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第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編
110.獣人族
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<バーサーク!>
詠唱とともにナターシャに赤黒いオーラが纏わりつく。
「く、これは!?」
「グルァァァァ!」
ナターシャの体から虎模様の痣が浮かび上がった。目つきは獲物を狙うように鋭くなり、体勢は獣が見せる上体の低さでの臨戦態勢の構えとなっていった。
「これがナターシャの新たな力……見た目だけでも虎そのものって感じだね」
ロイ君! 後ろ!
「え!?」
「ガァ!」
一瞬でロイの背後を取ったナターシャが右手に持った大鎌でロイに攻撃を仕掛けた。
「うっ! なんとか間に合った……」
ロイはルナの反応により何とか攻撃を食い止める。
「く、なんて力だ……」
「グルルルルル」
「く、すごい力だ……両手でハンマーを持ってるおいらが、片手で押し込まれるなんて……」
「グルルルァァァ!」
そのままナターシャの大鎌がロイのハンマーを押し切った。
「ぐあっ!」
ロイ君! 大丈夫?
うん。それよりもナターシャどうなってんの……。
本で見たことある。獣人族は確かにヒューマンと見た目も生活もそこまで変わらないけど、ある一定の条件下で潜在的に眠っている獣の力を使うことのできる<獣化>することができるって。けど、まさかナターシャちゃんが自らトリガーを引いて獣化するなんて……。
そんなことができるなんて、おいら知らなかったぞ……。
ナターシャちゃんは都会育ちっぽかったからその線はないかと思ってたんだけど……とにかくここからは<エンパシーオブプリセプション>の精度をさらに上げて! 魔力消費がきついと思うけど、今の状態じゃ多分獣化したナターシャちゃんにすぐにやられちゃう。
わかった!
それにしてもケビンさん……あなたどうやってナターシャちゃんの<獣化>を……現代の獣人族はその力を使わずに一生を終えるのが普通なのに。何をしたの……。
それは一日目特訓の日のこと。ケビンとナターシャがダンジョンのボスを倒し、午後の特訓に入る前に話だった。
「<獣化>……ですか」
「あぁ、お前は獣人族が潜在的に持っている<獣化>の力を使ってワーウルフを倒したんだ」
「は、はぁ、でもあたしその時のこと全然覚えてないですよ?」
「初めて使ったからそうなるのは当たり前だ。この<獣化>は昔ヒューマンとの戦争を行っていたころに獣人族が当たり前のように使っていた力なんだが、現在の共存し合っている中でその力は廃れていった」
「なるほど……そんな話パパやママもしていなかったのですが……」
「まぁ、今使うことはないからな。それに現代の獣人族の冒険者もほとんどはこの力を使えない」
「それじゃあたしはどうやってこの力を……?」
「……『生存本能』だ」
「生存本能?」
「弱肉強食の世界で何十、何百、何千年と、自分とその種族を後世まで繋げていくために死力を尽くした獣たちの末裔が今の獣人族だ。そういう死と隣り合わせの中で一生を過ごしたお前らの先祖である獣たちが生き残るために最後の最後まで持てる力を全て出し切って戦う。その生存本能の延長線上にあるのがこの<獣化>だ」
「んー話がよく分からない……かもです」
「ナターシャ。お前はワーウルフとの戦闘で気を失う前の状況は覚えているか?」
「はい。何となくですが。正直敵わないのが分かって一度諦めて戦うのを辞めようとしました。でもその後自分が死ぬことを考えると、まだまだやりたいこともやり残したこともあるし、会いたい人も、食べたいものもたくさんある、こんなところで死ぬなんて絶対嫌だって……あっ」
「そう、それが『生存本能』だ。それが引き金となってお前は自分の意志とは関係なく<獣化>した」
「つまりその眠っていた力を無理やり引き出すためにあたしを……?」
「そういうことだ、これを引き出すためには、お前を死ぬ直前まで追い込む必要があった。手荒なやり方をして悪かったな」
ケビンの謝罪をぽかんと口を開け聞いていたナターシャ。
「なんで謝るんですか?」
「……?」
「これであたしはもっと強くなれるんですよね? なら願ったり叶ったりじゃないですか!」
ケビンの顔を覗き笑顔を見せたナターシャ。
「ふっ、そうだな」
「じゃあこれからはその<獣化>をコントロールする練習ってことですか?」
「そういうことだ。正直この力を完璧に使うためには数年かかると言われている。だから残りの数日でどこまでものにできるかが勝負になる」
「よーし頑張っちゃうぞー! いたた、ワーウルフの傷が……」
ロイに攻撃を続ける<獣化>したナターシャを見守るケビン。
「一日目からの今日の戦闘だ、完璧とまではいかないが思い通りに<獣化>するところまでできたのはさすがのナターシャのセンスだな」
ここで一気に押し返してロイとルナの<エンパシーオブプリセプション>の力を跳ね返す!
