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第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編
114.証明
しおりを挟む「君が僕に勝てる可能性は一パーセントもないということだよ」
「へ……?」
ダリウスのその言葉に耳を疑うサテラ。
「サ、サテラ?」
「……」
冗談かと思ったけど、これはダリウスの本心の時の顔だ……。
「ダリウス。私が勝てる可能性が一パーセントもないって……」
「……ブランさんに君の動きを叩きこまれたんだ」
「それは何となくは……私だってあなたの対策をしてきたわよ?」
「そんなレベルじゃないんだ!」
サテラの話を遮りブランは叫んだ。
「知ってるんだ。君が剣術と魔法を組み合わせながら戦っていくスタイルを作ったことも、その動きの型一つ一つも、どんな魔法をどのタイミングに使うかも。ブランさんに全部全部叩き込まれたんだ」
「ダリウス……」
「もちろん、君の新たなスタイルが結局朝の特訓でも完成しなかったことも……」
徐々にダリウスの声が小さくなり、そのか細く弱弱しいくなった声が震え始める。
「なんでそれを……」
「きっとミミィ以上になる。僕はフィールドに立ったら君を殺してしまう」
「だからお願いだ……棄権してくれ……この通りだ」
ダリウスは先ほど同様深々と頭を下げた。
「言いたいことは分かったわ。ダリウスがきっと地獄のような特訓をして強くなったことも、ブランという人間が凄腕の案内人だということも」
その言葉を聞いたダリウスの頭が上がり表情が明るくなる。
「でも、棄権はしません」
「え、ど、どうしてサテラ……?」
サテラはダリウス胸ぐらを掴み顔をぐっと寄せる。
「私が勝てる可能性が一パーセント? フィールドに立ったら殺してしまう? 勘違いも甚だしいよダリウス」
「でもそれじゃ本当に……」
「私に負けるのが怖いの? 自分の努力が否定されてしまうのが」
「ち、違う! そうじゃない」
「こんなに対策して、こんなに地獄のような特訓をしても負ける。そうなるのが怖いんでしょ」
「……」
「私は負けない。あなたがどんなことをしても、絶対にナヴィさんを優勝に導く」
「殺してしまう? 上等じゃない。そのくらいの覚悟がなきゃ張り合いがない」
「サテラ……」
「ダリウス、私はあなたとの真剣勝負を望みます」
「あなたに同情なんてしないしされたくもない。死ぬ気で掛かってきなさい!」
サテラの真っ直ぐに見つめる目にダリウスは視線を反らし、ベンチから立ち上がった。
「サテラ、分かったよ。でも今言ったこと……後悔しないでね」
「もちろんです」
「優勝するのは、僕だ……。それじゃサテラ。フィールドで会おう」
「えぇ」
ダリウスはゆっくりと控室に戻っていった。
「ふー困ったわねぇ……」
「え、ナヴィさん!?」
ダリウスが立ち去った後もベンチに座っていたサテラ。その横には控室へと向かう途中だったナヴィの姿があった。
「どうしてここに?」
「いやいや、救護室から控室に向かう途中にダリウス君を見つけてね。なんかあるかなと思って観察してたら、その後サテラちゃんも来るんだもん」
「私よりも早くここにいたってことですか? それじゃ会話も?」
「うん、ばっちり」
微笑みながら親指を突き出すナヴィ。
「あはは、聞かれちゃいましたか……」
「まぁ、きっと彼なりの優しさだったんだろうね……。過酷すぎる訓練から自分を正当化したいという気持ちがサテラちゃんに対する忠告って形になったんだと思う……」
「正当化……?」
「うん。サテラちゃんさっき言ってたでしょ? 強くなった自分が負けるのが怖いって、きっと今までもそういうことたくさんあったんじゃないかしら」
「確かに……あの勇者テリウスの弟ですし」
「うん。でもね。だからこそ正々堂々戦って、きっともっと別のやり方があるって、ダリウス君にも、そしてブランにも示さなきゃいけないと思う」
「ナヴィさん……」
「それに、サテラちゃんもさっきあたしを優勝に導いてくれるって言ってくれたしね。あたしもこんなところでは終わりたくない」
「はい!」
「勝つよ。サテラちゃんダリウス君たちのためにも。そして『あたし達』のためにも!」
「はい! ナヴィさん」
こうして二人は入場口へと向かっていった。
『さぁ。皆さん。王都公認案内人適性試験もついに大詰めとなってまいりました。準決勝第二試合。ブラン、ダリウスペア、そしてナヴィ、ナターシャペアの対戦となります! それでは入ってきてもらいましょう。選手入場です!』
入場口にいた四人がフィールドに向かい歩き出した。。
「ナヴィさん」
「なんでしょうブランさん。歩きながら」
「先ほどはサテラさんに、うちのダリウスが棄権を促したそうで、大変なご無礼をいたしました。でもこうして真に受けずに対戦してくれるのは非常に嬉しいですよ」
ナヴィの方を向いて話すブランに対し、目を合わせずフィールドの一点のみを見続けるナヴィ。
「いいえ、お気になさらず、勝つのは私達です」
「ふふ、しかしダリウスの言っていたことは本当ですよ。あなた方に一パーセントも勝てる可能性はありません」
その言葉にを聞いたナヴィが鼻で笑った。
「ふっ。果たしてそうでしょうか?」
「……なんだと、そんなのはったりでしょう。僕の特訓で君たちの動きを完璧にマスターしたダリウスに勝てる算段があると?」
「それを証明するために私たちは戦うんです」
『選手が入場し、準備が完了したみたいです。それでは準決勝第二試合。ブラン、ダリウスペア、ナヴィ、サテラペア。試合開始!』
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