たり前だが今は俺と小向、そして青年しかいない。しかしダイニング的なこの部屋に椅子が4脚。これって凄く重要な事実だと思う。部屋の角には水瓶が置いてあり、その隣の所謂キッチンっぽいところには調理器具みたいなのがあって、台の上には得体の知れない何かがある。
っぽいとかみたいとかの抽象的表現が多いのは、俺が知ってる世界の物と似ているような気がするけど違うかもしれないという、不安からくる保険的ななにかだ。ここにたどり着くまでに見た物事から、俺なりの解釈が入っての抽象表現だ。
その得体の知れない何かは食べ物っぽい雰囲気がある。だが、得体が知れなさすぎて空腹を満たしてくれる存在には到底思えず、食べたい衝動は一向に訪れなかった。まぁ俺は小向並みに腹減りぷーな気分じゃないし。
ああそれにしても俺は自分の脳の柔軟な切り替えにびっくりしている。既に脳の中身はこの不可思議現象に対応し始めていて、順応しようと努力している兆しすらみえていた。腹を括った……と表現した方が適切な気がするが。
仕方ない、こうなりゃヤケクソだ!俺の決意は気合い一筋で固まりつつあった。
所々に見受けられる数の多い食器みたいな存在。いや、あれは明らかに食器類だろう。俺の知ってるのと全く同じだ。だから一人暮らしではない……ような気がする。この人料理しなさそうだし、第一印象での勝手な判断だが。たぶん、お母さん的な存在かお嫁さん的な存在がいる筈。あくまで予想の範囲内だけど。
探偵並みに推測してみてる風だが、俺の知識は精々子供向けの探偵アニメをただ見ていたってだけで構築された安っぽい推理力。いかんせん信憑性に欠けるが今更磨ける能力でもないし、この程度が限界なので、己を信じずして誰を信じれる精神で開き直るしかない。
家事態の物色的観察が終われば、次に取りかかるは例の青年の視察だ。
あの武装集団みたいに見るからに重そうな鎧を纏ってる訳でもなく、彼の服装は戦う男みたいな格好ではなく寧ろ至って普通。RPGの主人公が、イベントなど起きなさそうなザ風景などうでもいい民家に、もしかしたらと期待を込め、我が物顔でドカドカ不法侵入を果たし、アイテムや金目の物を求めて壷などを物色している傍らで、顔色一つ変えずに同じ所を永遠と往復し、話しかけても『近頃街の外が騒がしいな』とか実に役立たずな世間話しかしてくれなくてがっかりするNPCと似たり寄ったりな服装だ。
すっげー失礼な説明な気がするが……それを考えるとゲームの中の勇者は横暴で理不尽な犯罪者みたいだ。俺はそんな厚顔無恥な行動は絶対に出来ない。いや、したくない。ゲームでの勇者のそういう所がある意味でも勇者なのだろう。それにしても……さっき見つけた水瓶が物凄く気になってしまうのはなぜなのだろうか。後でこっそり水の中をのぞき込んでしまいそうな自分が怖い。いけない、脱線してしまった。
話を戻すと、普通の布で作られたと(俺の)お墨付きの服装をした青年は、見た目では攻撃的なものなど一切身につけてない。従ってきっと彼は敵ではないと思う。だってNPC(仮)だし。
けどなんか落ち着かない。それはきっと未だ初めて会った男の膝に小向が座ったままだから。それとこの男の真意も分からないから。
……だったら易々と侵入者という立場を肯定してはいけなかったか?それよりも一週間程度だが前後の席で共に学業に励んでいた同士にはつれない態度の癖に、初対面の男の膝には乗るのか小向よ。別に俺の膝に乗って欲しい訳じゃないけどさ。嫉妬とかしちゃってる訳じゃないんだけどさ。なんかアイツ(青年)の方が仲良さげで気分悪い。………………いかんいかんっそれよりも易々と肯定してしまった問題について手を打たねば!!
