50 / 262
第六章 コイルとエンフィー『幸運の聖水』を求めて
50.ダンジョンまでの道のり
しおりを挟む
アングリータイガーとの戦闘から数分後、二人は『竜門の滝』に着いた。
「大きな滝ですねぇ」
でこに手をかざし、真下にある川の岸辺から滝を見上げるエンフィーとコイル。
「有名なので名前だけは知っていましたが……コイル様はご覧になったことあるんですか?」
「僕も初めてです。見たところ崖から30メートルくらいですかね、あそこの下でこの激流の水を受けたら死んじゃいますよね」
「確かに……問題なのはあの滝の中に入る方法です」
底から十五メートルほどの所に人が数人は入れそうな穴があり、二人はその穴の奥にあるダンジョンを目指していた。
「思ったよりも水の流れが強いので練っていた作戦は使えそうにないかなぁ」
私の<エアシールド>で水流を一時的に防いでその間に<アクセル>でコイル様に担いでもらって駆け上がる。シンプルだし一番早いんだけどなぁ。
「あの水流、僕の剣舞なら一瞬ですが弾いて入れそうな気がします……」
「剣舞……そうか!」
エンフィーは手をポンと叩いた。
「何かいい案でも?」
「試しですが……」
耳打ちでエンフィーは思いついた作戦をごにょごにょとコイルに話した。
「なるほど、それなら確かに行けるかもですね!」
「はい、では早速準備に取り掛かりましょう」
「こ、これでいいんですか?」
コイルの背中には背中を合わせた状態でロープを括り付けたエンフィーが今か今かと待っていた。
「あのーエンフィーさん。手伝っといてなんですが、僕ら頭の悪そうな格好してますね」
「しょ、しょうがないじゃないですか、これしか今は方法が思いつかなかったんですから! さぁ、私が渡した<キャプチャーロープ>を使ってください!」
「分かりました。あの木ですね、掴め!」
滝の上にある一本の巨大樹目掛けてエンフィーの作った伸縮性のあるロープが飛んでいった。そしてそのロープは意識があるかのように木に向かい、数回幹を巻いた。
「よし、オーケーです。エンフィーさんお願いします!」
「はい。では……縮め!」
掛け声とともにロープはシュルシュルと短くなっていく。
ロープは木の幹に巻き付けていた方に向かい、その紐を持っていた二人は宙に浮いた。
「うわーー!」
「け、結構速いですね、大丈夫ですかコイルさん?」
「はい! 方向はばっちりですよ。ダンジョンの洞穴に一直線です」
「よし、あとはタイミング勝負ですね……」
二人の滝との距離はあと三メートルほどとなった。
「それじゃ私から!」
<ディレイムーブ!>
水の流れの速度が落ちた。
く、おんもい。この質量持って数秒。
「コイル様」
「ええ」
<剣舞・華輪!>
コイルの回転斬りで滝を分断された。
「エンフィーさん」
「はい!」
よし、ここまで作戦通り。
数刻前の作戦会議。
「な、結構無茶なことしますね……」
「すみません、私の魔法じゃこのくらいしか……」
「いえ、全然いいですけど、最後のは結構賭けですよね?」
「はい、<キャプチャーロープ>で幹を掴み、それを縮めて洞穴に向かって飛ぶ。そして<ディレイムーブ>からのコイル様の<華輪>で滝を分断。ここまでは確実でしょう」
「僕の<華輪>は性質上その場で回転するからロープで作った勢いが完全にでなくなっちゃうな」
「はい、ですからコイル様には回転後うまく前を向いてもらい、私が特大の<エアシュート>を放ちます」
「後ろ向きでですか?」
「はい。大きければ大きいほど反動が強くなりますのでその力を使えばおそらく」
「……分かりました。ただ<華輪>の後は気を付けてくださいね。慣れてない人は必ず目が回りますから」
「はい、ではやりましょうか」
よし、コイル様が作ってくれたこの空間に絶対入る!
