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第十章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 決勝戦編
155.本部の目的
しおりを挟む「はい、説明は以上です! 長い時間お疲れ様!」
早朝から日が沈むまでスーザンの説明を受け続けた三人は机の上でぐったりとしていた。
「やっぱり王都公認の名前なんていらなかった……」
「何言ってるのケビン。あなたの店も今のキャパじゃやってけてなかったでしょ」
「まぁ、わたくしのお店も支援を受けれるのは嬉しいのですが……」
「その書類の山から受けれる恩恵のことが書かれている紙はこれっぽっち……むしろそれ以外は王都からあたし達に課される、それにこの量……」
「何かわたくしすごい騙された気分です……」
ナヴィとルナは書類に目を通すたびに不信感が募っていった。
「スーザンさん。俺らに月に一回の定期報告や、ほぼ強制のような招集命令が契約の内容としてあったんだが、そもそもこの王都の案内所本部は何が目的なんだ……?」
ケビンはスーザンに視線を向け言い放った。
「あはは、まぁそう思われても仕方ないかもね……別に騙すつもりはなかったのよ。けど説明不足であったのは確か。そのことは謝るわ」
「説明不足……? わたくしたちが王都公認の案内人になることによって本部との連携や仕事を行う上でのサポートをしてくれるってことだけじゃないんですか?」
「ルナ、それはあくまでもこの本部が目的を達成するための方法の一つ一つとして用意したものに過ぎないってことよ」
「ナヴィさん……? それって」
「流石ナヴィさん。そういうこと……理事長は試験が始まるときに言っていたはずよ『優秀な人材の確保と投与』って」
「それは、覚えている。俺が聞きたいのはそこじゃない。その優秀な人材を集めて何をしたいのか……って話だ」
もったいぶる話し方をしていたスーザンを睨みつけるケビン。
「ちょっとケビン! あまりにも失礼じゃ……」
「ナヴィ。もう俺たちは雇用される側と、する側の話だ。雇用主はそれを説明する義務があると俺は思うが……」
「そ、それは……」
「大丈夫。今から言う予定だったから。ナヴィさん。ありがとう」
「スーザンさん……」
「とは言ってももうほとんど気づいているのでしょケビンさん」
「……魔王軍完全討伐」
その言葉を聞いて目を丸くするナヴィとルナ。
「……うそ。そこまでのレベルの話なの……?」
「じゃあいずれはわたくし達は……」
「そう。あなた達にも魔王軍完全討伐に尽力していただきます」
「なるほどな。だから優秀な人材の確保、そして投与というわけか。それにこの月一回の定期報告に書いてある『実力ある冒険者や案内人の情報の共有』これも魔王軍に立ち向かうための戦力増強のためってことか」
「その通り。ブレビンス理事長は自分の代でこの世界が魔王軍がいない平和な世界を何としてでも作りたいと願っています。優秀な人材を集め大規模な軍を作り、一気に攻める。それがブレビンス理事長の短期間で魔王を倒す作戦。そしてそれを軸としてこの制度の導入を図りました」
「大規模な軍……?」
ナヴィは顎に手を添えて思考を巡らせる。
「なぁ、スーザンさん。もしかして、あの二年半前のトニー・マクレガンさんの訃報の時……」
スーザンは苦い顔をして答えた。
「はい。二年半前。同じように優秀な冒険者と王都公認の案内人を一挙に集め大規模な魔王討伐軍の編成をしました。そしてその中心になっていたのが当時冒険者パーティーの実績第一位のテリウスパーティー。そしてその案内人の中心として私たちが推薦した世界に一人しかいなかったスーパーアドバイザー。トニー・マクレガンさんでした」
「おじいちゃんが……」
「つまりお前ら王都の案内人がトニーさんを死地へと向かわせたってことか」
「ケ、ケビンさんそんな言い方は……」
ルナはスーザンの方に向かおうとするケビンの手を取りそれを止めようとしていた。
「離せ、ルナ」
「きゃ!」
スーザンの目の前に立ち上からスーザンを見下ろすケビン。
「そして今度は俺たちをそこへ向かわせようとするわけなんだな。この王都案内所の本部は」
ぎろりと睨むケビンに対し、スーザンも目を反らさずに真っ直ぐとケビンの瞳を見つめた。
「……返す言葉もないです。だからあなた達は今の話を聞いて抜けたければ抜けてもいいわ。あなた達の後ろには大切な人がいるんでしょ。別に強制するつもりはない」
「なら俺は……」
「現在。魔王軍は前回のこちらの作戦により軍の復旧に力を入れている」
ケビンの言葉にかぶせるようにスーザンが話始めた。
「……何が言いたい」
「ここからは本部だけが持っている情報なのだけれど。魔王城はもちろん魔王幹部、そして魔王もかなりの傷を負っていてそれらが完全に復旧するまで数年程掛かるそうよ」
「「「!?」」」
「ケビンさん。ルナさん。ナヴィさん。ブレビンス理事長は決勝トーナメントで見せたあなた達の実力を鑑みて作戦の中心として三人を組み込んでいる。でももしあなた達が目の前の命を大切にするためにこの公認の名を手放すならそれはそれよ。けど」
「……けど?」
「それは同時に一回目で出た優秀な冒険者と案内人の犠牲者の意味が無くなってしまう」
「……それは……おじいちゃんも……」
「そう。だから私は……私たちは絶対にこの人たちの死を無駄にしない。させたくない」
「情に訴えかけるようなことをしてしまって悪かったわね。でも改めてここで聞かせてちょうだい」
「あなた達は今の話を聞いてどうしたい?」
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