詠唱とともにナターシャに赤黒いオーラが纏わりつく。
「く、これは!?」
「グルァァァァ!」
ナターシャの体から虎模様の痣が浮かび上がった。目つきは獲物を狙うように鋭くなり、体勢は獣が見せる上体の低さでの臨戦態勢の構えとなっていった。
「これがナターシャの新たな力……見た目だけでも虎そのものって感じだね」
ロイ君! 後ろ!
「え!?」
「ガァ!」
一瞬でロイの背後を取ったナターシャが右手に持った大鎌でロイに攻撃を仕掛けた。
「うっ! なんとか間に合った……」
ロイはルナの反応により何とか攻撃を食い止める。
「く、なんて力だ……」
「グルルルルル」
「く、すごい力だ……両手でハンマーを持ってるおいらが、片手で押し込まれるなんて……」
「グルルルァァァ!」
そのままナターシャの大鎌がロイのハンマーを押し切った。
「ぐあっ!」
ロイ君! 大丈夫?
うん。それよりもナターシャどうなってんの……。
本で見たことある。獣人族は確かにヒューマンと見た目も生活もそこまで変わらないけど、ある一定の条件下で潜在的に眠っている獣の力を使うことのできる<獣化>することができるって。けど、まさかナターシャちゃんが自らトリガーを引いて獣化するなんて……。
そんなことができるなんて、おいら知らなかったぞ……。
ナターシャちゃんは都会育ちっぽかったからその線はないかと思ってたんだけど……とにかくここからは<エンパシーオブプリセプション>の精度をさらに上げて! 魔力消費がきついと思うけど、今の状態じゃ多分獣化したナターシャちゃんにすぐにやられちゃう。
わかった!
それにしてもケビンさん……あなたどうやってナターシャちゃんの<獣化>を……現代の獣人族はその力を使わずに一生を終えるのが普通なのに。何をしたの……。
それは一日目特訓の日のこと。ケビンとナターシャがダンジョンのボスを倒し、午後の特訓に入る前に話だった。
「<獣化>……ですか」
「あぁ、お前は獣人族が潜在的に持っている<獣化>の力を使ってワーウルフを倒したんだ」
「は、はぁ、でもあたしその時のこと全然覚えてないですよ?」
「初めて使ったからそうなるのは当たり前だ。この<獣化>は昔ヒューマンとの戦争を行っていたころに獣人族が当たり前のように使っていた力なんだが、現在の共存し合っている中でその力は廃れていった」
「なるほど……そんな話パパやママもしていなかったのですが……」
「まぁ、今使うことはないからな。それに現代の獣人族の冒険者もほとんどはこの力を使えない」
「それじゃあたしはどうやってこの力を……?」
「……『生存本能』だ」
「生存本能?」
「弱肉強食の世界で何十、何百、何千年と、自分とその種族を後世まで繋げていくために死力を尽くした獣たちの末裔が今の獣人族だ。そういう死と隣り合わせの中で一生を過ごしたお前らの先祖である獣たちが生き残るために最後の最後まで持てる力を全て出し切って戦う。その生存本能の延長線上にあるのがこの<獣化>だ」
「んー話がよく分からない……かもです」
「ナターシャ。お前はワーウルフとの戦闘で気を失う前の状況は覚えているか?」
「はい。何となくですが。正直敵わないのが分かって一度諦めて戦うのを辞めようとしました。でもその後自分が死ぬことを考えると、まだまだやりたいこともやり残したこともあるし、会いたい人も、食べたいものもたくさんある、こんなところで死ぬなんて絶対嫌だって……あっ」
「そう、それが『生存本能』だ。それが引き金となってお前は自分の意志とは関係なく<獣化>した」
「つまりその眠っていた力を無理やり引き出すためにあたしを……?」
「そういうことだ、これを引き出すためには、お前を死ぬ直前まで追い込む必要があった。手荒なやり方をして悪かったな」
ケビンの謝罪をぽかんと口を開け聞いていたナターシャ。
「なんで謝るんですか?」
「……?」
「これであたしはもっと強くなれるんですよね? なら願ったり叶ったりじゃないですか!」
ケビンの顔を覗き笑顔を見せたナターシャ。
「ふっ、そうだな」
「じゃあこれからはその<獣化>をコントロールする練習ってことですか?」
「そういうことだ。正直この力を完璧に使うためには数年かかると言われている。だから残りの数日でどこまでものにできるかが勝負になる」
「よーし頑張っちゃうぞー! いたた、ワーウルフの傷が……」
ロイに攻撃を続ける<獣化>したナターシャを見守るケビン。
「一日目からの今日の戦闘だ、完璧とまではいかないが思い通りに<獣化>するところまでできたのはさすがのナターシャのセンスだな」
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