「はぁぁ!」
<エアシュート!>
普段の三倍ほど大きな質量の空気の弾丸が奥に見える山のようなものに向かって放たれた。
「よし、これならぎりぎり!」
コイルは穴の縁に手を伸ばす。
しかしそれは届かなかった。
「なっ、しまった」
「コイル様!」
「うおぉ!」
落下するのを確信したエンフィーは目を瞑っていた。
数秒後ゆっくりと左目を開ける。
「あ、あれ?」
「エンフィーさん。大丈夫ですよ」
コイルの腰に差していた短刀が穴のすぐ下に突き刺さり、二人の体を支えていた。
「よ、よかったぁ」
「あぁ、エンフィーさん力抜かないでください! 重たくなってます!」
「あ! ごめんなさい。私つい安心しきっちゃって」
「いえ、そしたらエンフィーさんからロープをほどいて先に登って下さい」
「わかりました!」
こうして二人は無事にダンジョンの入り口に到達することができた。
その頃、ナヴィのいる案内所の目の前に一人の冒険者がいた。
「おーい、ナヴィ。僕だよ 君の愛するハンナが来たよー」
うーんおかしいな、今日は朝から店閉めてるって村の人も言ってたし。エンフィーもいない。ということはナヴィはまだあの状態から戻ってないってことかな……。
「ん? あれ、窓が開いてる」
案内所の外をぐるぐると回っていると、カウンター近くの窓が開いていることに気が付いた。
「しょうがないなぁ。盗賊ハンナが君を元気付けてあげよう」
ハンナは口角を上げ、窓から店の中に侵入する。
「おじゃましまーすっと、あれ、カウンターにマップ?」
「ふーん、これはエンフィーの字だね……どれどれ、このマップは……」
ハンナがマップを見始め十分ほど経った。
「なるほどね、エンフィー。やっぱり君もナヴィと同じで生粋のガイドだね」
ハンナはそのまま二回に上がりナヴィの部屋の前に立った。
「ねぇナヴィ。僕だよ」
……え、ハンナ?
「大きな滝ですねぇ」
でこに手をかざし、真下にある川の岸辺から滝を見上げるエンフィーとコイル。
「有名なので名前だけは知っていましたが……コイル様はご覧になったことあるんですか?」
「僕も初めてです。見たところ崖から30メートルくらいですかね、あそこの下でこの激流の水を受けたら死んじゃいますよね」
「確かに……問題なのはあの滝の中に入る方法です」
底から十五メートルほどの所に人が数人は入れそうな穴があり、二人はその穴の奥にあるダンジョンを目指していた。
「思ったよりも水の流れが強いので練っていた作戦は使えそうにないかなぁ」
私の<エアシールド>で水流を一時的に防いでその間に<アクセル>でコイル様に担いでもらって駆け上がる。シンプルだし一番早いんだけどなぁ。
「あの水流、僕の剣舞なら一瞬ですが弾いて入れそうな気がします……」
「剣舞……そうか!」
エンフィーは手をポンと叩いた。
「何かいい案でも?」
「試しですが……」
耳打ちでエンフィーは思いついた作戦をごにょごにょとコイルに話した。
「なるほど、それなら確かに行けるかもですね!」
「はい、では早速準備に取り掛かりましょう」
「こ、これでいいんですか?」
コイルの背中には背中を合わせた状態でロープを括り付けたエンフィーが今か今かと待っていた。
「あのーエンフィーさん。手伝っといてなんですが、僕ら頭の悪そうな格好してますね」
「しょ、しょうがないじゃないですか、これしか今は方法が思いつかなかったんですから! さぁ、私が渡した<キャプチャーロープ>を使ってください!」
「分かりました。あの木ですね、掴め!」
滝の上にある一本の巨大樹目掛けてエンフィーの作った伸縮性のあるロープが飛んでいった。そしてそのロープは意識があるかのように木に向かい、数回幹を巻いた。