にこやかに微笑みかけてくる青年を少しの苛つきを混ぜ合わせて睨みつけていた俺は、はっと表情を改め口早に言葉を吐き出した。
「いやっでも俺たちがいたのはあくまで素晴らしい前庭のみであって城の中に足を踏み入れたって訳ではなくてっつか進入した訳でもなく気づいたら中にいたっていうか何て言うかっ!!」
「うんうん」
「不可抗力且つ無意識の行動であって別に悪気かあったとか勇者気取りで宝箱あさりにとかそんなんじゃなくてっ」
「うんうん」
「………えーと、分かってますかね?」
「うんうん分かってるよ。
君は宝箱が欲しかったんでしょ?」
って違ぁぁぁぁぁぁぁうっ!!コイツ馬鹿なのかそうなのか?
俺の言い訳がわざとらし過ぎたとか言うのは棚に上げた。
これは決して武装集団の足音ではない、俺の心臓の音だ。俺の心臓はまるで耳のすぐそこにあるんじゃってくらいドデカい音で鼓動を刻んでいる。リズムは最強。悪玉コレステロール過多な人間だったら、今にでも脳卒中を起こしてしまいそうな程血液が爆走中。俺的には、学校の授業の一環で拝聴した太鼓軍団の見せ場よりも激しいリズムといっても過言じゃないレベルまできてると思う。
ありていにいえば、ヤバいくらい緊張してるって事だ。逃げ込んだドアの内側からそこに耳を張り付かせ、外の様子を伺っているこの状況は謂わば猫に追いつめられた鼠。見つかるんだったら一思いに見つけてくれとバカな叫びを轟かせたいくらい、最高に頭がおかしくなりそうだった。
こんな緊張初めてだ。なにを隠そう生まれてから今の今なこの15年間、平和大国日本の名のもとに法治国家に守られてきたいち一般人の俺の人生は、命の危機なんぞどこか遠いところにあるかのように他人事だったのだ。
「……た、かーーッ」
「い………こっ……には」
ぼそぼそと途切れ途切れで聞こえる会話は、未だ先程の奴らが近くにのさばってる証拠で。
(消えろ消えろ消えろ消えろっ)
心の中で呪詛の如く物騒な言葉を繰り返しながら、息を潜める俺。
「ぐぅぅぅ」
その隣で腹の虫を盛大に鳴かせている小向。
(マジで空気読めっ!!!!)
そんな状況がどれぐらいたったのか分からない。俺には数時間経ったように感じたが、実際は数分程度に過ぎなかったのかもしれない。確かめる術はないが、扉の向こうの声が聞こえなくなったのを確認した俺は、やっと詰めていた息を吐き出すことが出来た。
「はぁぁぁぁ…」
盛大についた溜め息は安堵の証。命の危機を免れた俺は強ばりすぎていた躰から力を抜き、背を扉に預けてずるずるとしゃがみ込んでいた。
(ありえねーよ本気で)
突然畳みかけるように降り懸かった不可解な出来事。今までの出来事が理解の範疇を越えていたのは確かで、何が今自分の身に起きているのか全く持ってサッパリだ。
こんな状況が続いた中で『勇者になって魔王を倒してくれ』と言われたって『はいそうですか』と易々引き受ける気にはなれない。逃げるだけで精一杯な俺には魔王なんて雲の上の方、というか夢の中の存在を打ち負かす能力があるなんて到底思えなかった。
俺絶対レベル1。いや1にも満たないコンマ以下の可能性大だ。そもそもそんなレベル存在するのか知らないが、もう絶対ザコ。ザコ中のザコだと胸をはれそうな気がする。
まぁ何にせよ現在進行形で俺らに降り懸かってるこの災難を誰かに説明して欲しい。
考えれば考える程、迷宮に置き去りにされそうな思考にまた深い溜め息がこぼれた。きりがない。というか分かるはずがない。
(もーしらねぇ)
お手上げ状態の俺から考える事を放棄する要素は十分だった。
