村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
33 / 262
第四章 『上級ガイド』のダンジョン探索編

33.ダンジョン探索とは

しおりを挟む
 ダンジョン探索が終わり、ルナと別れてからナヴィは村の帰路に就いた。

 ナヴィの村に帰る足取りとともに夕日も着々と沈んでいた。


 ルナかぁ、まさかあんな上級ガイドがいるなんて……。ライバルとしては的中率が百パーセントじゃなくてよかったけど。ケビンに続きあんな子まで出てきちゃうと、いよいよあたしって普通の人って感じよね……。個性っていう個性もないし。

「はぁ、なんか周りを見て目標の遠さをまざまざと感じた。テリウス様が今目の前に現れたとしてもパーティーに入れてもらうにはまだまだ実力不足よね……。ケビンの方が戦力になるし、ルナだってあんな凄い能力あるんだから」


 肩を下ろしながらとぼとぼと歩いていると、村の入り口が見えた。

「おーい! ナヴィさん!」

 誰かが手を振ってるわね。ん、あれは……。


「レイ様。レイ様ー!」

 まぁ気にしててもしょうがない。あたしはあたしができることをやろう。

 ナヴィは落としていた肩を上げ、走ってレイの元へと向かった。



「すみません。大変お待たせいたしました。」

「いえ、先ほどお店に行ったらエンフィーさんが今日の夕方には戻ってくると言っていたので。」

 う、エンフィーあなたも占いでもやっているのかしら……。 

「ナヴィさん、どうしたんですかその黒い斑点がたくさんついたローブ」

「あ、こ、これは、ダンジョンのトラップに引っかかってしまい……穴の中にいたモンスターに吹きかけられてしまいました」

「そうだったんですか、すみませんお手を煩わせてしまって」

「いえ、これも仕事ですから、おかげさまでマップの方もほぼ完璧に近い状態になったので!」

「ありがとうございます。妹のレミもきっと喜んでくれると思います!」



「そうしましたらレイ様。本日マップをお渡しすることができますので案内所の方で解説等させていただきます」

「はい。お願いします!」


 村の入り口での会話は終わり、クローズの看板がかかった案内所に戻ってきた二人。

「エンフィー、デニスさん、帰ったわ」


「お姉ちゃん、レイ様、おかえりなさい! って、ローブきたなっ!」

「後で話すからとりあえずこれ洗濯してもらってもいいかしら」

「はいはーい、おーいデニスさん二人のお茶まだ?」

 キッチンでお茶を入れているデニスが愛想笑いでエンフィーに返した。

「はい、ただいま。おかえりなさいませ、ナヴィさん、レイ様」

「ありがと。デニスさん。ちゃんと仕事してたの?」

「はい、もちろんでございます」

「エンフィー?」

 本当? というような疑いの目でエンフィーに問いかける。

「まぁ最近の中では割とましだったんじゃない」


「よし!」

 デニスがガッツポーズをとった。

「いや、ましになるのに何日かかってんのよ……。まぁいいわ。ちゃんとやってたなら安心ね」



「あの。ナヴィさん、そろそろいいですか」

「あ、はい、では始めましょうか」


 カウンターに向かい合わせで座り、ナヴィは制作したマップをもとに解説を始めた。

「『悪戯の鍾乳洞』ここは文字通り、様々な悪戯という名のトラップがあります」

「トラップですか」

「えぇ、特に岩に擬態しているスイッチのようなものがいくつかあるので、足元に注意しながら歩く必要があります。しかし逆にいえばそこさえ気を付けてマップ通りに歩いていただければ問題なく最深部まで進むことができます」

「なるほど、そんなに難しいダンジョンじゃなさそうですね」

 そんな無垢な笑顔で言われても……。

「あは、そ、そうですね、あははは」

 何度自分の身を削ってトラップにわざと引っかかっていったか。これを簡単に攻略されちゃうとなんだか癪だなぁ。


「ナヴィさん。そういえば最深部には何が?」

「あ、はい。端的に言うとボスです」

「ボスですか、レミ大丈夫かな」

「お伺いしたところレミ様もレイ様と同じくレベル二十クラスの槍使い。ボスのレベルも同等かその少し上と見受けられました」

「それって勝てるんですか?」

「レミ様の魔法適性はなんでしょうか?」

「確か第一は木属性。第二は水だった気がします」

「なるほど、そうしましたらこちらをお使いください」

 ナヴィはダンジョンに持って行っていたカバンの中から巻物を何本か取り出した。

「これは……?」

「こちらは『呪術の巻物』です。簡易的に下級魔法を放つことができます。魔力もいらず、自分の属性ではない魔法を放つことができます」

「す、すごく便利ですね」

「下級魔法だと低価格ですが、中級魔法以上ですと価格が跳ね上がりますね。作るのにも相当な魔力を込めるらしいので……」

「ですよね、こんなのすぐに作れたら……これ、雷の魔法ですか」

「はい、ボスはウナギ型の大型モンスターです。外皮がかなり厚く槍などを刺して内側から弱点の雷魔法を流すと大ダメージを与えることができます」


「あ、だからさっき属性を聞いていたんですね!」

「その通りです。説明は以上でございます。何かご質問ありますでしょうか?」

「いえ、大丈夫です! 想像以上に精巧に作られたマップとわかりやすい解説で妹もすごく喜ぶと思います。ありがとうございました。」

 そういうとレイはカバンの中から大きな巾着袋を取り出した。

「これ少ないですけど受け取って下さい」

 なにこれ、中身は……た、大金!

「こんなの頂けません! 前金もかなりの額頂いてたのに」

 突き返すナヴィだったが、レイは強引にナヴィの手に収めさせた。

「妹の命の値段を考えれば安いものです。巻物のお金もありますし」

 ナヴィはレイの妹を想う温かい笑顔にはっと気づかされる。


 そっか、あたし勘違いしてた……。ダンジョン探索、マップ作り、攻略情報、これもまた冒険者様達の命を守ることに繋がるのね。



「レイ様、そうしましたらこちらありがたく頂戴します。レミ様の冒険がうまくいきますように心から願っています」

 受け取ったナヴィもまた温かく包み込むような優しさに溢れた笑顔だった。





 数日後

 ナヴィは『悪戯の鍾乳洞』のダンジョン入り口に立っていた。


 よし、入っていったわね。


 レイ様の前ではああは言ったものの、あたしのマップが本当に大丈夫か不安でレミ様の後をついてきてしまった。

 何か抜けてたら申し訳ないしなぁ。邪魔しないように後ろから見守っておこう……。



「あのぅ」

 ナヴィは後ろから肩を叩かれた。

「はぁ! だ、だれ! え……」

「今日も会いましたね! ナヴィさん!」

「ルナ……?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

処理中です...