「よし、オーケーです。エンフィーさんお願いします!」
「はい。では……縮め!」
掛け声とともにロープはシュルシュルと短くなっていく。
ロープは木の幹に巻き付けていた方に向かい、その紐を持っていた二人は宙に浮いた。
「うわーー!」
「け、結構速いですね、大丈夫ですかコイルさん?」
「はい! 方向はばっちりですよ。ダンジョンの洞穴に一直線です」
「よし、あとはタイミング勝負ですね……」
二人の滝との距離はあと三メートルほどとなった。
「それじゃ私から!」
<ディレイムーブ!>
水の流れの速度が落ちた。
く、おんもい。この質量持って数秒。
「コイル様」
「ええ」
<剣舞・華輪!>
コイルの回転斬りで滝を分断された。
「エンフィーさん」
「はい!」
よし、ここまで作戦通り。
数刻前の作戦会議。
「な、結構無茶なことしますね……」
「すみません、私の魔法じゃこのくらいしか……」
「いえ、全然いいですけど、最後のは結構賭けですよね?」
「はい、<キャプチャーロープ>で幹を掴み、それを縮めて洞穴に向かって飛ぶ。そして<ディレイムーブ>からのコイル様の<華輪>で滝を分断。ここまでは確実でしょう」
「僕の<華輪>は性質上その場で回転するからロープで作った勢いが完全にでなくなっちゃうな」
「はい、ですからコイル様には回転後うまく前を向いてもらい、私が特大の<エアシュート>を放ちます」
「後ろ向きでですか?」
「はい。大きければ大きいほど反動が強くなりますのでその力を使えばおそらく」
「……分かりました。ただ<華輪>の後は気を付けてくださいね。慣れてない人は必ず目が回りますから」
「はい、ではやりましょうか」
よし、コイル様が作ってくれたこの空間に絶対入る!
「はぁぁ!」
<エアシュート!>
普段の三倍ほど大きな質量の空気の弾丸が奥に見える山のようなものに向かって放たれた。
「よし、これならぎりぎり!」
コイルは穴の縁に手を伸ばす。
しかしそれは届かなかった。
「なっ、しまった」
「コイル様!」
「うおぉ!」
落下するのを確信したエンフィーは目を瞑っていた。
数秒後ゆっくりと左目を開ける。
「あ、あれ?」
「エンフィーさん。大丈夫ですよ」
コイルの腰に差していた短刀が穴のすぐ下に突き刺さり、二人の体を支えていた。
「よ、よかったぁ」
「あぁ、エンフィーさん力抜かないでください! 重たくなってます!」
「あ! ごめんなさい。私つい安心しきっちゃって」
「いえ、そしたらエンフィーさんからロープをほどいて先に登って下さい」
「わかりました!」
こうして二人は無事にダンジョンの入り口に到達することができた。
その頃、ナヴィのいる案内所の目の前に一人の冒険者がいた。
「おーい、ナヴィ。僕だよ 君の愛するハンナが来たよー」
うーんおかしいな、今日は朝から店閉めてるって村の人も言ってたし。エンフィーもいない。ということはナヴィはまだあの状態から戻ってないってことかな……。
「ん? あれ、窓が開いてる」
案内所の外をぐるぐると回っていると、カウンター近くの窓が開いていることに気が付いた。
「しょうがないなぁ。盗賊ハンナが君を元気付けてあげよう」
ハンナは口角を上げ、窓から店の中に侵入する。
「おじゃましまーすっと、あれ、カウンターにマップ?」
「ふーん、これはエンフィーの字だね……どれどれ、このマップは……」
ハンナがマップを見始め十分ほど経った。
「なるほどね、エンフィー。やっぱり君もナヴィと同じで生粋のガイドだね」
ハンナはそのまま二回に上がりナヴィの部屋の前に立った。
「ねぇナヴィ。僕だよ」
……え、ハンナ?
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる