村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編

115.圧倒

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『準決勝第二試合。ブラン、ダリウスペア、ナヴィ、サテラペア。試合開始!』

「「おぉー!」」

 大歓声の中、スーザンの試合開始の合図とともに二人はお互い距離を詰めようと前に出た。

 特にサテラはダリウスよりも一歩速く走り始めていたため、魔法攻撃の準備もダリウスより早く行えていた。

 どこまでの対策が練られているかわからない中で危険かもしれないけど、とにかく攻撃して相手の出方を見る!

 サテラの右手を前に突き出し魔法陣を展開させた。


「……は……ッター>、そ……あ……き」

「!? 何をぶつぶつと言っているのかしらダリウス」

 ダリウスの目は試合前とは別人のような殺気を放った鋭い眼光になり、サテラに接近しながら小さく口を動かし呟いていた。

「初手は魔法でサテラの得意な風属性の<ウインドカッター>、そしてそこからの足元を狙う低い体勢での双剣での攻撃」

「え? く、くらえ!」
<ウインドカッター!>

 さっき<ウインドカッター>って言ってた……でも攻撃は当たったように見えたし、この砂煙の中次の攻撃は避けられないはず! 特訓通り足元を狙った攻撃で!

 サテラは魔法攻撃で発生した砂煙の中に入りダリウスに追撃を仕掛ける。

「う、うそ!?」

 ダリウスの足元があるであろう位置まで近づいたサテラだったが、その切りかかろうとした彼女の目の前にはダリウスの蹴りだした足があった。

「きゃっ!」

 サテラの顔面にダリウスのキックが入りフィールドの縁まで飛ばされた。

「サテラちゃん! 大丈夫? もろに入ってたけど」

「いったた……大丈夫ですナヴィさん」

 サテラは顔を数回擦り、二度頬を叩いた。

 落ち着け……今のは予測されて私の来そうな位置にタイミングよく蹴りこんだだけだ。足元から狙うのは戦いの常套手段だしね。でも、さっきダリウスがぶつぶつ言っていた時、<ウインドカッター>とか言ってた気が……。

「サテラ、もう動きが止まってるよ」

 考え込んでいたサテラにダリウスが攻撃を仕掛けようとしていた。

「……ド……ナヴィ……<エア……」

「く、またぶつぶつ言って……でもとりあえず止めなきゃ!」
<エアシールド!>

 サテラの前に空気の盾が現れる。

 ダリウスはその盾を見た時、この瞬間を待っていたと言わんばかりの笑みを見せた。

「ガードの時も魔法を使うよね。ナヴィさんが頻繁に使う<エアシールド>だ……」

「え、盾の前から消えた……?」

「こっちだよ?」

 サテラが声のする方向を向くと、側面から脇腹に見えない速度で拳を突かれていた。

「かっはっ……」

 サテラは口内から血を吐き出した。

「吹き飛べ」
<パワードナックル!>

 突かれた脇腹に追い打ちを掛けるようにダリウスの拳から衝撃波が放出された。

「あぁぁぁぁ!」

 衝撃波によりサテラは再度吹き飛ばされ、四隅にある柱にめり込んだ。

「ぐっ!」


「あーあ、惨たらしいね……まったく」

 手のひらを上に向け、笑いながらやれやれと首を横に振るブラン。

「ねぇナヴィさん。もう無理だと思うよ。サテラちゃんがダリウスに勝つのは。僕の方が優秀だと認めて諦めて棄権すれば?」

「くっ……」

 唇を噛みしめるナヴィ。

 まずい……ブランはここまで動きを完璧に読めるものなの……? それにこの短期間で完璧にサテラちゃんに対応した動き方をマスターしている。逆転の手が浮かばない。あの技はまだ不完全で失敗する可能性の方が大きい。くそっどうしたら……。


「私はまだ大丈夫です!」

 突かれた脇腹を抑えつつ立ち上がったサテラ。

「はぁ、はぁ、私は、まだ戦えます!」

「サテラ……はぁ……ごめん」

 憐れむような眼でサテラを見つめるダリウスが一度大きくため息をつき、攻撃を再開する。

「はあぁぁ!」

 ダリウスは双剣を構え迎え撃つサテラ今度は聞こえるような声で呟いた。

「ごめん。その構えも、迎え撃ち方も。全部分かってるんだ……」

「また私の動きを完璧に……きゃっ!」


 そこからは一方的な展開だった。

 サテラの習熟し洗練された攻撃一つ一つは全てダリウスのカウンターへと変わり、防御の態勢は全てその死角から攻撃され続けた。


「サテラ、だから僕は言ったんだ。君が僕に勝てる可能性は一パーセントもないって……棄権していたらこんな目には合わなかったんだよ?」

「はぁ、そういうことは、私を倒してから言ってもらえるかしら、その一パーセントも勝つ可能性がない私はどうしてまだ立って居られてるのかしら」

「……分かったよ、ならこれで終わりにしよう」

 ダリウスの体から一気に魔力が噴き出す。

「うそ……あなたどこにそんな魔力が……」

「いったでしょ、終わりにしようって」

 ダリウスが噴き出た魔力を右の拳に集め始めた瞬間だった。

「タイムアウト!!」

「!? ナヴィさんか……」

 ダリウスは拳を降ろし、噴き出た魔力を体の中に戻した。

『ナヴィ選手から宣言があったため。今からタイムアウトの時間とします。しばらくお待ちください』

 足を引きずり脇腹に手を添えながら戻るサテラ。

「はぁ、ナ、ナヴィさん」

「サテラちゃん、ごめんね、何も言ってあげられなくて……」
<ヒール!>

 ナヴィはサテラの体の痛みを取りながらサテラと会話を続けた。 

「いえ、私がまだ未熟なだけでナヴィさんは何も謝ることは……それより、何か思いついたんですか? 彼に勝つ手段を」

「……それなんだけど」

 ナヴィは難しい顔をしてサテラを見つめる。

「私何でもします! 何か方法を!」

 ナヴィは一度ごくりと喉を鳴らし。話し始めた。

「いい? よく聞いて」

「は、はい」

「戦いを……戦いを止めよう」

「はい……?」
 ナヴィの発言にサテラは目を丸くした。
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