村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編

142.闘争心

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<ウインディアフォースフィールド!!>

 サテラが操っていた大量の風が一気に周りに凝縮され、直径十メートルほどの半球がサテラを包み込んだ。

「よし、成功!」

「やった! サテラ!」

 後ろで喜ぶナヴィの姿を見てサテラの頬が上がる。


「な、ケビンさんの推測では、不利な状況や邪念が入れば入るほど成功しないはずって……」

 サテラの技が失敗すると踏んでいたナターシャは驚いていた。

「そう、その推測は正しいわ。ナターシャ」


「な、なら、どうして」

「気を付けろナターシャ」

「ケビンさん!?」

 ナターシャが振り返ると、顎を触り額に汗をかくケビンの姿が映った。

「ナターシャ、サテラのあの目を見てみろ」

「え、目ですか……」

 ゆっくりとサテラに視線を移すナターシャ。

「さぁ行くよ、ナターシャ」

 目を見開きナターシャを一心に見つめるサテラに、ナターシャの左足が半歩後ろに下がる。

「あんなに真っ直ぐにあたしを見つめるサテラの目、あんな目初めて見た……」

「そうだな、詳しいことは分からんが、なんか吹っ切れたみたいだな。サテラは」

「吹っ切れた……ですか」

「詳しいことはわからん。お前の魔力もあと少しだ……とにかく全力で迎え撃て」

 ナヴィ。この成功はたまたまじゃないだろう。きっとお前は意図的にこの技を成功させた。

 だがいったいどうやって成功まで押し上げた……。


 ケビンはそう思いつつナヴィを見つめる。

 そしてそのケビンの視線を感じたナヴィはケビンに目を合わせるとにやりと笑い首を振った。

「ん……どういうことだ? まさか、あいつは何もしてない……?」


 そうよ、ケビン。あたしはサテラの成功に対して何か手を貸したわけでもないし、鼓舞したつもりもない。だってこれはサテラ自身の問題なんだから。

 まぁ強いて言えば、その成功にたどり着くまでのヒントを与えたことかしら……。

 そしてサテラはそれを見事掴み取った。

 そう、それは……。


「「目の前の敵に対する闘争心」」

「闘争心……メンタルの話?」

 サテラのその言葉を聞いたナターシャが首を傾げた。

「そうよ、ナターシャ。私に一番足りてなかったもの、そしてそれをナヴィさんは気づかせてくれたの」

「何を今更……」

「そう思うよね。私もそう思ったんだから」

 タイムアウトの時にナヴィさんに言われるまでは……。




「私自身の問題ですか?」

「えぇ。サテラは魔力のコントロールも十分、技に至るまでの過程もしっかりと熟知している。じゃあそんなあなたがどうしてこの技の成功率が上がらないのか」

「うーん。それは、魔力を練り上げるために時間が掛かったり、そもそも魔力を大量に消費するからでしょうか……。それに当日のコンディションも関係あるのかなと」

「うん。確かに頭の良いあなたはあたしが言わなくても考えてくれているわね。でもね、それはあくまでも技を発動させる最後の段階の話なの……」

「最後の段階?」

「サテラ、あなた特訓しているの時<ウインディアフォースフィールド>の成功率って五十パーセントもいってなかったんじゃない?」

「う、そ、そうですね……ナヴィさんに見られてないところでも練習してたのでそれ以上に低いですが……」

「ふふ、それはサテラが言ってたコンディションの問題だったかもね。じゃあ、そんな成功率の中でダリウスとの試合の時はどうして成功できたのかしら」

「あ、確かに……それにあの時は成功するっていう確信もありました……」

「うん。今から言うことはなんの根拠もないし、座学首席のあなたに言うことではないのだけれど、あたしはこれがあなたの技の成功率を百パーセントまで引き上げるヒントになると思うの」

「それって……」

『周りの影響や邪念を全て取り払い、ただ目の前の相手に真っ直ぐ全力で立ち向かおうとする闘争心』


 そう、あのダリウスとの準決勝。ダリウスがブランの手を離れ、自分の力で私に全力でぶつかってきた。それに呼応するように私も気づかない間にダリウスだけを見つめて全力でダリウスを倒しにいった。

 あんなに全力を出そうと思ったのも、倒れそうな状況だったのにワクワクしながら戦ったのも初めてだった。

「私は知らない間に持っていたんだ。ダリウスに対しての闘争心。今はあの時と同じ」

 サテラのその言葉にナヴィは続く。

「そうサテラ。あなたのクレバーさは戦闘でも大きな武器になっているし、それを主軸に今まで戦ってきた。だからこそそれが枷になってどこか遠慮しがちでスマートな戦い方だった。だけど今は違う。何度倒されても立ち上がり、相手に勝つためだけに必死に頭を使い、泥臭く戦っている」

「そしてそれは今のあなたに対してもそうよ。ナターシャ」

 半球の中にいるサテラがナターシャに向かい指を差す。

 その姿を見たナターシャが顔を下に向け、小刻みに震えだした。

「な、なに、どうしたのナターシャ!?」

「ふふ、ふふふ。あはははは!」

 顔を上に向け笑いだすナターシャ。

「な、なにがおかしいのよ!」

「いーや。なにもおかしくないよ。やっぱりこの大会で一番成長したのはサテラだな」

「え?」

「いいじゃないかサテラ。この試合もあと少し」

 ナターシャは体勢を低く取り戦闘態勢に入った。

「ガルゥゥ」
「あんたのその全開の力、あたしが全力で迎え撃ってやる!!」
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