142 / 262
第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編
142.闘争心
しおりを挟む
<ウインディアフォースフィールド!!>
サテラが操っていた大量の風が一気に周りに凝縮され、直径十メートルほどの半球がサテラを包み込んだ。
「よし、成功!」
「やった! サテラ!」
後ろで喜ぶナヴィの姿を見てサテラの頬が上がる。
「な、ケビンさんの推測では、不利な状況や邪念が入れば入るほど成功しないはずって……」
サテラの技が失敗すると踏んでいたナターシャは驚いていた。
「そう、その推測は正しいわ。ナターシャ」
「な、なら、どうして」
「気を付けろナターシャ」
「ケビンさん!?」
ナターシャが振り返ると、顎を触り額に汗をかくケビンの姿が映った。
「ナターシャ、サテラのあの目を見てみろ」
「え、目ですか……」
ゆっくりとサテラに視線を移すナターシャ。
「さぁ行くよ、ナターシャ」
目を見開きナターシャを一心に見つめるサテラに、ナターシャの左足が半歩後ろに下がる。
「あんなに真っ直ぐにあたしを見つめるサテラの目、あんな目初めて見た……」
「そうだな、詳しいことは分からんが、なんか吹っ切れたみたいだな。サテラは」
「吹っ切れた……ですか」
「詳しいことはわからん。お前の魔力もあと少しだ……とにかく全力で迎え撃て」
ナヴィ。この成功はたまたまじゃないだろう。きっとお前は意図的にこの技を成功させた。
だがいったいどうやって成功まで押し上げた……。
ケビンはそう思いつつナヴィを見つめる。
そしてそのケビンの視線を感じたナヴィはケビンに目を合わせるとにやりと笑い首を振った。
「ん……どういうことだ? まさか、あいつは何もしてない……?」
そうよ、ケビン。あたしはサテラの成功に対して何か手を貸したわけでもないし、鼓舞したつもりもない。だってこれはサテラ自身の問題なんだから。
まぁ強いて言えば、その成功にたどり着くまでのヒントを与えたことかしら……。
そしてサテラはそれを見事掴み取った。
そう、それは……。
「「目の前の敵に対する闘争心」」
「闘争心……メンタルの話?」
サテラのその言葉を聞いたナターシャが首を傾げた。
「そうよ、ナターシャ。私に一番足りてなかったもの、そしてそれをナヴィさんは気づかせてくれたの」
「何を今更……」
「そう思うよね。私もそう思ったんだから」
タイムアウトの時にナヴィさんに言われるまでは……。
「私自身の問題ですか?」
「えぇ。サテラは魔力のコントロールも十分、技に至るまでの過程もしっかりと熟知している。じゃあそんなあなたがどうしてこの技の成功率が上がらないのか」
「うーん。それは、魔力を練り上げるために時間が掛かったり、そもそも魔力を大量に消費するからでしょうか……。それに当日のコンディションも関係あるのかなと」
「うん。確かに頭の良いあなたはあたしが言わなくても考えてくれているわね。でもね、それはあくまでも技を発動させる最後の段階の話なの……」
「最後の段階?」
「サテラ、あなた特訓しているの時<ウインディアフォースフィールド>の成功率って五十パーセントもいってなかったんじゃない?」
「う、そ、そうですね……ナヴィさんに見られてないところでも練習してたのでそれ以上に低いですが……」
「ふふ、それはサテラが言ってたコンディションの問題だったかもね。じゃあ、そんな成功率の中でダリウスとの試合の時はどうして成功できたのかしら」
「あ、確かに……それにあの時は成功するっていう確信もありました……」
「うん。今から言うことはなんの根拠もないし、座学首席のあなたに言うことではないのだけれど、あたしはこれがあなたの技の成功率を百パーセントまで引き上げるヒントになると思うの」
「それって……」
『周りの影響や邪念を全て取り払い、ただ目の前の相手に真っ直ぐ全力で立ち向かおうとする闘争心』
そう、あのダリウスとの準決勝。ダリウスがブランの手を離れ、自分の力で私に全力でぶつかってきた。それに呼応するように私も気づかない間にダリウスだけを見つめて全力でダリウスを倒しにいった。
あんなに全力を出そうと思ったのも、倒れそうな状況だったのにワクワクしながら戦ったのも初めてだった。
「私は知らない間に持っていたんだ。ダリウスに対しての闘争心。今はあの時と同じ」
サテラのその言葉にナヴィは続く。
「そうサテラ。あなたのクレバーさは戦闘でも大きな武器になっているし、それを主軸に今まで戦ってきた。だからこそそれが枷になってどこか遠慮しがちでスマートな戦い方だった。だけど今は違う。何度倒されても立ち上がり、相手に勝つためだけに必死に頭を使い、泥臭く戦っている」
「そしてそれは今のあなたに対してもそうよ。ナターシャ」
半球の中にいるサテラがナターシャに向かい指を差す。
その姿を見たナターシャが顔を下に向け、小刻みに震えだした。
「な、なに、どうしたのナターシャ!?」
「ふふ、ふふふ。あはははは!」
顔を上に向け笑いだすナターシャ。
「な、なにがおかしいのよ!」
「いーや。なにもおかしくないよ。やっぱりこの大会で一番成長したのはサテラだな」
「え?」
「いいじゃないかサテラ。この試合もあと少し」
ナターシャは体勢を低く取り戦闘態勢に入った。
「ガルゥゥ」