今考えなければならないのはこれからの事。見知らぬ世界で生き抜くにはこの世界を把握しなければならないと思い立った俺は、すっかり忘れ去っていたがそう言えば俺たちを引っ張り込んだこの世界の住人がいたんだったって事を今更ながら思い出した。
そう思って辺りをきょろきょろして男の行方を探した。しかし悠長に構えていた俺の目に飛び込んできたのは、吃驚仰天な光景だった。
「なぁ君たちはどうやって城に忍び込んだんだい?」
「お腹へった」
目線の先には何の変哲もない木製のテーブルと、それとセットだろう4脚の椅子。それはどこの家にだってある、ありふれたリビングの風景だ。そう、俺の直ぐ近くにいた予定の小向がちゃっかりフォークを握りしめて座ってる事以外には。それも助けてくれた青年の膝に座って。……何してんだよ小向。
「あの城の警備は頑丈だからね。ちょっとやそっとじゃ門番すら突破出来ない筈だけど……」
「お腹へった」
壊れたテープの様に同じ言葉を淡々と繰り返す小向と、全くかみ合ってないのに会話を続ける青年。
(アイツどっかの螺子喪失しちまってんじゃねーの?)
と疑問を持ってしまいそうな程、ある意味で肝っ玉座った小向に俺はまた溜め息を吐き出していた。
「あのー」
「あ、意識戻ったのかな?」
噛み合わない会話では埒があかないとふんで(というか小向には無理)、その場から比較的声を張って呼びかけてみれば、間髪入れず返ってきたのは爽やかな笑顔と意味不明な言葉だった。
(えぇ?! 俺意識失ってた!?)
浮かした一歩はそのまま固まる。
「いやぁ君ドアにへばりついてて反応ないからさ、意識どっか飛ばしてるのかと思ってたんだけど……違った?」
全く持って見当違いである。
俺(たぶん小向も)はおっかない奴らに命を狙われていた。それで逃げていて、どこぞの誰か(そこの青年)に匿われた。けれど追っ手はつい今し方まで近くを捜索していた為、追われる身の俺(たぶん小向も)息を潜めて身を隠していた。………この事実、どこか間違ってますか?
「まぁどっちでもいいんだけどね。
いい加減ドアにへばりついてないで椅子に座ったらどうだい?」
君の連れは不思議な子だねーと首を傾げる青年にお腹へったと返答する小向。もういいです。
「……おじゃまします」
俺は全てを諦めて即されるまま空いている席に腰掛ける決意をした。
「今彼に訪ねていた事なんだけど、アイツらに追われてたって事は君たちが城に侵入した子たちであってるよね?」
「……そうですけど」
空いていた向かいの席に腰を落ち着け、といっても4脚中1脚しか使われていない状態だったから選び放題だったが……切羽詰まった気持ちを落ち着けるようにぐるりと周りを観察する。住人であろう男の前で見渡すのは不躾だと思うのだが、不本意ながらも既に不思議くんの称号を頂いちゃった俺には、もうしったこっちゃなかった。
成り行きでお邪魔する事になった青年の家であろうこの空間には、当たり前だが今は俺と小向、そして青年しかいない。しかしダイニング的なこの部屋に椅子が4脚。これって凄く重要な事実だと思う。部屋の角には水瓶が置いてあり、その隣の所謂キッチンっぽいところには調理器具みたいなのがあって、台の上には得体の知れない何かがある。
っぽいとかみたいとかの抽象的表現が多いのは、俺が知ってる世界の物と似ているような気がするけど違うかもしれないという、不安からくる保険的ななにかだ。ここにたどり着くまでに見た物事から、俺なりの解釈が入っての抽象表現だ。
その得体の知れない何かは食べ物っぽい雰囲気がある。だが、得体が知れなさすぎて空腹を満たしてくれる存在には到底思えず、食べたい衝動は一向に訪れなかった。まぁ俺は小向並みに腹減りぷーな気分じゃないし。
ああそれにしても俺は自分の脳の柔軟な切り替えにびっくりしている。既に脳の中身はこの不可思議現象に対応し始めていて、順応しようと努力している兆しすらみえていた。腹を括った……と表現した方が適切な気がするが。
仕方ない、こうなりゃヤケクソだ!俺の決意は気合い一筋で固まりつつあった。
所々に見受けられる数の多い食器みたいな存在。いや、あれは明らかに食器類だろう。俺の知ってるのと全く同じだ。だから一人暮らしではない……ような気がする。この人料理しなさそうだし、第一印象での勝手な判断だが。たぶん、お母さん的な存在かお嫁さん的な存在がいる筈。あくまで予想の範囲内だけど。
探偵並みに推測してみてる風だが、俺の知識は精々子供向けの探偵アニメをただ見ていたってだけで構築された安っぽい推理力。いかんせん信憑性に欠けるが今更磨ける能力でもないし、この程度が限界なので、己を信じずして誰を信じれる精神で開き直るしかない。
家事態の物色的観察が終われば、次に取りかかるは例の青年の視察だ。
あの武装集団みたいに見るからに重そうな鎧を纏ってる訳でもなく、彼の服装は戦う男みたいな格好ではなく寧ろ至って普通。RPGの主人公が、イベントなど起きなさそうなザ風景などうでもいい民家に、もしかしたらと期待を込め、我が物顔でドカドカ不法侵入を果たし、アイテムや金目の物を求めて壷などを物色している傍らで、顔色一つ変えずに同じ所を永遠と往復し、話しかけても『近頃街の外が騒がしいな』とか実に役立たずな世間話しかしてくれなくてがっかりするNPCと似たり寄ったりな服装だ。
すっげー失礼な説明な気がするが……それを考えるとゲームの中の勇者は横暴で理不尽な犯罪者みたいだ。俺はそんな厚顔無恥な行動は絶対に出来ない。いや、したくない。ゲームでの勇者のそういう所がある意味でも勇者なのだろう。それにしても……さっき見つけた水瓶が物凄く気になってしまうのはなぜなのだろうか。後でこっそり水の中をのぞき込んでしまいそうな自分が怖い。いけない、脱線してしまった。
話を戻すと、普通の布で作られたと(俺の)お墨付きの服装をした青年は、見た目では攻撃的なものなど一切身につけてない。従ってきっと彼は敵ではないと思う。だってNPC(仮)だし。
けどなんか落ち着かない。それはきっと未だ初めて会った男の膝に小向が座ったままだから。それとこの男の真意も分からないから。
……だったら易々と侵入者という立場を肯定してはいけなかったか?それよりも一週間程度だが前後の席で共に学業に励んでいた同士にはつれない態度の癖に、初対面の男の膝には乗るのか小向よ。別に俺の膝に乗って欲しい訳じゃないけどさ。嫉妬とかしちゃってる訳じゃないんだけどさ。なんかアイツ(青年)の方が仲良さげで気分悪い。………………いかんいかんっそれよりも易々と肯定してしまった問題について手を打たねば!!
にこやかに微笑みかけてくる青年を少しの苛つきを混ぜ合わせて睨みつけていた俺は、はっと表情を改め口早に言葉を吐き出した。
「いやっでも俺たちがいたのはあくまで素晴らしい前庭のみであって城の中に足を踏み入れたって訳ではなくてっつか進入した訳でもなく気づいたら中にいたっていうか何て言うかっ!!」
「うんうん」
「不可抗力且つ無意識の行動であって別に悪気かあったとか勇者気取りで宝箱あさりにとかそんなんじゃなくてっ」
「うんうん」
「………えーと、分かってますかね?」
「うんうん分かってるよ。
君は宝箱が欲しかったんでしょ?」
って違ぁぁぁぁぁぁぁうっ!!コイツ馬鹿なのかそうなのか?
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