「あんたのその全開の力、あたしが全力で迎え撃ってやる!!」
サテラが操っていた大量の風が一気に周りに凝縮され、直径十メートルほどの半球がサテラを包み込んだ。
「よし、成功!」
「やった! サテラ!」
後ろで喜ぶナヴィの姿を見てサテラの頬が上がる。
「な、ケビンさんの推測では、不利な状況や邪念が入れば入るほど成功しないはずって……」
サテラの技が失敗すると踏んでいたナターシャは驚いていた。
「そう、その推測は正しいわ。ナターシャ」
「な、なら、どうして」
「気を付けろナターシャ」
「ケビンさん!?」
ナターシャが振り返ると、顎を触り額に汗をかくケビンの姿が映った。
「ナターシャ、サテラのあの目を見てみろ」
「え、目ですか……」
ゆっくりとサテラに視線を移すナターシャ。
「さぁ行くよ、ナターシャ」
目を見開きナターシャを一心に見つめるサテラに、ナターシャの左足が半歩後ろに下がる。
「あんなに真っ直ぐにあたしを見つめるサテラの目、あんな目初めて見た……」
「そうだな、詳しいことは分からんが、なんか吹っ切れたみたいだな。サテラは」
「吹っ切れた……ですか」
「詳しいことはわからん。お前の魔力もあと少しだ……とにかく全力で迎え撃て」
ナヴィ。この成功はたまたまじゃないだろう。きっとお前は意図的にこの技を成功させた。
だがいったいどうやって成功まで押し上げた……。
ケビンはそう思いつつナヴィを見つめる。
そしてそのケビンの視線を感じたナヴィはケビンに目を合わせるとにやりと笑い首を振った。
「ん……どういうことだ? まさか、あいつは何もしてない……?」
そうよ、ケビン。あたしはサテラの成功に対して何か手を貸したわけでもないし、鼓舞したつもりもない。だってこれはサテラ自身の問題なんだから。
まぁ強いて言えば、その成功にたどり着くまでのヒントを与えたことかしら……。
そしてサテラはそれを見事掴み取った。
そう、それは……。
「「目の前の敵に対する闘争心」」
「闘争心……メンタルの話?」
サテラのその言葉を聞いたナターシャが首を傾げた。
「そうよ、ナターシャ。私に一番足りてなかったもの、そしてそれをナヴィさんは気づかせてくれたの」
「何を今更……」
「そう思うよね。私もそう思ったんだから」
タイムアウトの時にナヴィさんに言われるまでは……。
「私自身の問題ですか?」
「えぇ。サテラは魔力のコントロールも十分、技に至るまでの過程もしっかりと熟知している。じゃあそんなあなたがどうしてこの技の成功率が上がらないのか」
「うーん。それは、魔力を練り上げるために時間が掛かったり、そもそも魔力を大量に消費するからでしょうか……。それに当日のコンディションも関係あるのかなと」
「うん。確かに頭の良いあなたはあたしが言わなくても考えてくれているわね。でもね、それはあくまでも技を発動させる最後の段階の話なの……」
「最後の段階?」
「サテラ、あなた特訓しているの時<ウインディアフォースフィールド>の成功率って五十パーセントもいってなかったんじゃない?」
「う、そ、そうですね……ナヴィさんに見られてないところでも練習してたのでそれ以上に低いですが……」
「ふふ、それはサテラが言ってたコンディションの問題だったかもね。じゃあ、そんな成功率の中でダリウスとの試合の時はどうして成功できたのかしら」
「あ、確かに……それにあの時は成功するっていう確信もありました……」
「うん。今から言うことはなんの根拠もないし、座学首席のあなたに言うことではないのだけれど、あたしはこれがあなたの技の成功率を百パーセントまで引き上げるヒントになると思うの」
「それって……」
『周りの影響や邪念を全て取り払い、ただ目の前の相手に真っ直ぐ全力で立ち向かおうとする闘争心』
そう、あのダリウスとの準決勝。ダリウスがブランの手を離れ、自分の力で私に全力でぶつかってきた。それに呼応するように私も気づかない間にダリウスだけを見つめて全力でダリウスを倒しにいった。
あんなに全力を出そうと思ったのも、倒れそうな状況だったのにワクワクしながら戦ったのも初めてだった。
「私は知らない間に持っていたんだ。ダリウスに対しての闘争心。今はあの時と同じ」
サテラのその言葉にナヴィは続く。
「そうサテラ。あなたのクレバーさは戦闘でも大きな武器になっているし、それを主軸に今まで戦ってきた。だからこそそれが枷になってどこか遠慮しがちでスマートな戦い方だった。だけど今は違う。何度倒されても立ち上がり、相手に勝つためだけに必死に頭を使い、泥臭く戦っている」
「そしてそれは今のあなたに対してもそうよ。ナターシャ」
半球の中にいるサテラがナターシャに向かい指を差す。
その姿を見たナターシャが顔を下に向け、小刻みに震えだした。
「な、なに、どうしたのナターシャ!?」
「ふふ、ふふふ。あはははは!」
顔を上に向け笑いだすナターシャ。
「な、なにがおかしいのよ!」
「いーや。なにもおかしくないよ。やっぱりこの大会で一番成長したのはサテラだな」
「え?」
「いいじゃないかサテラ。この試合もあと少し」
ナターシャは体勢を低く取り戦闘態勢に入った。
「ガルゥゥ」
「あんたのその全開の力、あたしが全力で迎え撃ってやる!!」
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる